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ロマネスクとは何か ――石とぶどうの精神史 (ちくま新書)

感想・レビュー
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アキ
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ヨーロッパの大聖堂に行くとゴシックやバロックなどの豪華絢爛さに目が行くが、その基にロマネスク様式があったものも少なくない。19世紀はじめに教会建築用に生み出された言葉であるロマネスクとは、「古代ローマ風」ということであり、古代ローマの模倣ではない。11世紀キリスト教とその土地固有の信仰が混ざり曖昧なものを形にした建築には、土地の石やぶどうの木が使われることも多かった。フランスやスペインの多くの教会を紹介しているが、個人的にはニューヨーク・メトロポリタン美術館分館のクロイスターズがマイベストスポットですね。
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montetsutsu
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言葉としては知っていたロマネスクがどういうものなのか、からそれに留まらず西欧地域におけるキリスト教の受容についてなど、色々と面白い内容だった。
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おがわ
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理性的な「線の美学」の解体/古代都市文明の線の美学から質量、物質自身の美=ねじれ柱、ぶどうの木、自然との親和性/中世、「小さな罪」の発見→祈祷生活/異教の神の罪悪視→キリスト教の布教/プラトンとアリストテレスの接続/シャルトル、聖母崇拝のメッカ/バタイユの蕩尽、戦争、濫費の肯定
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ろべると
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ロマネスクとは「ローマ風の」という意味で、後年名付けられたものだが、本書ではローマ帝国の時代からロマネスクへとつながる流れに分け入っている。ロマネスクは決してローマ文化の劣性遺伝などではなく、ローマ文化とヨーロッパ各地のローカルな文化との融合によって新たな魅力を獲得したのだ。そこには一神教と多神教、都市と農村、理性と感性といった異種混合による新反応が突発的に起こっているかのようだ。それは決して画一的でなく、理路整然ともしておらず、ゆえに後世からもミステリアスな時代として気になる存在なのではないだろうか。
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Francis
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中世ヨーロッパの「ロマネスク」について考察した本。ヨーロッパがキリスト教以前の「異教的世界」からどのようにしてキリスト教社会になっていったかが良く理解できる。ローマ帝国で行われていた祭儀宗教が古代ユダヤ教のモーセ五書に規定された捧げものとそれほど変わらないように思えたり、古代ユダヤ教と異教的世界に親和性があったため「ギリシア語を話すユダヤ教徒」がヨーロッパ社会に根付いたことも興味深かった。
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ヒラタ
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先ずは読んで良かった、お薦めです。 ロマネスクは目に見えない精神性を目に見えるように表現、軒の下や海峡に力を「間」は危険なので強くなければいけない等を含めてロマネスク好きには何度読んでもたまらないクレルヴォーのベルナルドゥスの話も。 コロナおさまったならば再び、必ず訪れたい。 主要参考文献に懐かしい勝峰さんの「神の美術−イスパニア・ロマネスクの世界」の記載、このことを知ることができたならと個人的に胸があつくなりました。
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マサ
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ロマネスクはどこかコミカルだったり時にはグロテスクだったりもするけれどもおおらかなイメージがまっすぐ心に語りかけてくるようなインパクトがある。その、例えば柱頭彫刻に見られる異形の生物(?)は何を意味しているのか不思議に思っていた。本書には「ロマネスク時代の人々はキリスト教とキリスト教以外の宗教性をともに生きて肯定していた」とある。なるほど、ロマネスクはますます興味深い。
マサ

その傾向はローマから離れて辺境に行くほど強いような気がする。

02/05 17:06
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ikeikeikea
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途中でギブアップ。全般的に牽強付会が過ぎるように思われる。「つながり」をキーワードにするのは良いとしても、何でもかんでも「つながり」で話をまとめようとする傾向が強い。また、「ケルト」という用語が頻出するがコレの用い方も危うい。ケルト関係の参考文献が鶴岡真弓氏のみである事に依るのだろうが…。『「ガラテヤ」という言葉は「ケルト」という言葉がギリシャ語風になまった「ガラト」に由来する』との記載があるがホントなのだろうか?「ケルト」→「ガラテヤ」よりも「ガリア」→「ガラテヤ」と考えた方が無理はないのでは?
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eirianda
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今までロマネスクがどういうものかよくわかっていなかったのだけど、アニミズムとキリスト教が混在し曖昧さのあるものだとわかって、より興味がわく。時代の精神性がよくわかる本だった。キリストの血肉であるワインの説明も腑に落ちた。去年訪ねたモンサンミッシェル、この本を読んでからの方が良かったかも。あそこはロマネスクとゴシックが混ざっていてとても美しい教会だったなぁ。次はゴシック読む。
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chang_ume
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キリスト教と在地信仰の混淆としてロマネスクを理解していく。それはもう異教的とさえ呼べるもので、悪魔や魔物たちもユーモラスな描画となる。古代ローマの「線の美学」とはまた別次元の「あいまいさ」は、中世前期キリスト教の意外な鷹揚さを感じさせるものです。事例としてはフランスの教会建築・絵画が主。一方でこちらが訪問したローマ市内ロマネスク教会の数多くは、どちらかといえば質実剛健な印象が強く、本書で紹介される装飾性豊かな美術とはまた異なるようにも。どうもアルプスをはさんだイタリア半島とフランスで地域色がありそうだ。
chang_ume

“ローマ的でありながらローマ的でないという曖昧な中世ロマネスクのキリスト教文化は、パウロの峻厳さおよびその背後にある地中海都市文明と、無定見なガラテヤの人々およびその背後のケルトをはじめゲルマンなど西欧の古層を形成した人々(ジェルヴィルの言い方では「我々の粗野な先祖たち」)の文明とのあいだのさまよいとみなすことができる”

11/05 23:17
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masanari
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ローマ建築でも、ゴシック建築でもない、定義づけの難しいロマネスク建築。キリスト教を意識しながらも、不必要なほど多くいびつな装飾。著者はその曖昧さに生命力を感じる。副題が「石とぶどうの精神史」とあるが、それほどぶどうは出てこない。
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