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島津四兄弟の九州統一戦 (星海社新書)

感想・レビュー
31

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金監禾重
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新名氏の島津シリーズ。薩摩・大隅・南日向の制覇から秀吉に降伏するまで。四兄弟期の島津氏は戦国最強、破竹の勢いで九州統一寸前に迫った印象だったが、完全に覆された。当主義久は強権を振るえず、重臣合議と神籤頼み。重臣たちはそれぞれの利害から軍議を難航させ、方針が二転三転する。特に家久の野心的な動きが強烈。より自分の地位向上につながる方面に戦線を動かすために勝手な調略、勝手な和睦交渉と暗躍する。反抗的とまでは言えないが、島津氏全体の動きを妨害するのだが、それでいて要所で異常な大勝を掴み取る、不可欠の人物である。
金監禾重

沖田畷の戦いで大敗・従属した龍造寺氏が意外と強気に城を要求したこと、岩屋城攻めが兵力不足だったことなどは本書で新しく知った。島津家は決して「圧倒的」ではなかった。そして、いつもながら四兄弟の三番目、歳久は影が薄い...

01/21 10:40
0255文字
Toska
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一口に「戦国時代」と言っても、地域間の差異は相当に大きい。島津一族や家臣たちはとにかく統制が取れず、信長・秀吉なら許されないかもなんて書かれているけど、北条や武田でもダメだと思います。ことあるごとに神慮(籤引き)で方針を決めるのも驚き。ただ、こうした素朴な軍隊が戦争に弱いかと言うとそんなことはなく、全く逆なのが面白い。素朴な人的結合で結ばれた軍団が、思いもよらないパワーを発揮する場合もあった。つくづく、この時代に我々の考える「軍事的合理性」を機械的に当てはめることはできないのだと思い知らされる。
Toska

幕府や朝廷との交流は意外なほど密な印象。そうした場で重要な役割を果たしたのが和歌などの古典的教養だった。島津氏をむやみに野蛮人扱いしないでいただきたい、という著者の気持ちはよく分かる。ソフトパワーの重要性。名著『武士はなぜ歌を詠むか』を思い出す。「共通言語」としての和歌が列島を覆い尽くしていたというのは、考えてみれば大変な話だ。

01/20 06:00
0255文字
げんさん
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良書だった。資料を基に、主に天正年間の島津家の動きを追う。島津家は戦国大名とは言え、重大事項は御籤で神慮を問わなければいけないなど、領主の権限に中世的な部分が多く残されていたようだ。タイトルにもある四兄弟は、義弘、家久が忙しく立ち回る(家久について、筆者は「暴走」と表現)が、義久、歳久は根拠地からほとんど動いておらず、四兄弟の在り方は、私が抱いていたイメージ(四人が重要局面では肩を並べて戦う)と史実では大きく異なるようだった。
0255文字
かずー
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【図書館本】父方のルーツが鹿児島県にあるので、昔から気になっていた島津四兄弟について、だいぶイメージが変わった。優柔不断(に見えちゃう)義久公。戦場では力を発揮するものの、肥後方面では戦略的な資質不足を露呈した義弘公(個人的な資質だけではなく、当時の島津家中の状況などもあったと思うが)。非業の最期を遂げた歳久公。戦場では義弘公に勝るとも劣らない力を発揮するものの、嘘をついて義弘公に怒られた家久公。個人としては、仲の良い四兄弟だったのかもしれないが…大名家に生まれると、いろいろあるんだろうなあ。
0255文字
総兵衛
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九州地方の戦国史をよく知らなかったのでとても勉強になりました。 「島津四兄弟」の実像もですが、「太守」義久の権力や「名代」義弘の立場、取次としての家久・伊集院忠棟・上井覚兼などの活動が(個人的に)特に面白かったです。
0255文字
スー
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25圧倒的な強さを誇る島津家その理由は?やはり日新斎が認めた4兄弟が強力してたからと思ってましたけど実際はそうでもなかったようです。戦略的な視点を持った義久が前線指揮官としては強いがより大きな軍の指揮となるとまとめられない義弘、影が薄い歳久(手紙の発給数が極端に少ないのでどうやら抹殺されたらしい)、戦には天才的だが根回しが苦手で独善的な為に家中で孤立気味の家久等とゆるい規律で繋がり命令違反が多い家臣団を苦慮してまとめなんとかやっていたのが実状だったよう。義久の苦労がよく読み取れました。
0255文字
USHISUKE
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一次史料中心でこんなにもイキイキと戦国時代を活写できるんだと大感動。ワガママ放題な義弘歳久家久を政治外交人事のバランス感覚優れた義久が捌く!薩隅日3か国統一の際に高城・耳川合戦で大友氏に勝ちすぎ「島津氏の面目」のため九州全土に戦線拡大&泥沼化!更に一番の気づきは島津氏の太守による統治権の弱さ!重要事項は"最高諮問機関"たる老中他の「談合(太守臨席せず)」で衆議、結果に太守が裁可を下すフロー。これは批判が太守自身に向かうことを避けつつ島津氏全体の意思統一を図れる一方意思決定の遅さが特徴。胸の高鳴りエンドレス
0255文字
岡本
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島津義久が当主になってから戦国時代の終わりまでを一次資料を基に纏めた一冊。最終章では考察を含めて確り纏められており、我々の知る島津四兄弟のイメージが史実とは異なる部分が多い事を知る。取次同士の諍いや名門島津家のプライドからくる外聞を気にし過ぎた事などが拡張路線と九州統一戦の失敗に繋がった。戦国島津家の認識を改める良書。
0255文字
yutaro13
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一次資料をもとに島津四兄弟の九州統一戦を辿る。戦国島津家の外交・軍事方針の決定に他国の国衆と太守・義久を繋ぐ取次が重要な役割を果たしていたことや、一般的なイメージほど四兄弟の結束が一筋縄ではなかったことが指摘されており興味深い。ちょくちょく義久の方針に反して武将が暴走するのが島津家が特徴。これが織田家なら打首ものだろう。先に読んだ歴史小説『破天の剣』では、主人公・家久がやたらと戦上手として描かれていたが、研究者の著者をして「家久の前線における神がかった軍功」と書かしめるほどの歴史的事実ではあったようだ。
0255文字
広瀬研究会
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戦国島津氏というと、慎重な長兄・義久、戦上手の次兄・義弘というイメージ。この本が扱う範囲は秀吉の九州平定までなので、義弘の存在感はそれほどではなく、むしろ末弟の家久が才気走った感があって印象的だった。本拠地にどっしり構える義久を頼朝になぞらえると、家久は義経って感じかも。
0255文字
ひろゆき
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耳川の戦いとか重要な戦闘にはせめて地図をつけてほしい。そもそも戦闘そのものの記述はあっさり。かわりに各地の小領主の帰趨、向背の記述が多く、これもやはり地理的な情勢がわかりにくいため、なかなか頭に残らない感じ。新書にしては詰め込んだ内容で、相当のマニアでないと眠くなるかも。
0255文字
Junichi Kitazawa
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なかなか面白かったけど、やっぱり歳久は地味ねえ。。。。。 にしても前線の若手が独断で突っ走っても特に咎められないってのはなんというか
0255文字
まさき
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ここから立花宗茂や立花道雪、さらに関ヶ原などにも知識の根を広げられるとてもいい本。ただ、僕みたいに「九州は疎くて…」だとたかが300ページがとても長いです。サラッと書いてる話もググると鬼門。有名な四兄弟についての親からの批評と違い、家久が「尖ってる」武闘派で面白い。とりあえず内容をきちんと理解するには三周は必要でした…そのうちあと二周。
0255文字
わたぼう
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戦国九州については大名の名前くらいしか知らなかったが、大変興味深く読んだ。一般に流布している無敵の島津家的イメージは近代に作られたもので、実態はかなり異なるという。兄弟家中それぞれ自分の都合で勝手に動いていたり、割と戦争に負けてたり。史料がなくてイマイチ何してたのか分からない歳久。。。 良書だと思うのだが、段落や句読点のミスなど編集側の不備と思われる点が目についた(初版)。
0255文字
木倉兵馬
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まず第一に驚きかつ興味を覚えたのは、創作物で仲の良い兄弟だとされる義久、義弘、歳久、家久の四人が必ずしも以心伝心ではなかった、ということです。次に、くじ引きが戦国島津氏の意思決定に大きな影響を与えていたことは知っていたのですけれども、思っていた以上に大事にされたようでした。また、九州統一は島津家で当初から決まっていたわけではなく、国人衆などの保護によって面目を守るため結果でそうなった、というのも面白かったですね。意思決定系統がめちゃくちゃだったというのも同様。いろいろと認識を改めさせられました。
0255文字
shampo
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島津四兄弟時代の戦いにフォーカスした本。島津家って最初から最後まで本当にまとまりが無いけど、なんやかんやで戦争には割と勝てるし致命的な家中分裂とかは無いしで結果なんとかなっちゃう凄さ。新書で読みやすいし買って損は無い 義久お兄ちゃんは不憫
0255文字
m__akiyoshi
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本文中にもあったが、以前丸島氏の著書で島津家久の外交で根回しが苦手な面が書かれていたが、家久だけでなく、島津家内での路線対立があったから強引な手に出ざるを得なかったのかな?義久と義弘兄弟でさえ路線が違うのだから。 それにしても島津家の意思決定方法が当主に強い権限が無いのが、良い面もあり悪い面もあり…。
0255文字
ホームズ
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ネタバレ戦国時代の九州は秀吉の九州攻めあたりから色々取り上げられるけど、それまでの島津の戦いについてはあまり知らなかった。九州では無敵のイメージがあった島津だけど、大友や龍造寺との戦いでは割りと負けたり決戦とかでは運とかで勝っていたり意外な話が多く楽しめた。兄弟仲も力を合わせながら微妙な関係があったり、家久の暴走や暗躍など面白かった。
0255文字
駅長ポニョ
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戦国九州を席巻した島津四兄弟。 結束が強いように見えた彼らも、個性が強く必ずしも一枚岩ではない実像が見えてきました。 豊後に攻め込むタイミングがもう少し早ければどうなったか気になります。 決戦といえる戦は敵の自壊など運によるところが大きく、奇跡を呼び込む強さがあったようです。 耳川・高城合戦後に北九州で策動する秋月種実の暗躍っぷりが印象的で、彼についてももっと知りたくなりました。
0255文字
Oltmk
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戦国時代の島津家を後世の資料をできるだけ排して、当時の一次資料を中心に取り扱う事を目指して書かれた新書。 多くの戦国大名の政治体制が大名中心による体制が目指されていた中で、島津家が老中を中心とした談合によって政治を行っていたとは驚いた。 また、島津4兄弟は仲の良いイメージを持っていたが九州統一を目指していくにしたがって義久や義弘、家久各々が齟齬があったというのも驚き。歳久の資料が後世にあまり残らなかったというのも残念だったが… 見事に島津氏のイメージが崩されるため、おすすめの書籍です。
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onepei
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危ういバランスの上で進められた九州統一
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せいや
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戦国時代は好きな時代だが、九州地方についてはこれまであまりよく知らなかったので、とても新鮮な気持ちで読めた。九州統一目前まで達成した島津四兄弟の軍事力と結束力がありながら、他国への面目を重視する家風、担当方面間での勢力争いなど、島津家内部ではらんでいた様々な問題があったことがわかった。島津軍といえば、朝鮮出兵時や関ヶ原の戦いなどで精強で結束力の堅いイメージがあったが、決して一枚岩ではなかったのだと感じた。
0255文字
やま
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一次史料に基づきつつできる限り読みやすくまとめられた内容。前半はやや見通しが悪い部分があるが後半は一気に読めた。島津家中にも様々な利害の対立があり、また失敗も多かったことがよくわかる。
0255文字
熱東風(あちこち)
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中々に興味深い一冊だった。/島津家の九州席捲は、急成長したために内部組織の整備が追い付かず意志疎通が劣化・硬直化しつつある企業を連想させる。行き違いや齟齬が頻発する様は「島津四兄弟」と世に謳われた結束力の強い一家のイメージとは裏腹である。特に家久の強さは跳ねっ返りと表裏一体という印象(抑えつけられると萎縮してしまうタイプ)/一つ不満なのが、プロローグが長すぎる点。目次の前に20頁も費やして四兄弟のプロフィールを記しているが、そんなのは本文ですべきであろう。目次の態を成していない。/ともあれ良書ではある。
0255文字
matypoyo
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島津四兄弟が強いというイメージがありましたが、いい意味で裏切ってくれました。こういう歴史をじっくりと考えながら読む。さらには出来事を淡々とかいてくれている本は非常に重要かなと。特に、秀吉の九州征伐のときの島津家の対応が見ていて非常に興味深い。相手の出方を探りつつも、自分たちの狙いを達成したいと考えて、行動をしたりとか。。。そこいらを読めば読むほど面白いなぁというのと同時に、普段の生き方に参考になりそうだなとも思えてなりません。強いものにどう対抗していくかとかね。。。
0255文字
うしうし
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島津四兄弟の「結束」を強調する歴史観が、明治末から大正期にかけて形成されたものだということがよく理解できた。特に、豊後侵攻に消極的だった義久とその反対の立場をとる義弘、戦場で独自の動きをする家久など、客観的な史料に基づく分析が見事になされている。島津四兄弟の戦争は、戦国期の九州での政治情勢と極めて密着しており、この点でも各戦国大名の動きが連動して理解できるため、大変勉強になる。最近読んでいる本のほとんどが図書館での借り読みだが、本書は実際の書籍を購入した。購入を後悔させない内容である。
0255文字
シンの字
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島津家老中達の輪郭がうっすらと掴めた気がする。上井覚兼フィルターかかってるかもだが。
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アンパッサン
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家久義弘って大局観的なものはないのね。勝手にどんどん戦争遂行しようとするし。バランサーでトップの義久の苦労たるや…。体調も悪くなるわそりゃ。島津のお家柄、「外聞」に関わることはやるしかないにせよ。あ、この本読んでて秋月種実って金持ちに日サロマシーン高く売りつける嘘くさいリーマンに見えたのは私だけでしょうか。
0255文字
まうんてんブック
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伝説的な戦果ばかりが強調されがちな島津四兄弟とはいかなる実態であったのか、一次資料に基づいて詳細に語られる中々画期的な書。
0255文字
MUNEKAZ
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島津家の九州統一戦、その中でも四兄弟や家中の対立を重視して書かれた一冊。当主・義久の権限が弱く、談合や神慮を重視する意思決定や、従属する国衆のために暴走する取次の老中や一門の姿はなかなか面白い。とくに末っ子・家久は独断専行で暴走を繰り返し、兄たちから叱責されながらも大戦果をあげるなど、もはやマンガである。こうした統治権の弱さを島津家の「古さ」とあげつらうことも出来るが、同時に義久は和平も模索しており、ある意味で戦争責任の分散に繋がっていたのではないかとも思う。
0255文字
さとうしん
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九州統一のために兄弟四人手を取り合って邁進したというイメージが何となく持たれている島津義久・義弘・歳久・家久。しかしその実態は、長兄の太守義久の統治権が弱く、他の兄弟三人がそれぞれの思惑で動いており、島津家は彼ら近親や一門、老中らによる「談合」で動いていたというのが見えてくる。彼らの姿が「中世」のあり方を思わせるとともに、島津家が秀吉に屈服するさまが中世と近世への移り変わりを思わせる。義久と義弘の関係は足利尊氏・直義の関係と比較すると面白いかも。
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島津四兄弟の九州統一戦 (星海社新書)評価78感想・レビュー31