形式:ハードカバー
出版社:文藝春秋
形式:文庫
形式:その他
出版社:Audible Studios
形式:Kindle版
【第34回 三島由紀夫賞 候補作】【第165回 芥川龍之介賞 候補作】記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
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⇒作者の李琴峰は台湾出身で現在は日本在住のようだが、母語は中国語である。本作はもちろん日本語で書かれているのだが、彼女にとっての外国語で小説を書き、しかもそれが高い水準にあるのはすごいことだと思う。中国出身の芥川賞作家では楊逸(ヤンイー。彼女も母語は中国語)の先例もあるが、日本語、日本文学がグローバルになることもまた喜ばしい。ただ、そうではあるのだが、本作が芥川賞に相応しいかと言えば、私はその点に関してはあまり賛同できない。
固定観念的なジェンダーを批判したいんだろうなと思いつつ男性の暴力性の過度な強調。作者のバックグラウンドを考えると「なるほど」と思いつつもそこまでやるか?って気もする。
子を育て親が成人したら面倒見る、とか、成人したら家を1個もらい誰と住んでも自由みたいな、この島の独特の文化面も面白かった。
ちょっと最後は急ぎ過ぎた感がある。もうちょっと長く丁寧に歴史を紐解いて行くか、余り多くを語らない方式にしたほうが読み応えあったかなとは思う。ただ”歴史を知る”っていう体験は、重みがあって畳み掛けてくるものだからこれはこれで良かったとも思う。芥川賞だしこれからもっと文章に深みが出てくるかもと思うと、李琴峰さんの他の作品を追いかけたくなった。
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