形式:コミック
出版社:秋田書店
この作品は人物の描き方が巧みで面白く、特に信長は江戸時代の物語によるような「残虐な革命児」というイメージを払拭し、中国通を基盤とした教養と謀略軍略を持った、大名として正統派に飛び抜けた有能さを持った麒麟児として描かれる所が非常に納得感があった。この信長の性質と思考力と信長の変容、そして本能寺の策略の連鎖が一番真実味と創作性が両立していて支持できる信長像だった。
そして秀吉は、先祖伝来の主君と所領を持たない生まれから来るであろう、異常なまでの権力への渇望が溢れる生命力に繋がり、既存の武士社会の道理や思考の枠踏みを度外視した価値観が、目的達成の為に徳治お構い無しの言動となる為、その合理性が読者には所謂「脛撃ち」を当然の権利として行う冷酷で薄情で残忍な人物として映る。しかし現実世界で権力構造を覆すというのは、ルール外の行動をルールに変えたり法的に非合法を行う事でなされる為、この秀吉の感覚が無ければ戦国時代はまだまだ続いていた。文句なしの巨星で見応えある秀吉像だった
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