形式:文庫
出版社:東京創元社
★★★★☆
追記)続編はすでに日本語訳が出ているらしい(「窓辺の愛書家」)。好意的な感想が多いようで、読むかどうか迷いが出てきた…。
とぶーぶー言いながら読んでいたのだが、後半はさすがスピード感が出て楽しく読み終えられた。でも犯人は全然意外ではなかったけども。ヒロインの愛犬が一番活躍したよなあ~健気でいじらしい。ヒロインが彼を愛するのがよくわかるわ。文章のはしばしに出てくるイギリスに今も残る階級差、そして人種の繊細な問題なども書き込まれていて(女性刑事はインド系)そこらへんも興味深かった。
残念だったのはせっかくの(ホラー的に)素敵な舞台だったのに全然雰囲気が生かされてないことだな。(ヒロイン娘が交霊会はしてたけど)オカルトミステリを期待してたので少しがっかり。ただ最初は攻撃的だと思った女性刑事がラストでは何だか好きになってたのは自分でもびっくりだったわ。
⇒フリン『ゴーン・ガール』やハリス『レッド・ドラゴン』のような文学の香りがするのもかなり好みだった。それにしても、英国のミステリを読む度、こんどこそシェイクスピアを読まなければ!とおもわされる。知っているとずっと愉しめるのでは、といつもちょっと悔しい想いをする。エスニック&ジェンダー・マイノリティ(インド系同性愛者)で、おまけに未だ実家暮らしの三重苦(!)と云うハービンダー・カー刑事の人物造形が素晴らしく、続篇もある(『窓辺の愛書家』)ようで、いずれ読んでみたい。
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