読書メーター KADOKAWA Group

中国の論理 - 歴史から解き明かす (中公新書 2392)

感想・レビュー
89

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
アルビーノン
新着
漢代に成立した中国の史学・史書には、政府政権の存在理由の正当性を、具体的な事実に拠って説明するという役割がある。そこでは、唯一の「正しい」認識があくまで前提であって、そうした教理・認識からみて、「正しい」方法・筋道にしたがった政権授受の経過•系譜すなわち「正統」を記録し後世に伝えるのが、史書の目的であり、すべてに優先することになる。
アルビーノン

中国は、歴史的•構造的に、「士」という上層エリートと「庶」という基層社会、また「官」と「民」とが乖離した二元社会であり、それは20世紀に入っても厳存し、かつそれを統治すべき強力な政府も存在しなかった。そのため、エリートに対する規制取締、民間に対する治安維持がゆきとどかない状態となっていた。しかし、抗日戦争における戦時の総動員体制において、この二元構造が解消し始める。

03/21 16:44
アルビーノン

そして毛沢東による中華人民共和国に至って、基層社会へ権力が浸透し、国家と社会の一体化が進んで西洋近代の国民国家体制に近づいた。しかし、現実に上下一体化は実現困難であり、むしろ二元構造のまま、政治は「社会主義」を信奉する共産党支配を維持し、なおかつ、民間が「市場経済」を取り入れて経済を再建していこうとしたものが、鄧小平による「改革開放」であると評価できる。

03/21 16:44
8件のコメントを全て見る
0255文字
🐴
新着
題名の通り、現代の中国の行動様式、思考様式の所以を、古代からの社会構造・思想・世界観から解き明かす。前半は古代から近世にかけての形成を追い、後半は近代を経てもなお、その社会構造・思想・世界観が現代まで引き継がれることを示す。著者が指摘する上下の乖離した社会構造という中国の特徴は、王朝がなまじ広い領域を統治できてしまった故、コミットが薄くなってしまった弊害であると感じた。中国の帝国としての版図的支配で生まれた世界観と、領域国家により構成される西洋で生まれた世界観が、不適合を起こしているのが現代と捉えた。
0255文字
鮭
新着
中国人の思考回路をその古代からの歴史から辿っている一冊。士大夫と庶民の差は元々感じていたが、そこを更に分けて官、士、庶となっていたことは興味深いなと思った。近代化における梁啓超の試みも面白い。確かにそれまでの改革はあくまで古典引用からは逃れらないのはイメージ通りと感じた。和漢語の進展等、意外なところで日本が中国の近代化に寄与しているのは興味深い。
0255文字
白いカラス
新着
中国はやはり中華上位・周辺国は外夷・下位であるべしと言う世界観から抜け出せないようですね。確かに歴史はすごいものがあり、私達も中国は嫌いで溜飲を下げているだけでは駄目なのかもしれませんね!!少しでも理解できるように努力する必要があるのでしょうね。
0255文字
numainu
新着
評価A
0255文字
バルジ
新着
再読。米中対立も喧しい中、歴史的な来歴からその「論理」を探る本書の価値は頗る高い。中国史を一貫している二元構造、士と庶、華と夷、正と偽、等それらの構造がいかに歴史的な産物か本書を読むと理解できる。近年の高圧的な中国外交の口ぶりもこの歴史的な文脈から読み解くとあまり意外性が無い。外交を与る者が他国を「小国」自国を「大国」と表現して憚らない背景にはこの文脈を抜きにしては理解しえないだろう。「正しい」歴史認識も彼らからすれば何も違和感のない感覚なのである。反発する前に彼の国の歴史的思考様式を知る最適な一冊である
0255文字
miyuko
新着
中国3000年の歴史と言うが、その思想の根底をなす儒教も2500年以上の歴史をもつ。神武天皇のもと日本が成立した頃(私たちにとっては神話のような時代)から脈々と受け継がれてきたのだから恐れ入る。中国の論理、つまり中国の理屈のこね方は筋金入りなのだ。本書は歴史をひもときつつ、中国の論理を丁寧に解説する。 興味深い一冊だった。
0255文字
boze
新着
☆☆☆☆☆
0255文字
静かな生活
新着
Review Scores 70/100:中国を語ることは難しい。
0255文字
SHUE
新着
東洋史専攻でしたが、今から読み直してみて非常に参考になりました。この概念確かに学部生が理解するのはなかなか難しいものがあるなーと現役時代思い出しました。
0255文字
だっしゅ
新着
ネタバレ「かれらの到達した結論は、毛沢東的な「革命」「階級闘争」、上下一体化は実現困難であって、むしろ二元構造のまま、共産党支配を維持し、なおかつ経済を再建しようとの方針である。それが一九七八年にはじまる「改革開放」であり、のち「社会主義市場経済」という体制に結実する方針の採用だった。…政治は「社会主義」を信奉する共産党が一手にひきうけ、経済は民間が「市場経済」をとりいれて建てなおしてゆく、という二元構造をいいあらわしているからである。毛沢東も最後まで克服できなかった上下乖離の社会構成にみあう体制だった」203頁
0255文字
ひろ
新着
★★★☆☆。連綿と受け継がれた中華思想・体制の正統性に対する意識が西洋文化の直輸入・受容を拒み、歴史を真偽でなく正邪で判断する風土を生んだという説明に納得。エリートと庶民の対立がキリスト教や民主主義のような西洋的な平等の概念にそもそも合わず、儒教が現代においても根を張っている構造はこれからも不変なのだろう。そう考えると日本人のミーハーさはどこにルーツを持つのかが不思議に感じてきた。
0255文字
たろーたん
新着
面白かったのは、中国の精神としての儒教。そして、その儒教の精神は「中庸」。極端に走らないことが最大の徳目である。ほどほどが最善ということだ。また、儒教の立場は、自分本位であり、自分という存在をまず尊重し、のちに公に尽くす。「衣食足りて礼節を知る」などは、自分の衣食が乏しいのに、他人への礼節なんて無理という、自分がまず最初と説いたものなのだ。ただ、全体として体系化されておらず、羅列的だったので、個人的にはそこまで好きな本じゃないかも。
0255文字
へやせま
新着
初学者の入門にはいいのかもしれないが、物足りない。孫文がほとんどでてこないのもそうで、新書で中国全史を扱うとこうなるよなと。おなじ中公新書で中島氏の「中国哲学史」のほうが中国の論理がよくわかるのではないかと思う。どうせなら数人の思想家に絞ったら?それか華夷の論理?まぁ、講義ノートベースなら仕方ないか。ほかに著者の本を読む予定なので、そっちで埋め合わせようと思う
0255文字
シマ
新着
孔子の理念を明らかにしようとして編纂された歴史書「春秋」に端を持つ中国の「正史」の伝統、それが正統というイデオロギーを紡ぐ。そこから中国は統一体であるというイデオロギーが生まれ、多くの時代がそれに反する正すべき「分裂時代」であったという認識が生まれる。また華夷秩序、現在の中国の範囲は清朝と重ね合わされているが、その起源は満州にある。それが五族共和という理念のもと漢人に同化した。つまり領土に住む夷である民族は漢人より下位に属する中国の国民であるとして、「一体化して同化すべき」という論理となった、としている。
0255文字
らおがんま
新着
面白い。現代中国を語る上で歴史は欠かせないものの、昨今の中国本はどちらか一方だけに焦点を当てたものが多い。とはいえ、中国の歴史を学ぶのは骨が折れるし、現代中国は複雑な論理で動いているようにも見える。中国のロジックを歴史から紐解くと頓珍漢な彼らの動きに通ずるものが見えて来る。本書は「中国の論理」に絞って歴史を見ていくため非常にわかりやすい。
0255文字
[A lie]
新着
★★★★★
0255文字
ひよピパパ
新着
昨今の国際情勢の中で唯我独尊的な立ち居振る舞いをしている(?)中国の姿勢の根拠を、歴史的に跡づけた好著。中国の歴史の捉え方がマクロ的でわかりやすい。また、その歴史性が現代につながっているという点は説得力があった。ただ、今の中国の動向を見ていると、中国共産党自体に対する詳細な分析も必須だとも感じた。
0255文字
しゅい
新着
中国の長い歴史の中で、巨大な外の国との関わりが比較的少なく,儒教、科挙のような内部統治システムで歴史を歩んできた。十九世紀以降の欧米との接触の後も過去の構造を引きずっていると言うことか。
0255文字
nickkk
新着
「三体」への理解を深めるために要約の要約 儒教 孔子編纂『春秋』 ・中庸 ↔キリスト教 奇跡を信じ、現実を疑う →科学的に進化 儒教の理念 自分本位「衣食足りて礼節を知る」 『資治通鑑』儒教理念を精確に表現→限定される政治史 … 新文化運動 「全盤西化」を目指す→儒教の排撃 「民族」「民権」「民生」の三民主義 →「民族主義」=「反帝国主義」、「民生主義」⊃「社会主義」 文化大革命 一元化を目指す「階級闘争」 →経済の落ち込み→二元構造、経済再建を目指す →二元構造の乖離→腐敗の蔓延・犯罪の多発
0255文字
夢仙人
新着
まあまあ。
0255文字
taku1531
新着
今夜の読書会本、本編も読み応えあったけど著者のルーツを示すあとがき部分もかなり面白いな……
0255文字
屋根裏の塩
新着
理解はできたが、いつかまた再読したい本。
0255文字
ピオリーヌ
新着
中国伝統の学問分類を「四部」といい、「経」「史」「子」「集」の四つに大別される。この四つは上下の序列であり、「経」は儒教を意味し、「史」は儒教が説く抽象的な教義の前提条件に応じて、記すに値する歴史事実・人間行為のみを選び、記した物、「子」は儒教以外の諸子百家、「集」は更にそれ以外の書籍を指す。この中国での儒教の歴史的地位の高さは言うまでもなく、清末まで続く。アヘン戦争が起こり、武力で圧倒されても、あくまで相手の西洋はしょせん野蛮人、条約も暴れた相手を大人しくさせる「撫夷」でしかなかった。
0255文字
polythenepam_m
新着
7 長い長い歴史があり、それが他の国にはない良さなのだか、その結果出来上がった「中華」という意識が、自らを至上とし、自らと異なる事はすなわち劣ることと同義だという思想となる。非常に特異な、端からは理解するのも難しい国である。
0255文字
in medio tutissimus ibis.
新着
中国の論理とは儒教であり、自己中心から導き出される上下関係の原理主義である。故に、伝統的知の体系は「経史子集」四部の階層を為す。正統の闡明であるべき歴史に客観は容れられず、それ以外の知の諸体系は尊重されない。その展開の先に社会における士と庶は乖離し、世界の華と夷は隔絶した。近代化を余儀なくされる中で、正統は瓜分に抗う愛国に置き換えられながらも何らかの理想が歴史に先行する構造の変化がなかったように、この論理は今日も生きている。歴史認識、覇権主義、少数民族弾圧、領土問題などに働く論理は、嫌だけど確かに面白い。
0255文字
白山手賀
新着
中国において、儒教がメジャーであるとの認識はあったが、ここまでダントツとは、知りませんでした。西洋近代化の過程でも、康有為による儒教のキリスト教化など、附会の苦しみがあったと初めて知った。
0255文字
Masayuki Shimura
新着
【そんな百年,中国の思考・発言・行動は,目まぐるしい転変をくりかえした。けれどもその経過を貫いていたのは,中国の言動を根底で枠づける社会構造,論理枠組の本質が,いかに変わらなかったか,という事実ではなかろうか】(文中より引用)・・・・・大枠で中国という存在を捉えるのにうってつけの作品かと。しかもそれが平易な言葉で記されているというところがまた高評価を与えたくなる点。中国の論理を提示しながらも,必ずしもその通りに現実は動いていないという点を指摘していることもまた重要に感じられました。
0255文字
バルジ
新着
中々理解し難い中国の「論理」を歴史的な視座から読み解く。本書では中国社会の二元性、儒教の束縛とその解放、中華世界の世界観、歴史認識の基層となる体制イデオロギーへの従属が説かれる。特に面白いのは日中の歴史問題でもお馴染みの「正しい歴史認識」の根底にある史学の体制イデオロギーへの従属である。いかに考証学が発達し正確な史実の確定が行われたとしても、そもそも体制に合致しない歴史は改変されるらしい。江戸時代、荻生徂徠や伊藤仁斎が厳しく批判した「史学」であるが現在の中国を見るにその伝統は連綿と続いているように見える。
0255文字
(ま)
新着
時間・空間・政治社会への儒教の束縛と超克、抜け出せぬ桎梏
0255文字
狐
新着
勉強になりました。いつの日か再読したいです。
0255文字
じろう
新着
現代中国国家の論理を説明してくれるのかと思ったら中国通史だった。士と庶を区別してあるんだから士の論理だけでなく庶の論理も取り上げてほしいところ。
0255文字
うるの
新着
中国人の思考がどのように形成されていったのかが知りたくて手に取りました。その辺りに絡められてはいますが、メインは中国の歴史。ちょっと読みたかったのと違ったかな?とも思いましたが、楽しく読めました。中国の歴史書は歴史の事実を記すモノでない、や西洋化のための「こじつけ」の論理といった辺りになるほどと思いました。韓国や中国の思考の源泉になっている儒教という考えにもっと触れてみたいです。
0255文字
Arnold
新着
儒教と華夷思想の結びつきが中国の論理であることを学んだ。難しかった。「衣食足りて礼節をなす」は好きな言葉。その意味や解釈、それが中国の論理を形成したという説明になるほどとおもいました。
0255文字
まっちゃん2
新着
図書館:世界人類の厄介者、それは中国というか中華人民共和国、とくに共産党。なんで彼らは迷惑なめちゃくちゃなことを言い、するのか。我々はどう対処したらいいのか、中国というものを知るために読んでみよう。重要なところを完結に一冊にまとめ上げてくれています。
0255文字
AKa
新着
東洋史概説の講義がベースとなっているが、時間を追ってという構成ではなく、ドグマ(儒教や史学)と社会・政治構造(「士」と「庶」)、そして世界秩序(「天下」「華夷」)という中国の論理の在り方を前近代を通じて説明し、近代以降はそれに対してどう衝撃が与えられたのかを述べている。要するに、現代中国の政治外交について見極める際に、彼らの持つ論理の型にはまったものなのか、それとも型破りなのか、はたまた型なしなのかを意識する必要があるのではないか。そしてそれを判断するためには、彼らの論理を知る必要があるのだろう。
AKa

この本に一番出てくる名前が梁啓超なのだが、彼をカタカナ語を並べる軽薄な人物と評していて笑えると同時に、中国人の和製漢語への感覚について納得が行く喩えであるなと感じた。

10/30 07:53
0255文字
テイネハイランド
新着
ネタバレ図書館本。中国人の伝統的な物の考え方について、その歴史的背景から探った本です。西洋との文明の衝突が本格的に起きる前の中国では、学問の分類は、経・史・子・集の「四部」に序列化されていて、科挙制度により「四部」を修めた人材を支配者層「士太夫」として起用する仕組みが長年続いてきました。そんな中国が、今まで蛮人と見下してきた西洋の文化・文明をどのように取り入れていったのか?第4章では、「戊戌の変法」と「附会」、日本に学んだ「梁啓超」の運動などについて触れていて、中国史に詳しくない私には有益だったように思います。
0255文字
お抹茶
新着
儒教や古代史から中国の思考回路を探る。秦から前漢にかけては,エリートの士も庶と変わらない存在で,断層はほとんどなかった。しかし,漢以降は個々人の競合が貧富の格差を生み,秩序の維持に儒教が適した。王安石の新法では流品の差を改めようとしたが,当時の中国人にとって差別は当然であり,科挙の存続と軌を一にして,「士」と「庶」を合一にする動きは中国革命まで起きなかった。官吏の腐敗や犯罪の多発は上下分離した二元社会の特徴であり,毛沢東による「人民革命」で権力が基層社会に浸透し,国家と社会の一体化が進んだともいえる。
0255文字
Hatann
新着
再読。歴史を紐解いて中国人の思考回路を探ろうとするが、逆に言えば、日本人の思考回路に硬直的なものがないかと検証することとなる。中国における歴史学の役割は、現政権の正当性を具体的な事実によって説明することにある。しかも、当該説明が正史として位置づけられる。戦前の日本も皇国史観に従って主観的な歴史学を組み立てていたし、そもそもイデオロギーの解釈を許さない純粋に客観的な歴史学が存在すると考えること自体が傲慢に思える。他にも「士・庶」「華・夷」といった中国を取り巻く二元性が説明される。これらは相対的な違いかな。
0255文字
全89件中 1-40 件を表示
中国の論理 - 歴史から解き明かす (中公新書 2392)評価71感想・レビュー89