読書メーター KADOKAWA Group

思想史講義【戦前昭和篇】 (ちくま新書 1674)

感想・レビュー
9

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
無重力蜜柑
新着
ずっと積んでいたシリーズ。修論に向けてこの巻から読んでいく。各論を簡潔にまとめて参考文献まで紹介してくれるスタイルで、文献蒐集や初めの一歩としては優秀。当然ながら掘り下げは足りないので勉強が必要。戦前昭和といえば右翼の時代というイメージ。自分もそういう論点が気になって手に取った本だが、国粋主義/帝国主義/軍国主義の中にも左翼的な視点が、「転向」というよりは国家体制の「活用」という形で包摂されているのが面白い。この辺を客観的に研究できるのも、当事者が完全に亡くなっていくこれからのことになるのだろう。
無重力蜜柑

面白かった章。「第5講 国家社会主義と満州事変」 「第6講 転向」「コラム4 昭和の科学思想・技術論」「第8講 昭和の日本主義」「コラム9 一国一党論」「第13講 国家総動員論」

08/22 14:38
無重力蜜柑

国家総動員がどちらかといえば「軍から戦争を取り上げて国全体でせんそうをする」方策で、戦前日本でも大正期までは軍より資本家や政府の方が前向きだった……というのは面白い。永田鉄山が生きていればどうにかなったのかな。あと「東亜」の理念が日本帝国の暴走で破綻し、ほとんどまともに顧みられることもないまま現代まで来てしまったというのは、大損失だなあと思う。もう一度大東亜連邦をやらないか?

08/22 14:45
0255文字
辻井凌|つじー
新着
思想から昭和史を読み解くと、事実を追うだけではわからない発見だらけ。知的興奮がドバドバ。僕が興味持ったテーマは「講座派と労農派」、「転向」、「自由主義」、「国家総動員論」、「女性動員論」あたりかな。河合栄治郎、石橋湛山、清沢洌といった戦前日本の著名リベラリストの思想の源流がクラークを中心とした札幌バンドにあったという話が個人的な大発見で興奮した。北海道民が思っている以上にクラークという存在は日本にとって非常に偉大だったのかもしれない。
辻井凌|つじー

国家総動員が民主制がしっかり整ってないと長期的には成立しないって話もおもしろかった。デモクラシーが発達したからこそ総動員論が叫ばれでいたという、従来の国家総動員についてのイメージをひっくり返す話。

03/02 13:26
0255文字
onepei
新着
意外に多様性があるのを知ったのが収穫か
0255文字
Satsuki
新着
自分には難解で、飛ばし読み。ただ、この時期の思想は軍国主義対反対勢力、戦後の価値観で悪対善、と単純化できないことは分かる。大正デモクラシーで生まれた無産政党の一部は国家社会主義や戦時体制に加わり、しかし国家社会主義は日本主義に移行し消えていく。その日本主義は、一見戦時体制に親和的だが護憲や資本主義を重んじる。国家総動員論は軍国主義や全体主義よりデモクラシーと親和的との指摘。一方、自由主義は「善」のように見えるが、徹底した資本主義破壊の主張は今でいう自由主義なのか。また自由主義の国民大衆との遊離も指摘。
0255文字
うめうめ
新着
大正篇を読んだので、続きの戦前昭和篇を読んだが、これまたとても難解。普通選挙と合わせて治安維持法ができて、共産党は解散させられたり、メンバーが転向したり。一国一党という考え方だったり、軍部台頭と社会主義など、今まで関連がないと思っていたことが複雑に絡み合っていたことを教えてくれる。が、いろいろ絡み合っているので複雑。さらに東亜とか大東亜という表現も出てくるので、ほんとに難しい。これも再読しそう。
0255文字
くまくま
新着
「転向」「国家総動員論」などこの時代を色濃く表す15のテーマ。それぞれ濃密で聞き慣れない項目もあり、なかなか時間がかかってしまった。国家総動員というと同法を利用した軍部の暴走が第一にイメージされるが、むしろ軍需と産業のバランスから軍を統制するために誕生したというのは意外だった。
0255文字
bonjin
新着
戦前昭和の関心といえば「日本はなぜ敗北必至の戦争へと向かったか」に尽きる。その原因を旧日本軍の暴走と片付けてしまうのは簡単だが、当時の社会状況を緻密に振り返ると、「国体明徴論」「八紘一宇」「大東亜共栄圏構想」など、さまざまな"思想"が複雑に絡み合い、戦争に突入したことが分かる。
0255文字
ゆゆ🩰🏳️‍🌈🏳️‍⚧️
新着
ぎっしりだった。前提知識が不足していてしっかりと理解できていないので、春休みにひとり読書会をする。 戦前の社会が実は戦争との距離の取り方や社会のあり方についてさまざまであったことが新鮮な驚き。また、私たちが自明視している社会のありようも実は普遍ではないという、足元が揺らぐような読書体験でもあった。 いま、この時代を学ばなくてはならない気がしている。戦前の思想的課題がほとんど克服されないままの戦後だったのだなあ。
0255文字
全9件中 1-9 件を表示

この本を登録した読書家

思想史講義【戦前昭和篇】 (ちくま新書 1674)評価52感想・レビュー9