幡男さんの子どもたちはみな優秀な頭脳を持ち、著者顕一さんや弟さんは早々と周囲に世間がうらやむ道を用意してもらいながら、自分のことを心の底から認められずに生きるという不器用なところがある。が、対照的に、満州から苦労して引揚げ、隠岐の島で魚の行商をしたり教師として勤めたりしながら4人の子や姑らを養い、子の教育のため、島から松江へ、さらに関東へと職と住まいを変えて移り住み、チャンスをつかませた孟母三遷を地でいく母モジミさんが実にたくましい。よそ様のご一家の人生なのだが、なんだかいろいろ考えてしまう本であった。
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