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哀歌〈下〉 (新潮文庫)

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はなこ
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内乱による激動の地をなんとか脱出し、深い傷を負って帰国した主人公の目で見るアフリカと日本の違い。もちろんこれはフィクションだけど、作家は入念に資料を読み現地で実際に見たものも織り込んで書いたのだろう。こういう場面をよく「野獣のような」と表現するけど、野獣はこういうことはしない。これがまさに人間なのだと気づかされる。後半のテーマも良かったけど、前半の強烈さに比べてちょっと薄味になってしまったような。アフリカや仲間たちのその後が語られないままなのが残念。
0255文字
nyantamaru
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一気読み。混乱する現地から奇跡的な帰還から帰国後の空虚な生活、妊娠の発覚…出国の際税関に賄賂の要求、帰国後アフリカと日本の違いに虚ろになる心、よく分かる。主人公をアフリカから救出し、帰国後の生活も支援する田中一誠との出会い。彼こそが信仰としてのキリスト教と実世界を結び付けるキーパーソン。「徹底してけちでもあるんですけど、お金を使うときには平気で使うんです」「好きだから愛するなんてことは誰にでもできる。好きでなくても、愛していたという嘘をつき通したらいいんだよ。」最後の哀歌の下りこそ読者に訴えたいのだろう
0255文字
ann
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今は静かに考えている。感動していると言うべきなのだろうが、そういう言葉で表すには、あまりにも違うような気持ちのうねりが渦巻いている。答えはいくつもあるのか。たったひとつなのか。命はひとつしかない。
0255文字
ロマンチッカーnao
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街でも評判の美人の妻を持つ、ツチ族の夫は、暴徒化したフツ族の前に、やがて見つかれば妻がどういう目にあわされるのかを考え、その前に妻を殺し、自分も死ぬ。神の家である教会に逃げこんだ人々も教会ごとまとめて殺される。悲惨。 しかし、本当の悲惨は、自殺した夫婦はその後発見され、身に着けていたものすべてを剥がされ、そして、妻は屍姦される。死者の山となった教会は死臭がすごく、教会ごと燃やす。その死者の山から少年、少女が出てくる。ここだとばれないから。地獄。これをどこか遠い所の話と捉えてはいけないと思う。
0255文字
しゅんどーん
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1994年4月に始まったルワンダ大虐殺では、100日間で100万人が犠牲になったともいわれている。この凄惨な事件を、一人の日本人修道女の視点から捉える長編小説。
0255文字
wei xian tiang
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哀歌といっても、エレジーではなく旧約のエレミヤ哀歌(ラメンテーション)の方。法や権力の保護下で抑制されている民衆に内在する暴力が、あるサブ集団が社会の保護の対象から外れた瞬間にサブ集団に対し噴出し、最低でも略奪、悪しくは強姦・殺害に及ぶのはかなり普遍的な現象だと思う。印パ分離独立時の惨劇、アミン時代のウガンダのインド人、満州引き揚げ、シベリア出兵前にも起こった沿海州在留日本人への暴力等。植民者への報復、為政者の扇動、民族感情等も夫々要素ではあるが、上記を無視して一言で整理するのは皮相である。
0255文字
オトンヌ
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朝の連続テレビ小説のような内容
0255文字
うたまる
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むーん、微妙な読後感。「ゴキブリ(ツチ)を殺せ」というフツの非理性的な扇動に対して、「神を信じましょう」という修道会の非理性的な対応。どっちもどっちな未開な言動。このような状況においては、”逃げる”か”闘う”が最も妥当な対応でしょう。また、修道会のあまりの無策ぶりと被害者面に違和感を感じるが、そもそも論で言えば、カトリック教会のフツ支持、フランスの武器供給、ベルギー主導の民族対立、などのファクターが無ければ起こらなかった虐殺。ここら辺に一切触れず個人的な悲劇のみにスポットを当てるのは、何か納得がいかん。
0255文字
Willie the Wildcat
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「愛」。恋愛、慈愛、尊敬、寄り添い・・・。「愛」の様々な形。授けられた新たな命を通して、生命のあり方と愛を問う。”背負う”のは本人だから、その”選択”は個々人の判断、とも言える。それでも、いづれの選択の場合も、周囲の支えは必須。終盤の「山手線と京浜東北線」は印象的。”人生と愛”の複雑さを感じる。世の中思い通りにならないことが多い・・・。次に、主人公の帰国時の戸惑いは、様々な意味での現実と理想のGAPを示唆。”成人(20年)”後の日本の、そして世界の変化を、著者は期待しているのかなぁと推察。
0255文字
Mana
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いろいろ考えさせられるショッキングな本でした。ただラストだけ、ちょっとぴんとこない感じ。
0255文字
かっこー
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いかにも曾野綾子チックな登場人物が。
0255文字
テンちゃん
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自分だったら、どうなんだろう、と考えさせられます。曽野さんの本を読んでいるから、中絶は殺人という意識はあるけれど、忘れたふりをしそうな気がします。同じアフリカが舞台・修道女が主人公となっている小説『時の止まった赤ん坊』のマダガスカルと比べると、こちらはとても重い。
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