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田園の憂鬱 (岩波文庫 緑71-1)

感想・レビュー
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おはぎとぼたもち
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“花片はことごとく紙片のようによれよれになって、濡れに濡れて砕けて居た。砕けて咲いた”古い書物の言葉はギラギラと硝子の山のようで神経を焦がす、怖がりな心は刺で無垢な愛を蝕む。素直な私だけの薔薇をうたいたいな、震える歪なその花だから愛おしい。
0255文字
33 kouch
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現実と妄想ともわからない不思議な情景。絵画的描写と言われているらしいが、確かに緻密な心の移ろいまでが淡々と語られる。絵の具を使い終えたあと流し台で洗っていると、嫌な灰色になるがそんな小説だ。犬が無邪気でいい味出している。 今度は小説智恵子抄でも読んでみたい。この繊細な佐藤が語る、智恵子像が気になる。
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❁Lei❁
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都会に疲れ、田舎に移り住んだ青年夫婦の物語。そこは上田秋成の「浅茅が宿」に登場するような、植物の繁茂する廃墟同然の住宅。その瑞々しい自然の隙間に、ノスタルジックな幻影が立ち上ります。それらを通して青年は、自らの生活そのものを「美」にしようと試みるも、ご近所付き合いや金銭面における先行きへの不安でまた鬱々としてゆきます。ところで、私は青年の憂鬱よりも、それに振り回される妻や愛犬のほうが大変そうだなあ……と引いた目で見てしまいました。無邪気に走り回るレオとフラテがとにかくかわいかったです(なんじゃそりゃ)。
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たつや
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確か芥川賞の審査員に名を連ねていた方だと思いますが、初佐藤春夫です。デビュー作らしいが、読み応えのある、文章と情景描写が力強く、絢爛であり、流石に初稿から完成まで二年かけただけのことはあると思う。大将に書かれているので、当時の田舎の風景が目に浮かぶ。当時の都会に疲れた主人公が田舎暮らしを選択し、自然の中に生命を見いだす様が美しい。
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So Honda
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濃厚な自然の描写
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amanon
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以前から気にはなっていたので読んでみたが…解説にもあるように、確かに絵画的ともいえる自然の描写は特筆に値するし、リアルタイムで読んだ人は、「こんな表現の仕方があったのか」と少なからず衝撃を受けたのだろうけれど、いかんせん、物語性に乏しいその内容は、今の人にはあまり刺さらないのでは…というのが正直なところ。それでも、読み進めていく上で、ポイントというべき、ちょっとしたエピソードを挟み込んでいるので、何とか読めるという塩梅。それはそうと、本作が著者のデビュー作にして代表作で後に続く作品がないのにとほほ…
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Kotaro Nagai
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本作品は大正8年、著者27歳のデビュー作である。物語の主人公は23歳の著者自身である。都会の生活から田舎暮らしにあこがれて田園(ちょうど今の田園都市線沿線)に移り住む。田舎で暮らすうちにいろいろと問題が持ち上がる。暮らしのこまごまとしたこと、近所の人々との付き合いなど今とそう変わりない。そうした中で夢とも幻影ともつかない不思議な映像を見るようになる。このあたりの描写は粗削りながら大正初期のほかの作家には見られない新鮮さがある。著者自身当時を回想する「追憶の田園」(昭和26年)、谷崎の序文も併録。
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Shinya Fukuda
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三人称の「彼」を使い田舎で自分が見聞きしたことを書いていく。蔓や何やら色んな植物に覆われて日光が届かなかったため弱っていた薔薇から蔓等を取り除き日光が当たるようにしてやると少し生き生きしてきた。それを喜ぶ前半。後半暫く忘れていた薔薇を思い出し妻に摘んで来させるが一つで良いのに全て摘んできたと言って不機嫌になる。そこから「おお、薔薇、汝病めり」が何度も繰り返される。筋はない。風景描写と心の動きが主体。時々田舎の盲目の老婆や手癖の悪い少女のことが出てくるが重要ではない。又犬のことも。フェアリーランドとは?
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二戸・カルピンチョ
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佐藤春夫を手に取ったのはなぜだったかはっきりわからないが、多くの文豪と何かしら繋がっている人だったからかも知れない。私小説らしくドラマチックな展開もないのだが、自然描写を通しての心理描写、若しくは自然から心理を揺さぶられる少々病的な主人公の繊細さが不思議と先を読ませる。読者はゆったりのんびり主人公と鬱々と下降していく。人が願う願い事がそれぞれの理想を人生として完結させるためであるならば、それはそう願いが叶うことなどないのだろう。
0255文字
糸くず
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都会の喧騒から逃れるために田舎に引っ越してきた若い男とその妻。しかし、実際の暮らしは理想とは程遠く、先の見えぬ不安と焦燥から男は次第に病んでいく。とっくの昔に聞き飽きたような粗筋でありながら、佐藤春夫の画家としての力が存分に発揮された濃密な風景描写、不眠による幻視・幻聴の描写が、夢見る若者の期待と絶望を見事に表していて、とにかく面白い。ドッペルゲンガーや眼前に浮かぶミニチュアの街の場面などは、幻想小説として読んでも十分楽しめると思う。
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隠居
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悪くはなかったが期待ほどではなかった。私が「田園」に然程興味を持っていないからなのかも知れない。「犬」にも「虫」にも関心がなく専ら「個人の内面」にばかり関心がある私の落ち度である。
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hitokoto
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 佐藤春夫(1892~1964)のデビュー作であり代表作と言われる「田園の憂鬱」(2022.9)を遅ればせながら読了しました。大正文学を代表する名作とか。著者23歳の頃、現在の横浜市青葉区市ヶ尾あたりでの5月から12月までの7ヶ月間の暮らしを描いた作品。妻(同棲)、二匹の犬、一匹の猫と共に、荒れた家と庭をきれいにし、井戸換えをし、豊かな自然の中で、動物や植物と親しみ、秒針の音・せせらぎの音に耳を澄ます生活。油絵にも造詣が深い著者の観察眼が際立っています。
hitokoto

ナイス、有難うございます!

03/11 01:46
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HANA
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再読。都会から田野に引っ越した主人公の内面を、変化する自然と共に綴った一冊。先に読んだ時は大正文学特有の鬱々とした主人公の心理描写に辟易しながら読んだのだが、今回読み返して目に付いたのは何と言っても自然の描写の数々。解説で絵画的と評されていたが、田園の鮮やかな四季を描写した数々の文は本当に眼前に目の当たりにするよう。特にフェアリーランドと名付けられた丘の描写等はもう…。ただやはり巻末に近づくにつれて、陰鬱な心理描写に比重が置かれるのだけど。大正期特有の文学と名文ともいえる文章、堪能することが出来ました。
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まさ
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大正年間の小説は、やはり難解というか波に乗るようには読めない本が多い気がする。 目に見えたものを文字に書き起こし、それをまた読者に映像として感じさせる事の難しさをこうも簡単に克服されては脱帽するしかないのだが。 それでもやはり、なんとも言えない理解のしがたさは残る
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春ドーナツ
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題辞にエドガー・アラン・ポーの詩があった段階で「察しろよ」と言われるかも知れないが、浅学なもので本書後半から花開く「官能的なまでに描き出すロマネスクの極致」(表紙梗概抜粋)に驚嘆す。スーラの点描画を彷彿とさせる極微的空間描写は読書の愉悦を与えてくれる。帯によると生誕130年で同書はほぼ一世紀前の作品なのだけれど、とてもそうは思えない。時代を超越する、いつの世に読んでも現代性を感じさせる一篇だと個人的に思う。自然主義じゃない、空想に委ねた小説なんて拵え物だと文壇で低くみられたそうだが、旗手の哀しみですね。
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あきひと
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大正文学を代表する名作、絵画的感性を駆使した文学と評される作品。移り住んだ丘陵の風景やら、借家の荒れ果てた庭の情景やら、二匹の飼い犬に対する近隣からの苦情に対する心情などがやたら細かく気取って表現されていて、それらからは妻にもたれ掛る生活力のない男、精神を病んだ男が見えてくる。絵画と狂気の関連性を感じる。
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よしくん
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狂気ではなく、病んでいるんだ。細かいどうだって良い所を見つめてこだわる、妻にも冷たくあたる。後で反省もするけど、やっぱりそういうこだわりからは逃げられない。「病んでる人ってそうだよな」と思うけど、その病んだ目から見た自然はありのままで緻密に描かれていてどうしようもなく綺麗だ。知っている人も少ないと思うけど、私はこれを読んで『御緩漫玉日記 』という漫画を思い出した。病んだ作者が田舎で暮らして、やたらしょうもない事にこだわって臍を曲げるが、何故かそこが美しい所がまるっきり同じだ。
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うさえ
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青春時代に読んだ時は、青春小説だと気づかなかった。自然描写のすばらしさに、著者の芸術性が溢れている。大正を生きる文学青年の苦悩が、一世紀以上の時を超えて、鮮やかなイメージとともに、まざまざとそこに在る。日本文学史において、間違いなく古典的価値をもつ一冊。
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vladimirmassa
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ストーリーではなく一枚の油絵のようでした。 美術館でなぜか立ち止まってしまう何でもない静物画のような作品。光りと影が粗々しく描かれ、何となく物語を想像してしまう。そんな絵をぼけっと眺めてるような読書時間でした。
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