形式:単行本
出版社:講談社
形式:Kindle版
<思い出話と予定の報告、過去と直近の未来だけがあり、今現在はまるでないような会話の行き来だけが、話すべきものとしてある。/子どもたちの、園などでの集合写真が貼っている。色んな顔がある、様々な顔だ、親はこの子を他の子と同じと思ってほしくないと、いや等しく扱ってほしいと、相反する気持ちで眺めたりするのだろう、というようなことをハンナは思う。/レンジで熱くしたご飯と、レトルトのカレーを混ぜ合わせる。棚の白い塩コショウを、香辛料が貴重だった時代もあったのだ、恐竜より前ではないけど、とオオハルは思いながら見る>と、
<家族で牧場に行った。顔が草だらけの羊、草に沈み込むようにする石、花とは無縁のような木、ここを良しとしていない顔の牛、黄色い炎のような木を、リユリは親たちから一人で見た、見るのに飽きると、開けていても仕方ないので目を閉じた。バター作りを申し込み、生クリームを瓶に入れて振るだけで固まっていき、寒さで母親は不機嫌、瓶を振る力強さをリユリが褒めれば父親は上機嫌で、これだからパパと居る方が気が楽だ、ママが思い悩むのはいつもこちらがどうしようもないこと、とリユリは思った。朝早くから行ったので、持ってきた弁当を>――
NetGalleyにて読了。
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