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生命の樹: あるカリブの家系の物語 (891;891) (平凡社ライブラリー こ 21-1)

感想・レビュー
5

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geromichi
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良い小説でした。カリブを好きな人にもぜひ。
0255文字
アマヤドリ
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熱みなぎる根から派生した一族があるものは世界を放浪し、あるものは頑固なまでに土地を守り、枝を広げてゆく。物語とはたしかに、自分ひとりでは抱えきれなくなった膨大なそれを手に取る手段ではあるけれど、ひとりが持てるものを深くふかく広げてくれるものでもある。
0255文字
ソフィ
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パナマ運河建設に興味を惹かれ。仰々しくて芝居がかった文体が最後まで慣れなかったけれど、黒人奴隷という言葉からアフリカ→北米だけではない地域性(ここでは特に、海を越えることができないという濃厚な死者の存在)、悪辣さを垣間見ることができたと思う。初代は金を、二代目は教育を。両方を手にした三代目四代目は女性で、自己尊厳(誇れるルーツ)を追い求める。
0255文字
hiroizm
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カリブ海のフランス海外県のグアドループ島の黒人家族4世代の壮絶な物語。語り手の曽祖父がパナマ運河建設従事をきっかけに、白人以上に搾取しまくり成り上がるプロセスに圧倒。「黒いシャイロック」と揶揄される強欲さに凄みがあった。また差別による屈辱からの白人、ムラートへの強い排他感情が、のちの家族に様々な悲劇をもたらしているのも痛切。フランス、アメリカ、ジャマイカと舞台のスケールも大きく、カリブの黒人一家を通して20世紀の黒人解放運動史を俯瞰できる優れものの小説。タイムリーな読書で感慨深いものがあった。
hiroizm

この物語は1960年生まれの4代目女性が語り手なのだが、その母である3代目女性の暗く奔放な生き様にも唖然。いわゆるフラワームーブメント世代なのだが、彼女の勝手気ままさは伊藤野枝もびっくりだと思う。著者コンデも3代目世代なのだが、自分の子の世代に物語を語らせている点も興味深い。

09/06 16:25
hiroizm

ノーベル文学賞候補を読む活動で初めてコンデを読んだが、予想以上に面白くて興奮している。しかしこのクラスになるとネット検索しても感想上げてる人少ないですね。この人ならウンチク語ってるに違いない、と覗いた松岡正剛さんの1000冊にもなかったのには驚愕した。日本人のいない世界の観光スポットに来た感覚ってこういうのかな。面白いのにもったいない。とにかくおすすめ。

09/06 16:29
0255文字
三柴ゆよし
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個から普遍へと突き抜け、至るところにはりめぐらされていく文学の「根」の力を感じた。カリブ海はフランス領グアドループに勃興した、ある成金一族の四代にわたるピカレスク年代記といえば、なるほど『百年の孤独』フォロワーかと合点する方も多かろうが、『百年の孤独』では、あくまで外部から「流入」する人と物が物語に駆動力を与えていたのに対して、本書の顔たるルイ一族は、自分たちの側からどんどん外の世界に「流出」していく。何度も反復される内/外の往復運動は多くの出会いと別れを生み、物語世界はよりにぎやかに、極彩色に彩られる。
三柴ゆよし

そうしたルイ一族の「悪辣な世」を語り手と共に駆け抜けた読書が最後にたどり着くのは、過去においてなされたこもごもの悲喜劇が赦され、死者たちの合奏が自身の声として響くのを聴く、大いなる帰郷の感覚である。物語構造としてはおそらく『オデュッセイア』が意識されており、ほとんど叙事詩的なたたずまいだが、ディアスポラ、そして根を持つことという世界文学の二大テーマが見事に昇華された大傑作である。これが読まれないのは惜しい!

04/14 09:28
三柴ゆよし

たぶんにマリーズ・コンデ自身の少女時代をモデルにしているようなので、いつまでも落ち着かない母親に対する愛憎入り混じった感情が細やかに描かれているのも印象的だが、なにをやっても満たされない孤独を抱えて放浪と放蕩を重ねる母親側の人生も苦しくなるような筆致で活写されている。男女問わず、お飾りとして登場する人がひとりもいない。これをポリフォニックと言わずしてなんとしよう。

04/14 09:40
0255文字
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