読書メーター KADOKAWA Group

パピルスのなかの永遠: 書物の歴史の物語

感想・レビュー
10

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
Takako Servo
新着
作者は文献学の研究者で、読み聞かせの思い出からイタリアでの白い手袋をはめて扱った羊皮紙、ボドリアン・ライブラリーでの体験、焚書など書物が受けてきた迫害、そして独裁者が弾圧した人智、最後の一冊まで滅しようとした書物はそれでも人々の心に残り、強制収容所でも生きるための希望の光として存在し続けた。なんて壮大で、なんてすごい宝物に私たちは囲まれているのだろう。 作者のバックグラウンドからして、地中海周辺の歴史がどうしても厚くなるのだが、インド、中国含め世界の古代からの文字と書物の同じ位アツい本を読みたい!
0255文字
がらくたどん
新着
厚い!いや物理的な本の厚みもだが(ざっと4センチ!)筆者の知識の層が♪昔ギリシャに「世界」を全て飲み込みたい王がいた。大王の中の大王たる彼にとっての「全て」は土地とか財宝だけなんてみみっちくない。世に生まれ流れる「全ての」物語。家来よ世界の果てまでも走りどんな手を使ってでも持ち帰るのだ!「書物の発明は、破壊に対する私たちの粘り強い戦いにおける、最大の偉業かもしれない」常に忘却という破壊に脅かされていた記憶から記憶へと語られて繋いだ物語を物理的に留めた書物という記憶装置の強かな過去から未来へと拓けた叙事詩。
たま

がらくたどんさん、共読お疲れ様です。パジェホさんの書物愛に感動し、パピルスであれ羊皮紙であれ紙であれ電子であれ、記憶をとどめること、受け継ぐことの大切さを今さらながら強く思いました。『葬られた本の守り人』もいつか読みますね。

10/17 16:12
5件のコメントを全て見る
0255文字
たま
新着
ギリシア、ローマの文学作品はいかに流通していたか、ギリシア人、ローマ人の家に本はあったか、町に本屋はあったか?思いもつかなかったテーマが実に新鮮で面白く読んだ。著者は現代文学や映像作品にも詳しく、古典から現代へ自由に連想が往来するのも楽しい。例えばギリシア人のリスト好きから枕草子へ、奴隷制から『地下鉄道』へ。アレクサンドリアの図書館に本を集めるため馬で旅する人々に始まる本書は、やがて1930年代のアパラチアで本を配りに馬で旅する司書で閉じる。歴史の荒波をくぐりぬけて伝わる本への賛歌、読めることの喜びの歌。
がらくたどん

読みました♪司書コースの概論で図書館の成立は習うけれど急ぎ足だし忘れているし、筆写の博識に理解しきれないところだらけですが、それだけにパピルスが繋いだ書物の世界の広さを否応なく実感した心楽しい読書でした。(バジェホさんも『薔薇の名前』が好きそうで嬉しかったです♪映画もショーンコネリーが素敵だった♡←ミーハー!)ご紹介、ありがとうございました。

10/17 15:06
たま

がらくたどんさん、共読嬉しいです。それにしても読むの、速っ!「書物の世界の広さ」を感じ楽しめる本ですね。わたしもショーン・コネリー好きです。どんどん良い顔になっていく俳優さんでした。

10/17 15:54
5件のコメントを全て見る
0255文字
mikechatoran
新着
素晴らしい本だった。古典文献学の学位を持つ著者がギリシャ・ローマ時代の吟遊から文字へ、そして書物が誕生した歴史を繙く。語り口は全編に書物への愛があふれていて、数々の文学や映画への言及も楽しい。読み終わったとき、忘れ去られた普通の人々の行為と幸運の連なりの端に自分という読者がいるのだという感慨で胸がいっぱいになった。
0255文字
タキタカンセイ
新着
行きつけの本屋さんが閉店するとのことで、ちょうどこの本が棚にあったので購入。タイトル通り、パピルスだった頃からの本、図書館、書店の過去から電子書籍に至る未来まで、壮大に論じた本。信仰にも似た著者の熱烈な「本愛」を感じるだけに内容が古典中心になってしまうのは致し方ないか。「情報過多によるサンドストーム化」した現在、未来の本への考察があまりなかったのが残念。強制収容所の中の「図書館」や大恐慌後のアメリカにあった移動図書館のエピソードが印象に残りました。
0255文字
EMI
新着
口承のための記憶の補助的存在であった文字はどのようにして読まれるものとなったか。一つの書物は世界を包含し、声を持ち、時代や魂を救済しながら語り続ける。書物が失われる時、その書物を実現させた命が、将来その書物が与えられただろう命が死んでゆく。全ての知識を集わせるべく書物を保護した大図書館は何度も消失したが、全てが無に帰したわけではない。書物の歴史のはじまりを綴った、途方もない冒険の集合体の物語である。人々の情熱は自発的に連鎖を作り上げてきた。現代の読書家もまた、顔を知らぬ未来の人々へと鎖をつないでいるのだ。
0255文字
takao
新着
ふむ
0255文字
さくは
新着
書物の歴史の黎明期。500頁超で分厚い。『イリアス』を肌身離さず愛読したアレクサンドロス大王、世界のすべての書物を集めようとしたアレクサンドリアの大図書館、パピルスの巻物、羊皮紙、ホメロス、アルファベット、図書館と司書、サッポー、ヘロドトス、プラトン、書店と書店員、冊子本、ローマの図書館、正典などギリシア、ローマ時代を中心に現代までの作品・歴史を交えつつ縦横無尽に語っている。
0255文字
アヴォカド
新着
古代ギリシャやローマ帝国、歴史、映画、音楽、本…と博識だなあ、この人。そこに自身の体験や思いなども絡み合い、リアルで身近な文章になっていて、面白くなかろうはずがない。先日オンラインで試聴した、彼女と見田悠子、鴻巣友季子の3人のトークも意義深く面白かった。
0255文字
rinakko
新着
素晴らしい読み応え。本を閉じて「書物の歴史の物語」という副題に向き合うと、本当にその通りだったなぁ…と胸がいっぱいになる。古のギリシアからローマへ、本を巡る遥かな時間旅行のようなエッセイ。ただ歴史をたどるのではなく著者自身の本への深い思いが伝わってくるのもよかった。思い出の中の数々の本たち。書物はそこにありつづける、これからも。手に取るのが楽しみだった装幀は、カバーを広げてみてなるほど…と感嘆。“ある意味では、私たちすべての読者は、自らに轍を残した言葉をおさめた秘密の図書館を自分のなかに持っているのだ。”
0255文字
全10件中 1-10 件を表示
パピルスのなかの永遠: 書物の歴史の物語評価80感想・レビュー10