読書メーター KADOKAWA Group

維新史再考―公議・王政から集権・脱身分化へ (NHKブックス No.1248)

感想・レビュー
21

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
MUNEKAZ
新着
大変勉強になる概説書。複雑極まる幕末から維新までの流れを、「公儀」「集権」「脱身分化」をキーワードに読み解く。外圧からの国家防衛を動機とする「公儀」を求める運動は、ついに近世の体制を破壊し、現代の日本に繋がる「国民」や「民主制」を用意することになる。幕末の政局をすっきりわかりやすく説明しているわけではないが、その根底にある争点や各アクターのポジション取りを丁寧に追っているのが理解の助けになる。また幕府が生き残れていたかもしれないIfにも触れている。全て自明の道ではなく、手探りで新しい時代が生まれたのだ。
0255文字
chochu
新着
複雑極まる明治維新の政治過程を、諸勢力がいかなる争点を巡って提携・対抗し、またある争点から異なる争点へと比重を移していったのかを中心に明らかにする。能力や身分と実際の地位のミスマッチから、士族内部での政治参加要求が高まり、それが次第に政権の奪取、身分制の解体の推進力になったことがよく分かった。
0255文字
[A lie]
新着
★★★★★
0255文字
dahatake
新着
明治維新の前後と世界の中との有機的な関連付けは本当に素晴らしい。世界の中だと、蒸気船や電信といった科学の進歩で縮まった世界。そして変化のために幕藩体制ではあったが、実は知的ネットワークは日本国内にも出来ていた点。受け入れる素養を探すところはすごい。 広義をめぐる実に丁寧な追い方。これを見ると、よく薩摩も長州も権力の中枢に入れたものだと思う。徳川慶喜の戦略の凄さも。 政治の世界はわたしには合わない。 それにしても、現状維持しか考えない当時の公家。今もよく目にする。人類は本当に進化してない。
0255文字
うんとこしょ
新着
著者自身が断っているように、明治維新の過程を「変革主体」の視点から記述する方法に距離を置き、めまぐるしく変転する情勢を描こうとしている。朝廷・幕府・雄藩の上層を中心にした権力政治に焦点を当てながら、それぞれのアクターのミクロな振る舞いが集積して情況を不可逆的に規定してゆくさまを、「公議」・「王政」という語を軸にして、既に存在する権力と軍事力の合成と分解が(国際的な力に圧されながら)内向的に展開するさまが語られる。奪取される権力はあるが、権力が無から生成することはないかのように。
0255文字
skunk_c
新着
幕末の複雑な政治変動について、その時々の様々な主体(朝廷、幕閣、一会桑、薩摩、長州、他の雄藩など)の対抗や連合関係を軸にして、どのような力学が歴史に働いたかを整理してある。専ら自身の著作を含めた先行研究を利用しており、内容的には再構築だが、例えばブローデルとそれを参照した複雑系のモデルを考慮したり、世界史の中に位置づけるグローバル・ヒストリー的アプローチを取り入れたりして、かなり上手くまとめられていると思った。途中のマトリクスや各勢力の意図を整理した表が理解を助けてくれる。明治~西南戦争はやや物足りない。
skunk_c

おそらくこの時代の各局面を大局的に把握しようという意図からだと思うが、いわゆる論争的な部分には踏み込んでいない(例えば孝明天皇暗殺説、王政復古の「偽勅」問題、明治六年政変の評価等)。特に明治六年政変については、その後の時代の流れに繋がるので、征韓論争についてはもう少し踏み込んだ見解を読みたかった。また、木戸孝允、大久保利通については全体としてかなり高評価。やはり明治政体を近代世界に適合した設計者としての構想力に対してだろうか。その点で西郷隆盛は物足りないのだろうが、ある意味歴史の追認に終わっているのでは。

05/29 09:33
0255文字
かんがく
新着
同作者の『明治維新とナショナリズム』を一般向けに再構築したような内容。単純化されがちな幕末史の政局がかなり緻密に描かれていて理解が進む。「公議」を目指す越前・薩摩を主軸に添え、江戸と京都の二地点に分けて考えることで幕末史のゴチャゴチャは整理できるかと。「公議」に加え、「脱身分化」「集権化」を維新の主要テーマに置いており、西南戦争まで通史がわかる構成で良い。ところどころ見ていると、幕府が残存するルートもいくらでもありえたなと思った。
0255文字
ヒデじい
新着
江戸時代の政治、どの様に体制や身分を変換できたのか、学校で教えられて来なかったことが、詳細に説明されている。日本人として知らなかったことが恥ずかしい歴史を知ることが出来た
0255文字
バルジ
新着
複雑極まりない幕末維新期の政治過程が概観できる便利な一冊。 先行研究を参考にした上で、幕末維新史を一筋の線として纏め上げた著者の力量にはただただ尊敬の念が起こる。 これを読むと、まるで自明の事のように語られてきた維新への道が内実、各政治アクターの激しい鍔競り合いの中で構想され結実していったことがわかる。
0255文字
書房
新着
現在の維新史研究の到達点ともいえる概説書。「集権化」「脱身分化」という抜本的な改革が犠牲少なく達成されるのは、各アクターが「公論」を背景にしながら、政治的ゲームの中で戦争を回避する選択を行い続けたからだと論じる。安政五年の政変や戊辰内乱が近世日本を支えた原理を大きく覆したこと、目まぐるしく動く政局の中で徐々に政治体制が移り変わってゆくさま、一橋慶喜は鳥羽伏見の寸前まで政治的勝利を収める可能性が高かったことなど、非常に興味深い。一方で、「公論」に著者は多く期待しすぎているのではないかという疑問も残る。
0255文字
Zhao
新着
ネタバレ読了。読み応えのあるボリュームだった。 駆け抜けた中高の授業や、端的に過ぎるドラマとは違い、幕末維新期のおさらいはできたけど、本書に説かれるように明治維新がそこまで画期的だったのかどうかは?という感じ。 歴史にIfはないけれど、あの時、ハリスが北上しなければ、もう少し徳川慶喜の決断が早ければ、どうなっていたのかな?
0255文字
Masakazu Fujino
新着
明治維新について論述された、極めて魅力的な著作。近世日本を双頭・連邦国家ととらえ、それがいかにして崩壊していくのかを、「公議」「公論」と「王政」をキーワードに、論じている。そして、徳川支配を全面否定する勢力が勝利したとき、次の課題は「集権化」と「脱身分化」であった。極めて急進的な改革の枠組みがが新政府成立後数年間のうちに出来上がった。 また、維新がグローバルインパクトの中で起きたことや、日本の変化が「アジア」に与えたインパクトの提起も重要である。
0255文字
ほっちょる
新着
維新から西南内乱に至る歴史を、「公儀」と「王政」をキーワードとして論じている。ペリー来航を契機として、「公儀」の主体が、幕府から大大名、さらに公儀人へと次第に転化し、その流れの中で「公論」「集権化」「脱身分化」が生成されるとする議論は面白い。一方で、もう一つの権威である「王政」は、最終的には公儀へと取り込まれいく。これらの経緯から、不要な対立を生まず、比較的犠牲の少ない近代化を成し遂げたことが、幅広い視野で描かれる。また、この原動力が、開国以前の社会で醸成されていたことや、グローバルな情勢も見逃さない。
0255文字
樋口佳之
新着
主権国家体制が規定する対等外交のルールを認めるか否かは、東アジア各国の命運を左右する問題となったのであるが、中国的な価値観から見た日本の周辺性はこの点で極めて有利/近世日本の国家は「双頭・連邦」国家と要約できるように、分権的かつ階層的に組織されていた。この国家は、隣国の清朝や朝鮮のような、科挙と朱子学を核とする一元的な組織と比べると、解体が容易
0255文字
うーひー
新着
属人的に語られがちな維新史の中にも発見される一般的な要素を、三谷先生が示される。グローバルな革命に共通する要因としての「地位と能力の不整合」が江戸時代には蓄積しまくっていたこと。19世紀以降の藩や身分を超えた情報・交通ネットワーク(革命を決定的に支える)や、革命後に民権運動を支えた出版・メディアの台頭は、公儀や明治政府が上から組織したものではなくて、むしろ下級武士や民間の間で形成されていった点など。
0255文字
珈琲好き
新着
幕末史のディテールについて自分は全く知らなかったんだなと理解できて良かった。/ 幕末史は攘夷するしないで揉めてたはずなのに、いつの間にか武士身分の解体まで行っちゃうところが面白いよなあ。長州藩の一部しかそんな展望持ってなかっただろうから、ほとんどの維新参加者はこんなはずじゃなかったという感想を持ってそう。
0255文字
新父帰る
新着
主に安政5年の政変から西南内乱の20年を扱う。維新史の従来の手法、つまり活躍した特定の藩や個人そしてその敵役に焦点を当てるのでなく、様々な政治的事件で提起された課題を設定して、それをどのように解決していったかという過程を模索する、新たな試みと銘打って、世に問うた維新史。公武合体の成立と二つの王政復古。維新によってもたらされた世襲身分制の解体。西南の役に代表される内乱から言論戦へのバトンタッチ。本書は様々な政治的事件を扱うために、その展開が微に入り、細に入るので、目が離せなくって時々目が回って天を仰いだ。
0255文字
ksk
新着
幕末から明治への連続性を記述した好著。幕末の日本と朝鮮の外交関係が互いに見下し合いをすることによってむしろ安定していたっていうのは今日の情勢に似ているものがあるのではないかと感じた。また、権力構造の図が面白い。老中への任命が家門は全くなく、外様の大大名もほぼなく、ほとんどが譜代から選ばれている。これは権と禄の分離、名と実の分離がされている。家門や大大名は象徴的存在となっている。こうした構造は朝廷と幕府の日本特有の二重構造と類似している。そこからいかにして対列強策として西洋的一元化、集権化するかが描かれる。
0255文字
onepei
新着
淡々とつづられていくので言いたいことはつかみやすい。
0255文字
色々甚平
新着
再考というだけあってある程度幕末から明治維新までの一般的な歴史を踏まえた上で読んだほうが理解が深まる。維新がなぜ行われたのかが「公儀」を求めたからだという所からはじまる。幕府側と尊攘側の意見や武力がぶつかりながらも少しずつ状況が傾いていくのがよくわかるようになっていた。改めて、クーデターの成功例を知ることになったが、尊攘の総本山的な水戸藩の出番がこんなに少なかったのは意外だった。近代日本がいかにして始まったか、簡単に始まったわけでもないし、明治政府もスタートからそこまでうまくいってなかったのも知れる一冊。
0255文字
Tatsuo  Mizouchi
新着
☆☆☆ なかなか面白い。でも、薩摩や土佐、会津などの行動原理はわかるが、長州はよくわからない(笑) 確かあやつも長州だよね(笑)
0255文字
全21件中 1-21 件を表示
維新史再考―公議・王政から集権・脱身分化へ (NHKブックス No.1248)評価53感想・レビュー21