形式:単行本
出版社:講談社
形式:Kindle版
相手の体が自然と入ってくるような無防備な関係を、私たちは普段身の回りの他者と取り結んでいません。特に異性同士であればなおさらです。それまで、視覚をベースにした距離=節度のある人間関係を築いていたのに対し、ロープをつかむことによっていきなり距離ゼロ、いや距離マイナスの関係になる。要するにエロティックなのです。
自身のリハビリの経験について語った言葉だが、驚くほど性暴力被害者の語りと共通している。いずれにせよ、ふれる側(接触のデザインの主導権を握る側)に自分の心身の声を拾ってもらえないことによる、身体を侵犯される屈辱なのだと思う。
一方で、信頼と安心のもとで自身の身体を他者に委ね、自己の感覚を拡張していく感覚、自他の境界が曖昧になる感覚、そしてその感覚の帰属先よりも現在の応答の方が優先される状態は、良いセックスをしているときの感覚にとても近い。
今年のベスト10に入れたい1冊。
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