形式:単行本
出版社:童心社
『152p「おまえ、腹へって死にかけたことないだろ」「死にそうだったことなら、何回もあるぜ。チビのころだけどな。食い物がマヨネーズだけってとかさ。マジ、死ぬかとおもった」「電気止められてさ、気がついたら、冷蔵庫のものみんなくさっててさ。笑えるよな。冷蔵庫開けたらあったか~いの。野菜がどろどろになってんの」』聖哉くんが「チェンソーマン」のデンジくんとダブってみえる……。
ナオミ・ノヴィク「死のエデュケーション」シリーズのスコロマンス魔法学校と同じ位健気な「学校」さんだ……。
校舎に自分たち以外だれもいないと分かった後、どうやって暮らしていくかを考える場面がユニーク。「学校にはこれがある」と思い出せたものは出てくるー給食、靴、ボール、プールの鍵、備蓄食料、家庭科室の調理器具…徐々に快適になっていく神隠し生活。辛い元の生活よりここの方がいいかもとさえ思い始める。それでも職員室のテレビで心配でやつれた親たちを見て、問題と向き合い始める者、残りたいという者、どうやら意見が一致しないと帰れないらしい。ネグレクトの聖哉の話が切なくもよかった。
取り壊し寸前の古い校舎は何千人もの子どもたちと過ごし見送ってきた。その校舎が守ってあげたい、匿ってあげたいと思った子にだけ開かれた扉、さらに20年前いじめにあい同じ校舎に隠してもらった養護教諭早苗先生の思いが意図せず働き、彼女が気にしていた5人が選ばれたと判明していく。現代的な児童問題を扱いながら、無理に完全解決させない点が個人的には好き。子どもにとって大切なのは、問題を問題として認識できることだったりするので、その気づきを与えてくれる方が意義がある。解決談はイイ話過ぎて、かえって嘘くさくなりがち。
→子供達の幸福の在り様を大きく左右する大人達の都合は何も解決しておらず、そこはやはり重い…。どれだけボリュームが増えてもいいから、もっと掘り下げた所も読みたいです。
図書館で読んで気に入ったからおこづかいで買った、もう6回読んだ、と言って貸してくれた姪が、どんな感想を持ったのか気になるところ。大切な本を貸してくれたことに感謝です。
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