形式:文庫
出版社:KADOKAWA
五十音図、言語の多様性、相対性、芥川の箴言的世界、寺山修司への思い……一冊一冊で紹介される言葉のテーマに重いものがあり、感想をまとめるのは容易ではない。その中で、意外と書くと変かもしれないが、和歌や俳句、唄などへの著者の思いは特に強いようだ。小学生の俳句や俵万智の短歌に対して著者の素の反応が楽しめるし、日本文化を読み解くのに重要な手がかりとして読みこんだり。以前「和歌や物語は日本文化の大切なものを保持していく情報編集装置」と発言されていたことを思い出した。
いつ頃からだろう。仕事の企画書や計画書に「ニーズ」なんて言葉がまかり通るようになったのは。何故「必要」あるいは「要望」と書かないのか理解に苦しみ、気持ち悪くて自分では一度も使ったことがない。この本でも、ソフトな言葉の言い換え、安易な英語の利用、トレンドやインフォメーションなどの「プラスティック・ワード」等、編集の工夫が働かない言葉に著者は容赦ない。「ニーズ」への悪口も紹介されています。溜飲を下げさせていただきました(^^)。
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