形式:新書
出版社:中央公論新社
中国は、歴史的•構造的に、「士」という上層エリートと「庶」という基層社会、また「官」と「民」とが乖離した二元社会であり、それは20世紀に入っても厳存し、かつそれを統治すべき強力な政府も存在しなかった。そのため、エリートに対する規制取締、民間に対する治安維持がゆきとどかない状態となっていた。しかし、抗日戦争における戦時の総動員体制において、この二元構造が解消し始める。
そして毛沢東による中華人民共和国に至って、基層社会へ権力が浸透し、国家と社会の一体化が進んで西洋近代の国民国家体制に近づいた。しかし、現実に上下一体化は実現困難であり、むしろ二元構造のまま、政治は「社会主義」を信奉する共産党支配を維持し、なおかつ、民間が「市場経済」を取り入れて経済を再建していこうとしたものが、鄧小平による「改革開放」であると評価できる。
この本に一番出てくる名前が梁啓超なのだが、彼をカタカナ語を並べる軽薄な人物と評していて笑えると同時に、中国人の和製漢語への感覚について納得が行く喩えであるなと感じた。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます
中国は、歴史的•構造的に、「士」という上層エリートと「庶」という基層社会、また「官」と「民」とが乖離した二元社会であり、それは20世紀に入っても厳存し、かつそれを統治すべき強力な政府も存在しなかった。そのため、エリートに対する規制取締、民間に対する治安維持がゆきとどかない状態となっていた。しかし、抗日戦争における戦時の総動員体制において、この二元構造が解消し始める。
そして毛沢東による中華人民共和国に至って、基層社会へ権力が浸透し、国家と社会の一体化が進んで西洋近代の国民国家体制に近づいた。しかし、現実に上下一体化は実現困難であり、むしろ二元構造のまま、政治は「社会主義」を信奉する共産党支配を維持し、なおかつ、民間が「市場経済」を取り入れて経済を再建していこうとしたものが、鄧小平による「改革開放」であると評価できる。