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『源氏物語』女三の宮の〈内面〉 (新典社新書 72)

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mirun
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研究史上「内面」のない女君とされる女三宮の、「内面」とは、何故それがないとされたのかが多角的に考察されている。女三宮評については近年、従来研究よりも肯定的な評価がなされているように思うが、いずれも彼女の性愛を解しない人物像をある種幼いものとしてきた背景があるかと思われる。その点において女三宮を幼いと称するのはあくまで物語や読み手の論理であり、ないと言われている「内面」が存在しない人物ではないことを明らかにする点が良かった。研究による内面の評価が元来「近代的内面」によりがち、というのもかなり納得できる。
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maekoo
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女三宮の持つ精神的内面構造を心理学的な観点から分析した論文です。 紫の上や藤壺の構造論や精神史研究は別の論者の著書で読んでいましたが女三宮は珍しいので読みました。 原文の例を挙げながら女三宮の内面がどう動き変化して行ったか読み解けます。 現代で言えばスマホを観ながら歩く女子高生みたいな幼い心象風景を醸し出す女三宮が柏木事件を通じて何を思いどう動いたかが良く解ります。 普通の男性に恋愛感情を抱かず、父性への依存が甚だしい女三宮は現代女性に通じる部分があるのかもしれませんね。 森鴎外の娘の話は面白かったです。
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myjstyle
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身体も声も小さく、内面がないと言われる女三の宮に対する評価は不当と筆者が憤ります。父朱雀帝から巣立ち、父の元に戻ったとする父娘関係や森茉莉の「甘い蜜の部屋」との類似性に着目したのは面白い。ただ、内面がないという論を批判するなら、その文献を紹介してからにして欲しい。そもそも女三の宮は当初こそ物言わぬ風ですが、妊娠してからは変化します。自我を見せ、我を通すのです。この過程は改めて指摘されるまでもありません。内面がないと見える部分に何があるのかを知りたいのです。
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人鳥
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源氏物語の女君でいうと女三の宮、と複数人から言われて気になっていたことを思い出して購入。外見は真逆だけれど、無粋で空気読めない感じ、生々しいものや執着されることへの嫌悪の強さは似ているかもね…と思った。
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さとうしん
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これまで「内面がない」と見なされてきた『源氏物語』の女三の宮に、もともと男女関係に無関心であったのが、柏木事件を経て性愛や妊娠・出産への嫌悪を自覚し、出家を経て父のもとに戻ることによって男女関係からの離脱を図るという「内面」やその推移を読み取れるとする。これまで否定的に見られていた女三の宮の人物像について、特に「女性性」の面からは現代的な感覚が読み取れるのだというところが面白い。
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鳩羽
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内面が描かれていないというのは、今時の小説への批評でも言われることだが、女三の宮は本当に内面が無かったのか、女三の宮の言葉や歌から推測する。自分の歴史を時系列で辿ることができ、自分の外界と内側の区別ができ、外界から得た刺激を自らの内で変化させ、それを表現できるのが、内面を持ち〈あはれ〉を知る大人の振る舞いだろう。だが、女三の宮はそういう形での自我は持っておらず、不快な男との経験から初めて自我らしきものを持ったとも言える。それが現代的かどうかは分からないが、多様性を考えるとき、現代の方が親和性は強いだろう。
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JR関内駅より徒歩2分 ☆ 永遠番長
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「子育てをめぐる社会環境の貧弱さ」「やりがい搾取」と言いたいがために、手垢の付いてない女三宮をダシにしただけのような感が。序盤は興味深く読みましたが、中盤以降は強引なトンデモ本・著者の自己主張の声が強すぎて、読み通すのが大変でした。これだと女楽の直後に寝込む紫の上が馬鹿みたいです。/「貴女にも似ている?恋愛しないお姫さま」の帯コピー、読み終えた後で見返すと、特定の女性に対する見下し・上から目線がにじみ出ている感じがして、物凄くいやーな気持ちになりました。
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春埜秋岡
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本書は、恋愛から離脱するという形の成長を遂げる女三の宮が、源氏という恋愛物語を揺るがせていると指摘する。これはある程度納得できる。だが三の宮の言葉が源氏の「光」性を排除するとあるのはよくわからなかった。
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