読書メーター KADOKAWA Group

契丹伝奇集 (河出文庫 な 6-3)

感想・レビュー
21

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
宙太郎
新着
ネタバレ手ごわい名作ぞろい。中野氏が専門とするフィールドで語られる物語なのだから、契丹の歴史、民族、宗教…どれをとっても太刀打ちできるはずもない。読者は作者の描くお話をただ楽しめばいいのだ。「耀変」は現代日本と宋末期と桃源郷めく幻想世界を縦横に往還しつつ語られる耀変天目探索行。忽必烈軍の軍靴の音が通奏低音として滅びを予感させる。「青海」は見事な幻想文学。物語を統べる因果律が読者からは隠されているため、なぜストーリーがそんなふうに展開するのか分からない。泥の海を流されるような不透明感が秀逸。他の諸作も名作ぞろい。
0255文字
矢野
新着
タイトルに惹かれて手に取った本だったが、最初の話「女俑」を読み始めた時は平仮名が多くて読みづらいなという印象だった。 だが途中から中国を含む様々な地域の物語に魅せられながら読んでいった。解説で作者のことを「ポスト澁澤龍彦」と評していて、ある種の読みづらさや浮世離れした物語世界の正体に名前が付いたような気がした。様々な話が収録されているが好きなのは最初読みづらいと感じた「女俑」で、何年か後に再読したらまた違う感想を持ちそう。
0255文字
SOLVEIG
新着
本書のタイトルは「契丹伝奇集」である。裏表紙の梗概には「中華幻想小説」とある。確かに《幻想小説》だなあとは思った。しかし、自分としてはタイトルの「伝奇」小説というよりは「不条理」小説だなあという感覚の方が強かった。ということで、思っていた種類の作品たちではなかったけれど、それなりに面白くは読めた。お気に入りは「窯変」(雰囲気掴むまで少しかかった)と「青海」(こちらも少々しんどかったけれど)あたりか。読み進めるのが辛くなってきたなあと思ったあたりで面白くなってくるーーそんな物語たちだった気がする。
0255文字
Hide
新着
中国に関する様々ものをもとに描かれたなんとも不思議な物語の集まった一冊。一度と言わずに度三度読み返してじっくり味わうべきだなあと。
0255文字
たけはる
新着
表紙と冒頭をパラ読みして面白そうだなと購入。読んでみたら大ヒットでした。端正で硬質な文体、めくるめく万華鏡のように移り変わる場面場面、なんとも贅沢で上質な幻想文学でした。
0255文字
地下道入口
新着
スラップスティック幻想文学といった趣があって、非常に良い。
0255文字
kokekko
新着
積んどく消化。これを積んだままにしてしまわなくて本当によかった……!! 中華幻想小説集という言葉のままに、蜃気楼に翻弄されるような美しく不可解な世界が広がっている。中原の世界感は、自分にはあまりにも「儒!」という感じがしてとっつきにくいと思っていたのだが、こういうものに触れると「ものによる!」という気持ちにさせてもらえてありがたい。『耀変』『青海<クク・ノール>』『ワクワクの樹』が好き。"胡蝶の夢"を体感させてくれるような一冊。
0255文字
rincororin09
新着
大昔(^^;)大学の教養で中野先生の西遊記の講義を受けて本当に面白かった記憶がある。 1~2冊は読んでると思うが、実は小説を読むのは初めて。 たくさんの読めない漢字(^^;)のおかげで僕の想像力も中央アジアの辺境の地を彷徨うことができる。
0255文字
やいん
新着
本屋さんで眺めて購入。蜃気楼と耀変が好き。蜃気楼の中でも文成公主のお話は中華題材としてよく観るから面白かった。蜃気楼ってその夢幻感が良い。 耀変の現代と中華を行き来する流れが好き。そこに統一して存在している耀変の不気味さと魅力に惹きつけられる。 ただ時代もあって漢字が難しい…
0255文字
tomo6980
新着
ネタバレもちろん全て面白く読んだのですが、すべてが何かの象徴のようでありながらはっきりと読み取れないもどかしさを感じていたわけで。「青海」なんかははっきりカフカだし、「耀変」でのタイムトラベルは非対称だし、読み取らせないのはわざとかな、とも思うのだけれど、「敦煌」の蛾はやっぱり何かを言わんとしているのだろうけれど、と物語の迷宮をさまよわせるのが目的か、と言ってみたもののこれは先に読んだ巻末の高山宏の解説と全く同じというお粗末。
0255文字
ずだ
新着
以前から西域とか遊牧騎馬民族というものへの憧れはあった。が、どうやら山積したストレスによってその気持ちが噴出したらしい、というのが本書を手にした経緯である。「契丹」「伝奇」というなんとも心をくすぐられるワードに惹かれて読み始め、すぐに、敢えて衝撃的な言葉を使えば「裏切られた」と思った。 物語の雰囲気や視点となる人物に合わせて多彩に変容する文体がまず特徴的だ。そして著者の膨大な知識に裏打ちされていると確信できる語り。掌篇よりもなお短い、翩篇という一頁のみの断片にも似た物語。すべてが目新しいと感じた。
ずだ

まったく知らないものに出会ったと思ったのに、奥付を見るとなんと初版は1995年! 馬王堆漢墓のミイラのごとく時を超えて新鮮さを保っている。 蜃気楼が如く、あるいは砂に埋もれて忘れ去られた遺跡のように、あったはずなのに近づくと消えてしまう、あやふやな存在を垣間見ることができた気がした。

12/31 15:42
0255文字
麦子ちゃん
新着
表紙のデザインが派手で割と軽薄な内容なのかな、とはすかいに構えて手に取ったが、気が付けば、作者の膨大な知識量によって裏付けされた濃厚な物語の世界に引きずり込まれていた。 調べないと読むことすらできないような難解な感じや固有名詞が出てきて、若干読みずらいなと感じる瞬間がなかったこともないが、見たこともない単語や地名で綴られる情景を、自分の知識や見聞きしたもので必死に脳内でイメージすることで、小説を使って小旅行ができたような感じを覚えた。焦らず、ゆっくりと、一文一文を吟味する、がこの小説の楽しみ方。
0255文字
さつき
新着
こびとの巨霊、耳を聾せんばかりの海嘯の音、幾度も割れる燿変天目、金箔に透け出る歓喜仏の浮彫、砂漠をさまよう蛾、碧玉の指輪…これでもかと繰り出される幻想的な物語にすっかり魅了されました。作者の作品は初めてでしたが、もっと読んでみたいです。
kiyoka

さつきちゃん、読了お疲れさまでした(^^)私ももっと読んでみたい!と思ったけど中野美代子さんは小説は滅多に書かないらしいよ。今、また著者による代表訳(?)の『西遊記』の続きを読み始めたところー♪

11/25 22:50
さつき

kiyokaちゃん、ありがとう♬不思議な世界観に浸って楽しい読書だったよねー(≧∀≦)中野さんの本、最寄りの図書館で検索してみたら確かに小説以外が多かったよ!西遊記良いね(*^▽^*)レビュー楽しみにしてるよ♡

11/26 09:03
0255文字
kiyoka
新着
契丹、女真人、韃靼、吐蕃…隆盛を極めては幻のようにのみ込まれていった者たち。中国史家でもある著者ならではの虚実皮膜、特異で妖しげな世界。中野美代子の小説を読むのは初めてだったがとてもいい。短篇、掌篇など くるくると変幻自在な文体。時空を超えて西域、南海への旅へといざなう。中国古典に疎かったのでこれを読む前にちょっとでも齧っておいてよかった。 解説は書評に変えて高山弘と池内紀。高山弘は氏の大好きなマニエリスムだと言い、池内紀は「中野式ことばの幾何学である」と言う。
さつき

kiyokaちゃん、読み終わったのねー!速いねー(^^)私は今『青海』を読んでるよ。『女俑』も『燿変』もとっても良かったー(o^^o)続きが楽しみだよ。

11/21 14:18
kiyoka

さつきちゃん、「青海」までいったらあと少し!不思議な迷宮に迷い込むお話だね。この本で初めて知った漢字も多かったけど面白かったー♪ さつきちゃんも歴史もの、いろいろ読んでるからきっと堪能できるだろうなあって思ってたよーヾ(´˘`*)♡

11/21 17:58
5件のコメントを全て見る
0255文字
びっぐすとん
新着
図書館本。私が借りたのは古いハードカバー本だが登録がないので登録数の多いこちらで登録。初読作家さん。中国文化の専門家らしい素地のしっかりした作品集は私の好きな中央アジアの香りのする幻想的な物語。古代の話なのにベンツやピストルが出てくる「女俑」は学のない女に合わせて平仮名の多用で語られるので読みにくいが自業自得な話が面白く、邯鄲の夢のような燿変天目茶碗の話、砂に埋もれるシルクロードの遺跡の話など、どれも時代と空間を自在に飛び越える摩訶不思議な作品集だった。広大な大地はあらゆる物語を受け止める懐の深さがある。
0255文字
ハルト
新着
ネタバレ読了:◎ 中国文化史家の著者の手による、中華伝奇譚。国の違うあやしの世界へと、登場人物たちと同じように誘われる。揺蕩うように今昔を往還しながら、生と死を巡る。中国の死生観が纏うようにあり、異国情緒を醸している。「女俑」の、神話の世界と現代とが合わさったような不思議な世界観と、女の自己中心的な愚かさが哀れ。「耀変」の、現代と宋代の時間の超越により得た生と失われたものの差が侘しい。「青海」「敦煌」は、手にしたはずなのに失われてしまった幻のような話。それら以外の掌編も印象深く、幻惑された。
0255文字
Kotaro Nagai
新着
中国文学者・中野美代子の中国史を題材にとった作品集。中国西域に伝わる伝奇ものではなく、著者の創作です。古いところは1960年の「青海」「敦煌」から1980年代の掌編まで18作品を収録。中国史に詳しい著者らしく史実に創作を混ぜ、遊び心も添加した読み応えのある作品集。特に気に入ったのは、現代日本と南宋末期が交錯する「耀変」。耀変天目に題材を取った作品で時空を超えたスケールの傑作と思います。
0255文字
藤月はな(灯れ松明の火)
新着
ネタバレ中国を舞台に織り成される幻想奇譚集。西王母在命なのにベンツやピストルなど、時代的にあり得ない物の登場で早くも煙に巻かれて虜になった「女俑」。自身の美しさと淫らさを理解し、無邪気な振りをして全てを手に入れた筈の玉瑛。彼女の誤算は自分より、狡猾で愛を無下にする者がいたなど、思わなかった事だ。彼女は「(尹伯達を)愛している」と思うが、それが彼女の底の甘い生存戦略だという事を男は知り抜いていた。あゝ、無情なり(同情はしないけど)。「耀変」の今昔を行き来する魔性の耀変に対し、それに取り憑かれた男の悲喜交々は滑稽だ。
藤月はな(灯れ松明の火)

そして美とは永遠ではない。手に入れられず、刹那になるからこそ、美の本質を強烈に発現する。「青海」は『砂の女』やカフカ作品、『去年、マリエンバードで』を連想してしまう作品だった。永遠に抜け出せない回廊、会えない国王、そして回廊にいる衛兵や引き留める女への語り手の身勝手さ。女の正体は予想していた通りだが、運命を拒みながらも流されてきた男は真の自由を得る。

01/04 22:50
0255文字
kichine
新着
契丹がテーマ、というわけではなく、年代もさまざまな中国から中央アジア、シルクロードあたりを舞台にした不思議な短編集。冒頭の「女俑」は屈原が没してから200年ぐらいなのにベンツやコンチネンタルリンカーンやピストルが出てくる謎の雰囲気。最後の方にある1,2ページで終わってしまう短い妖しげな話もいい。中国の歴史書の片隅という感じがする。著者は中国文学の研究者だと思いこんでいたけど、かなり小説も書かれていたのを今知った。
0255文字
syk
新着
ジャケ買い。 初めて読むタイプ。映画のようにも感じるし、小説だからこそだなとも思うし(特に最初の話)。漢字は読めない単語は難しい全然ハッピーエンドじゃないで正直好みでは無いなと思いつつ、でもつい読み進めてしまう、一言では説明できない不思議な話たちだった。
0255文字
うさぎや
新着
短編集。そのものずばり「蜃気楼三題」という作品もあるが、どれもこれもゆめまぼろしのように消えてしまいそうな物語ばかり。
0255文字
全21件中 1-21 件を表示
契丹伝奇集 (河出文庫 な 6-3)評価93感想・レビュー21