形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:筑摩書房
ヴィジェイ・プラシャドによる「ポリカルチュラリズム」の概念は興味深い。それは、「多文化主義そのまのが本質主義に根ざしているとして、ひとりの人間に複数の文化的アイデンティティーを措定する」(:37)。
ブルーノ・マーズの〈パーマ〉の“元ネタ”はジェームズ・ブラウン、という記述を読んで早速聴いた。確かにそのまんまだ!
だろう。きらびやかなポップスターに見えるブルーノ・マーズが全く別の姿を持つ存在として見えてくるにちがいない。
女性蔑視の言葉を、メイクマネーする女性賛美へと読み替えるカーディー・Bの話も面白い。金稼ぎを肯定しながら、ネオリベラリズムではなくバーニー・サンダース支持者になるカーディーの立ち位置。インスタグラムの名物アカウントからポップスターへと駆け上がった彼女の姿をフィーチャーした『シスタ・ラップ・バイブル』の書き方とは強調点が異なる。
言及のあったアルバム等の作品は、各章末で簡単に紹介されているのはありがたい(これも各2ページでは足りない気もするが)。ケンドリック・ラマーは、To Pimp A Butterflyでの凝った音作りが気に入って一時期よく聴いていたのですが、本書によると「いわゆる『音楽通』の間で評価が高かったものの、ヒップホップのメインストリームとは遠ざかったサウンドとなっていた」(P.157)そうで、本書を読んでからは、それまでいまいち魅力が分からなかったDAMN.を聴くようになりました(笑)
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます