明快なトリック、自然な人間の感情による動機ともにパーフェクトな謎解きだったと思う。おまけに真犯人以外嘘をついていない。意図的に言わないでいることや思い込みによる勘違いはあるんだけど、基本的にみんな真実を言っているはずなのに話が少しずつ噛み合わず、それによって物語に引き込まれていく。登場人物がどうしてもヒステリーを起こしたり話をはぐらかしたりというのはあって、何より語り手のベネットが割とノイズになってる感はあるけれども、それをこらえて（気が乗ったときに読むとかして）でも真相にたどり着いた価値はあったと思う。

明快なトリック、自然な人間の感情による動機ともにパーフェクトな謎解きだったと思う。おまけに真犯人以外嘘をついていない。意図的に言わないでいることや思い込みによる勘違いはあるんだけど、基本的にみんな真実を言っているはずなのに話が少しずつ噛み合わず、それによって物語に引き込まれていく。登場人物がどうしてもヒステリーを起こしたり話をはぐらかしたりというのはあって、何より語り手のベネットが割とノイズになってる感はあるけれども、それをこらえて（気が乗ったときに読むとかして）でも真相にたどり着いた価値はあったと思う。

魚人というと真っ先にタンノくんやすけとうだら、ハンギョドンなんかが思い浮かんでしまい、そのせいで『インスマスの影』は怖さが半減してしまった気がしないでもない。ユーモラスなイメージが自分の中でできあがっている。海から来る者たちの冒涜的な外見がこの話の恐怖の肝だったのではと思う（指輪物語のエルフが突然世界征服に目覚めて同じような侵略行為を始めたとしてもホラーにならないだろうし）。対して『闇にささやくもの』は異形の者の仕打ちが怖い。個人的にはこの話が一番面白かった。流れが急に変わる場面のゾッ…とする感じがいい。