1980年作。人は結局、個へ帰るのだということを受容する厳しさ。米文学はその面積・人種の広大さに似て多種多様。この本のようなタイプも好きだ。スコットランド荒野で叔母と二人暮らしする少女とアザラシを描いた『ローラ』、カナダ原野を三匹が行く『信じられない旅』、アニー・ティラート『アメリカン・チャイルドフッド』『石に話すことを教える』、ウィリアム・リースト・ヒート・ムーン『ブルー・ハイウェイ』等との類縁を感じる。都市文学に疲れた時、これらの自然と人からの呼びかけを描いた作品に耳を傾けたくなる。
姉妹の名が似通っているのが結構、暗示的だと思う。思春期に差し掛かるに連れて身体的に女らしさが出てきたルーシルがシルヴィ達との状況に疑問を持ち、噛み付くようになってきた様子は(悪い意味で)「女」を感じました。特に「あんたら、馬鹿じゃないの!?」と言いたげな様子は共感すると同時に「そんなにつっけんどんにならんでもええやん!悪ぅないよ、この生活も。」と思ってしまうし。
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