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父を想う: ある中国作家の自省と回想

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takao
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ふむ
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みんみん
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つい最近余華の『ほんとうの中国の話をしよう』を読んだばかりだったので、余華と閻連科、同世代の中国を代表する作家でありながら、その少年時代からの境遇の違いが面白かった。余華の少年時代に大きく影を落とした文革などほぼ興味がないというか、それどころではないくらいに生きることに必死だった閻連科とその父と伯父と叔父。小説では、奇想へと跳躍することも多い作者だが、このエッセイではひたすら淡々と悔いも残る人生であったろうひとたちへの思慕と尊敬の念を綴る。一語一語が深くて愛おしい。
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UNO
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閻先生、いつも奇を衒ったテーマで小説を書いてる、っていうイメージが強い。でも、実際に読んでみると、精神的に筋を通したい作家の理想みたいなものが絶妙で、なんか圧倒される。今回はエッセイだったから、劇的なものはなく粛々と進んだ。華美なものを排除した、地に足付いた暮らしと、生真面目な頑固さ。それに、知ってるようで知らない中国の暮らしが綴られていく。妙なストイックさと、精緻な文章でとても良かった。
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あずみ
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中国のなかなか知ることの出来ない文革時代を農村の側の視点から、物語が描かれている。 とても面白かった。イェン・レェンコーさんの作品まだまだ読みたいです。
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刳森伸一
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わざと愚直さを強調している感もあるけど、閻連科の誠実さと苦難の人生が分かる名エッセイだった。特に伯父一家を扱った三章に目頭が熱くなった。閻連科自身が読んでほしい作品と言っていたが、確かに小説とは異なる良さがある。
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これらの時代
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本書は4部構成になっている。1「私の時代」2「父を想う」となり、3「伯父の一家」4「私の叔父」は、父親の兄弟について書かれている。ここから分かる通り、『父を想う』は自己と父との一対一の関係を綴ったものではない。また綴れるはずもない。西洋的な個に基づく繋がりなどありようがなく、現代の親子関係にみられる閉じたユニットが可能だったわけでもないからだ。「父親たちの世代」について、その不可分な「子の世代」として書き起こした文章になっている。
これらの時代

先代が世を去った後でしか書けず、絶対的な距離の深さには、時代の過酷な生き様が横たわり、それと不可分にあった幼い自分たちがいる。深い自省がないと、関係のあまりの密接さゆえに潜り込むことができない場所‥。村で単純な暮らしをするにも言語に絶する労働が必要とされた。氷点下の川に幼い姉妹が浸かり石を運ぶ。器械を担ぎ遠く村々へ靴下を編みに行く。出稼ぎの工場で落ちている材料袋は全くの端金に換金されるが、村の農作業の1日の手間賃と同じなのだ。70年代のお隣の話しである。引用【ある瞬間、私はついに理解した。

06/06 15:10
これらの時代

父の世代の生涯における苦労と努力、不幸と温情は、すべて生きるため、生きる糧を得るため、そして年老いて死ぬためにあったのだ。】文革時の黄土から作家は終にここへ来たのだ。最後に、本書では「孝」の一つの視座がある。【「孝」という文字は、いまの社会では明らかに古臭い。だが農村では依然として、人生における最大の慰めとなっている。】今の日本ではいかようなのか、どんな国でも人が最後まで背負いつづける「負債」がある。これが全く「慰め」でもあるという。絶え間なく骨身を削るなか、人が凌いで行ける自然を彼らは次に伝えたのだ。

06/06 15:35
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うさぎさん
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現代中国文学作家を代表する閻連科がどのような人々のもとで人生を学び、歩んできたかを垣間見ることができる。 激動の革命時代の中国で翻弄される大衆のひとりに過ぎない彼の直結尊属たち。その生き様への彼の憧憬は、他人である私には理解できないが、それ自体を羨ましく思う。
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Roadblue
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私と同い年の閻連科は、25、6歳の時に父を亡くしている。貧乏を運命付けられた農村に生まれ、58歳の人生を生きた閻連科の父、伯父、叔父を中心に家族の思い出が描かれている。自分自身や父に対する痛悔の念も。 美しく取り繕うことなく、赤裸々という印象でもなく、家族への暴力、博打好き、見栄や貧乏などが書かれ、しかも、父や伯父、叔父に対する尊敬や暖かい恋慕の思いがしっかり伝わってくる。 先に読んだ「年月日」の先じいとメナシのモデルはこの三人だろうか。 身につまされる部分もあり読んでいて多少痛い気持ちもする本であった。
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harass
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現代中国作家のエッセイ。父、叔父、伯父や家族との思い出や子供時代を率直に優しく語る。小作農出身の著者が中国の農村の生活の日々や労働など、現代日本ではもう見られないほどの貧困や生きることの苛烈さと、それらからの脱出と後悔が綴られている。文化大革命時の都市部インテリの放下の実際などいろいろ興味深いところがある。読み慣れない中国人作家のせいか、表現や考え方に癖を感じた。邦訳の作品はだいたい読んでいるがやはりロマンチシズム溢れる作家だ。
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燃えつきた棒
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作者が父母や親族に寄せる眼差しのやわらかさが胸を打つ。 映画で言えば、マイケル・ウィンターボトムの「ひかりのまち」のような味わい。 それほど厚い本でもないのに、特別活字が小さい訳でもないのに、何故か涙が止まらなかった。
燃えつきた棒

わたくしたちはやがてまた わたくしたちのちちははのように 痩せほそったちいさなからだを かるく かるく 湖にすてにゆくだろう そしてわたくしたちのぬけがらを 蟹はあとかたもなく食いつくすだろう むかし わたくしたちのちちははのぬけがらを あとかたもなく食いつくしたように それはわたくしたちのねがいである こどもたちが寝いると わたくしたちは小屋をぬけだし 湖に舟をうかべる 湖の上はうすあかるく わたくしたちはふるえながら やさしく くるしく むつびあう ―会田綱雄の詩集『鹹湖』より―

01/11 16:36
燃えつきた棒

そして突然知る。 「蟹を食う人」とは、僕自身だったのだ。

01/11 16:36
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0255文字
blue_blue
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作家の回想録、農民の生活史でもある。『愉楽』『丁庄の夢』でも貧しくも善良な人びとが懸命に生きぬく姿が描かれていたが、その根底にあるのは家族への愛と望郷の想い、決して消えない罪の意識だったのか。父と伯父、叔父。農民で、労働者で、父であった彼らの「この世で成し遂げたい唯一のこと」は、子どもたちが結婚し独立するのを見届けること。その責務を何としてでも果たさんとする姿に言葉を失う。わたしは、自分の生の目的を理解できているのだろうか。ごく抑えた筆致なのに絞りだすように紡がれた言葉たちに胸がつまる。素晴らしかった。
blue_blue

「若いうちは生活を大事にしなさい。年とって、病気や孤独に見舞われたら、死と仲良く付き合うことだ。死がいつも影のように寄り添っていることを忘れるな。だが、死が一緒にいることをつねに意識する必要はない。」

01/06 18:12
blue_blue

尊厳、孝行など身につまされるように読んだ。四半世紀以上前の中国農村部なのだが、そこに生きる人びとに既視感。というか、現代日本の都市ー地方と通ずるところも多々ある。このひとの随筆、もっと読みたい。

01/06 18:16
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rucho
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ネタバレ中国の反体制作家と目される著者の家族をめぐる回想録。当時の中国の農村の暮らしは、箍のゆるんだような時代に生きる私たちからは想像もつかないほど貧しかったようです。過酷な暮らしにも関わらず家族を必死に支えて死をむかえた、父、伯父、叔父。娘を亡くした傷心の伯父に振る舞うチャーハンのエピソードは涙なしに読めませんでした…。苦しい暮らしぶりを描きながら、暖かさで全編を覆われている感じがするのは、著者の家族への愛情と敬意ゆえでしょうか。ときどき読み返したくなる一冊でした。
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きゅー
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文化大革命時代を生きた閻連科と、彼の父や親族の生き様が綴られる。同じ中国の作家、高行健の作品のように、ここには自己に対する途方もなく冷徹な視線がある。この情け容赦なく自分の身と心を切り刻む筆致には寒気を覚える。しかし、それは摩耗した感情から生まれているのではなく、作家として、あるいは人間として不退転の決意で書かれたものであり、一文字一文字に彼の血涙を見るようだ。父の死の場面などは偉大な悲劇作品におけるカタストロフに匹敵する。言葉というものがこれほどまでに暴力的で、荒々しく、なおかつ叙情的であり得るとは。
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けいと
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文革の時代の知識青年から見た小説は読んだことはあるが農民からの視点であの頃を見るとやはり大きく違うものだと感じた。 ー都会に人々は日々の「暮らし」を「生活」と呼ぶ。田舎の人は「生活」を「暮らし」と呼ぶ。ー 閻連科の書く小説は泥臭い。黄土を這いずり回って生きてきた彼の父や叔父、そして農民たちの生きてきた証なんだと思う。
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おかこさん
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読んでいて涙が込み上げて仕方なかった。理不尽で圧倒的な貧富の格差に。父と、伯父と叔父をうちのめした貧しさに。第三者の記録では得難い、中国作家の自伝的エッセイです。同作家の小説を読んだ方に、ぜひおすすめしたい。流麗な文章なので、中文が苦手な方でも楽しめると思います。
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父を想う: ある中国作家の自省と回想評価73感想・レビュー15