形式:単行本
出版社:エクスナレッジ
形式:Kindle版
国家官僚である陰陽師は、天文や暦占、動物の動きなど様々な兆しを読み取って未来予測を行い、為政者に報告して、必要ならば祭司や祓により危機回避した。綿密なデータに基づくシミュレーションなど不可能な時代だったからこそ、不確定な未来にどう対応するかが重要だったのではないか。暦は予めどの日に何をなすべきか、なすべきでないかが定められている。また病気で日常の秩序が乱された場合は、神・怨霊・物怪・呪詛など原因を特定し、ケース別に陰陽道や密教などの手段を選んだ。内容は今の目で見て非科学的かも知れないが、対応自体は合理的。
安倍晴明を藤原道長が重用した例にあるように、国家公務員である陰陽師は次第に権力者の私物扱いとなる。興味深いのは、陰陽師が葬礼に関して、墓所や葬儀日の選定に関わっても、死後の世界自体にノータッチだった点。確かに仏式・神式の葬儀はあっても陰陽道式はない。キリシタンになった賀茂在昌、柳生石舟斎の甥で唱聞師を統括する幸徳井家の養子となり陰陽頭にまで出世した幸徳井友景、その幸徳井家から陰陽頭を奪還し山崎闇斎や渋川春海と交流し独自の方向性を目指した土御門泰福など、変わり種が後世に現れるのも面白い。
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