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櫂 (新潮文庫)

感想・レビュー
133

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papico
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世間は今フジテレビ関連で賑わっている。こんな時代に、この本を読んだら、女性に生まれることそのものが不幸な時代だったのかと思ってしまう。実際、そういう人生も多くあっただろう。だって常に、虐げられている。若い女性が読んで耐えうるだろうかと思うくらい。それでも、その時代に生きた1人の女性の心が、丹念に、精緻に、ものすごいボリュームで描かれたこの小説は、現代の問題を考えるヒントになった。この時代を経ての現代女性は、何を守るべきか。それにしても、久しぶりにがっつり読書筋のトレーニングになった内容と文字数でした!
0255文字
Sosseki
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戦前の夫婦、家族、社会のあり方が濃密に描かれていて、傑作で、ぐいぐい読ませるが、どことなく女は黙って男に従えという「当たり前」で不快感が拭えなかった。お嬢様育ちでも強くて優しい、現代的価値感を持つ綾子の今後が大いに気になるが…続編を読むかどうか悩ましい。
0255文字
ヒロセ
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ネタバレ久々に凄い本を読んでしまった…。宮尾登美子の自伝的小説というだけあり、大正から昭和へと変遷していく人々の風習や社会背景が生々しく描き出されている(特に冒頭の貧困層が住む裏長屋の描写は強烈)。主人公である渡世人に嫁いだ喜和は、夫がはじめた女衒の仕事を手伝いつつも、女を売って利を得ることに得心がいかず、不満を抱えている。「女三界に家なし」を体現したかのような、理不尽極まりない不幸の連続に目を覆いたくなるが、最後まで読む手が止まらなかった。4部作の残り『春燈』『朱夏』『岩伍覚書』にも期待大。
空猫

ヒロセさん。ナイスありがとうございます。

10/23 20:49
0255文字
晩助バンスケ
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力作だと思うが、読了まで10日間もかかってしまった。表現や漢字の読みが難しく、時代も場所も職業も情景を思い浮かべるには知識がなく、読むにも力がいる作品。男尊女卑の世界感と題名のまんまの流れに翻弄されて必死に水面を漕ぐ一人の女性の生涯が描かれているのだが、憐れんでいいのか励ましていいのかよくわからず。読了感は「難しかった」
0255文字
あや
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面白かった。初読み?綾子、岩伍と喜和、巴吉太夫と大貞(だいさだ)みんなキャラが立ってて読みやすかった。
0255文字
Hiroshi Takeshita
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これは大人の、赤毛のアンである。アンがあくまでも少女向けなのに対して、ここには四門出遊の苦しみが全てある。そして、物語はアンではなく、マリラから始まっていて、それがまたいい。このマリラは、どこまでも公平で、ことごとく正論を口にする、まるでAIのような人物ではなく、それなりに不完全な生身なのだ。マシューに当たる優しい兄さんは、心に安らぎを与えてくれるが無力この上ない。そうした中で、生き生きとした描写という使い古された表現が、コレ程ハマる作品を僕は知らない。又、生活描写は細部にわたり、民俗学的な価値も大きい。
0255文字
kinoko
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最後の数十ページまでずっと辛い。のんびりしたり幸せそうな描写もすぐ崩れそうに感じながら読んだ。でもすごく引き込まれて面白かったと思う。
0255文字
りょうけん
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<桂> 本書は,僕がめったに読まない「文庫本」である。大概の新刊は文庫になる前に単行本で読む。まあこの本はずいぶん昔の本だから今更単行本ってわけにはいかないのだが。で,何故この文庫本を手に入れて読む事になったのかが自分でも実は分からない。先に読んだ宮尾登美子の本が無茶面白くてそれでこの『櫂』も読んでみる気になったのかも知れないけど,その最初に読んだ本が何だったのか心当たりが無いのだから。
りょうけん

僕の感想の最後に『櫂』と『櫓」を比べてみた結果を書いておこう。これは僕が学生時代(40年以上前のことw)に流体力学の講義で教授が雑談としてしゃべっていた内容が印象に残り,以来ずっと覚えているものである。 割と簡単に舟を漕ぐ事が出来るのは「櫂」。でも速く進もうとすると懸命に漕がなければならない。有体に言うと その時の舟の進む速度よりも更に速く櫂を動かして漕がないとそれ以上の速度は出せない。

12/20 20:29
りょうけん

対して櫓は扱いが難しい。ハッキリ言ってちゃんと舟が漕げるようになるにはかなりの経験と時間がかかる。しかし一旦櫓の漕ぎ方を覚えると櫂に比べて長距離をかなりはやい速度でしかも楽に漕いでゆくことが出来る。昔ながらの船頭さんが操る河川の渡し舟などは全部「櫓」で漕いでいる。それはなぜか。ここではヒントを一つだけ書き残して僕の読書感想文を終える。ヒント:「櫓の断念形状は飛行機の『翼形』似ている』。まあもちろんググればわかるけどね。あ,最後不真面目で すまなかった。

12/20 20:29
8件のコメントを全て見る
0255文字
空猫
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長年の積ん読やっと読了。大正時代。15才で一般家庭から(後の)女衒に嫁ぎ、不慣れな暮らしでも二人の男児と孤児を育て、店を切り盛りし、白粉が干乾びた事も忘れて働くも、夫は妾をつくり、果ては孕ませた子を引き取り育てろといわれ、拒めば気絶するほど殴られ「浮気位で悋気は恥」「堪え堪えて」実家に帰るもそこには兄嫁が居て「女三界に家無し」帰る場所は嫁ぎ先だけだ。ひとつ片づいても次々と起こる騒動、、、リズミカルな文章が読んでいて心地良いが内容は何とも波乱万丈。これも、或る『女の一生』。いやはや濃厚な一冊だった。
0255文字
Yumi Ozaki
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何度読んでも味わい深い。実直で心がきれいな喜和さんが大好き。
0255文字
rinrinkimkim
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先が気になって、一気に読み終えました。舞台背景も登場人物もほぼ現代ならばレッドカードもの。100年で我が国は激動の変化をしたことが良く分かる。DV,売春、人身売買、過重労働とブラックなんですよ。耐えがたきを耐えているようでもあるが意外と天然でかつ岩伍の正妻であるプライドも高い。宮尾さんお得意の着物表現がなかったのは残念ですが、土佐の四季や風俗がこと丁寧に描かれていて、動画のようです。朱夏に続きます。
0255文字
リュウ
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ネタバレ大正末から昭和にかけての喜和と岩伍の夫婦に関わる話。岩伍は、芸妓紹介業を営む。長屋や流行り物、登場人物の描写は、目に浮かぶようだ。この時代の女の置かれている状況が語られる。「堪えて堪えて堪え詰めん」、「女三界に家なし」、「男というものは、立てて、頼って、縋って、信じてさえおれば、女子を悪うには扱わん」と言う、女性にとっては辛い時。産んだ子も育てた子も子どもには変わらず、子を思って身を引く、悔しくて悲しい物語。文字数は、多いけど無駄がなく、つい読んでしまいました。
0255文字
ナポジ
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もはや古典の域にある小説である。この重量級の作品が出版され読まれた世界が70年代だったなんて。これを書く人も編集する人も読む人も当然いたわけで。内容も表現も時代背景もたった50年ではるか遠くに来てしまったとしみじみ思う。これを電子書籍にすると、表記はまさか常用漢字以外は使わなかったりするのだろうか。まさかね。紙で読めたことをありがたいと思う。
0255文字
コピスス
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ネタバレ大正時代、高知の下町に生まれた喜和は15歳で岩伍に嫁ぐ。芸妓紹介業を始めた夫を、育児家事に奮闘しながら支えているうちに、娘義太夫と岩伍の間に女児が生まれる。複雑な心境のうちにその娘綾子を引き取り育てることとなるが、やがて深い愛情が生まれ…。全体を通して、まぁ女性の人権などなかった時代だなと感じた。岩伍の喜和に対する扱いのひどいこと。家には帰らず女を囲い、妻には殴る蹴る、挙句の果てに妾の子を正妻に育てろと言い放つ。しかし綾子が喜和の愛情を感じて父親に立ち向かうところが救われた。
0255文字
omo
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ネタバレ時代は大正から昭和戦前、高知の花街を舞台に15歳で嫁いだ喜和の物語。芸妓紹介業を営む夫を支え、病弱な長男と奔放な次男・店の若い衆を抱えながら懸命に生きる喜和。この時代、「嫁」に自由はなく夫に意見するどころか、きやすく話しかける事さえも許されない…。暴力を振るわれ酷い仕打ちを受け、地獄のような辛い事があっても、ひたむきに生き抜く喜和の強さに胸を打つ…。その反面、女性の自由や人権などないこの時代の男達に怒りが込み上げる。喜和が現代の男性の優しさを知ったら腰を抜かすだろうな…。
0255文字
リョウ
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若くして岩伍に嫁いだ喜和。その日暮らしから段々と岩伍が店を構えて繁盛するに従い、その家業への嫌悪感から夫婦仲が拗れていく。大正から昭和にかけて、まだ夫のやることが絶対だった時代に耐えて忍んだ描写は酷いとともに、それでもどこか力強い。
0255文字
Hirouch
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満州からの引き揚げについての物語に嵌っていた時期があり片っ端から買っていました。この本はその満州引き揚げの地獄をえがく『朱夏』へと続く物語ということで、どうせならこっちから読み始めようと考えました。昭和初期の人々の生活、習慣、風俗、考え方等を知ることのできる良書です。女性にとって特に生きづらい世の中だったことは確かでしょうか、性別を問わず全ての登場人物に楽しさのようなものを一切感じませんでした。この後日本が経験することになる国家破滅レベルの非常事態と比較すると、それでもまだマシな時代だったのだろうけれど。
0255文字
ヴェネツィア
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数ある宮尾登美子の基点を成す作品だろう。大正から昭和初年にかけての時代と、土佐といった独特の文化を持つ風土が濃密なまでに作品の基調にある。主人公の喜和が芸者斡旋業を営む富田(屋号)を営む岩伍に嫁してからの33年間が語られるが、「長い長い道を歩き続けた果て」に喜和には何も残らなかった。長男は病死、次男は父親(彼女には夫)の同類、唯一の理解者であった綾子も手放さなければならなくなったのだから。喜和に残されたたった一つの矜持は、あのような家に嫁ぎ、その世界に身を置きながら、最後まで素人であったことだろうか。
ヴェネツィア

宮尾登美子の作品世界を知るには最良の一冊かと思う。ただ、その世界が濃すぎて、次の作品を読むにはしばしの時間が必要なようだ。

09/26 18:08
0255文字
ジェナ@読書の秋
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十五歳の喜和は生家の貧困を取り除くために、女衒を生業とする渡世人・岩伍に嫁いだ。最初から、物質的な生活は心配なかったが、精神は大きな圧力にさらされた。少しでも口答えすると、短気な乱暴者である夫は怒鳴り散らし、暴力を振た。怯える気弱な喜和は夫の理不尽に耐えて耐えて耐え抜いていれば、きっといつかは幸せになるはずという淡い期待を持ったが、夫の浮気、子供の死別、大病などの残酷な現実を経験してきた。ついに夫の奴隷としての思考を放棄し、自分を抑圧する男に勇敢に立ち向かい、離婚の道を選んだ。苦い成長の物語だけど、良作!
yomineko@ヴィタリにゃん

昔の女性は本当に、世界各国で凄いですよね✨✨✨ご紹介ありがとうございます🌸🌸🌸

08/23 08:09
ランディ

ジェナ様。再読をお勧めします。喜和は貧乏から抜け出すために岩伍に嫁いだのではありません。岩伍が紹介業を始めて羽振りが良くなったのは結婚後何年も経ってから。それまではひもじさに泣く子らを連れて実家でご飯食べさせて貰ったりもしてました。また、決して離婚への道を「選んだ」のではありません。否応なしに岩伍に離縁されてしまったのです。離縁の原因?口実?になった岩伍にとって気に障る発言も、決して離縁覚悟の上でしていたのではなさそうです。出戻った後、うどん屋を頑張って元気になったのはまた別の話。

07/28 20:36
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0255文字
ソーダポップ
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「櫂」は、作者宮尾登美子の小説を読む入れ口として格好の作品である。作者自らの生家をモデルにした「櫂」は人物がそれぞれ独特で面白い。とくに岩伍という男のもとに十五歳で嫁いできた主人公喜和という女性が、女の弱さと強さと、嫉妬と愛と、喜びと悲しみをそなえて、忘れられない造形となっている。夫の岩伍は、短気な乱暴者で博打にふけり家をかえりみない道楽者だが、どこか憎めないこっけい味のある男として描かれている。それぞれの登場人物も陰影深く描けていて、作品の奥行きを増す役目を十全に果たしている。太宰治賞を受賞した名作。
ひのわの

ソーダポップさん こんにちは😃感想は書いていませんが「櫂」読んでいます。面白いですよね!最初に「朱夏」を読んでしまい衝撃を受けて「櫂」「春燈」と読みました。あとは『仁淀川』だけですが、積読だったのをすっかり忘れていました。続きものは一気に読まないと忘れてしまいますね😅

07/04 14:15
ソーダポップ

ひのわのさん、仁淀川は8年ほど前に読みましが、また再読したいです😃

07/05 01:12
0255文字
ナンア
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喜和の半生を描いた本。喜和や綾子を通して、宮尾さんの女性の芯の強さを感じることができた。 喜和は岩悟が紹介業を始めた時から商売に不快感を感じ、それは最後まで一貫して変わらない。結局それが根っこにあるから岩悟と上手く行かない。時代が違うから仕方がないかもしれないが、現在では女性が一歩、二歩譲ってなんてことはなくて、違うと思えば早めに別れるのが1番。すがってはダメ。随分と世の中変わったなぁ。始め喜和が幼すぎて先の事まで見通せないのがもどかしく思う。
0255文字
ち〜
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ネタバレ高知の下町に生まれ育った喜和は、十五の歳に渡世人・岩伍に嫁いだ。芸妓紹介業を営み始めた夫は、商売にうちこみ家を顧みない…。大正から昭和戦前の高知を舞台に、強さと弱さを併せ持つ女の哀切な半生を描き切る。太宰治賞を受賞した名作…。読むのにとても時間の掛かった一冊になった。古い作品なので、言葉使いも漢字も難しかった事もあるが、読み進む程に貴和の境遇に辛くなってしまい、頁を捲る手が止まる。結局最後も悲しい終わり方だったが、解説を読んで四部作である事を知る。続きは気になるが、悲しい話なら読むかどうかは悩む所です。
0255文字
aoko
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大正末期から昭和初期にかけての高知。芸妓紹介業をしている岩伍の妻・喜和の視点から語られる。最初は喜和の世間知らずな振る舞いが気になったけれど、巴吉ともめたあたりから強さが出てきてどんどん感情移入してしまった。時代もあるのだろうけれど、岩伍や周りの男性陣の喜和への対応がひどすぎる。喜和の愛情が綾子に伝わったようで、終盤の綾子の行動が頼もしい。綾子の今後が気になる終わり方、と思ったら、4部作らしいので他の作品も読みたい。
0255文字
hon
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すごい読み応え。遂に手を出してしまった宮尾さんの自伝的4部作。1972年刊ということで言葉もなかなか難解。大正から戦前ぐらいまでの或る夫婦の姿を描く。モデルは宮尾さんの両親なのかな。父·岩伍は信念の女衒。母·喜和は夫の仕事に後ろめたさを持ちつつも家を切り盛りする。女が男の仕事に口を出すな。そういう時代。今の価値観では語れないけど、喜和の人生の変転はあまりにも哀しい。自分の仕事を常に否定的に見られたり、万事世間体や見栄を優先されたら鬱陶しいのも分かるけど。結局は夫婦の価値観が違い過ぎたってことなのかな。
yuki

宮尾さんの小説は1作読むだけで超大作映画三部作見終わったみたいな達成感を得られますよね(?)。本当に、「喜和は喜和ですごい苦労してきたんだよー!こんな仕打ちあんまりだよー!」と言いたくなりますが、一概に誰が悪いわけでも無いんだよな…というモヤモヤを抱いてましたが、honさんの「夫婦の価値観が違い過ぎた」というのを読んでなるほど確かにと納得しました。

09/29 13:07
hon

イヤほんと達成感凄かったです。そうそう。誰が悪いわけでもないんですよね。DVは別として。岩伍の気持ちもよく分かりますよ。強いて言うなら、この二人結婚すべきじゃなかったよなーとか思っちゃうけど、この時代ですしねえ。

09/29 18:10
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0255文字
KEI
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ネタバレん十年振りの再読。主人公・貴和の視点で大正末から昭和に掛けて高知を舞台に描かれた本。夫の岩伍は渡世人だったり、芸妓紹介業を始めたりする事で素人の貴和には岩伍に対し反発するが、当時の男は妻をこれほどまで蔑ろにしていたのか?と思ってしまった。岩伍は女を作って子を産ませるが、その子が貴和にとっての支えとなっていく様が見事に描かれていた。子・綾子の進学の為に手放す最後は貴和の心情は計り知れない。著者の自叙伝的作品との事で、その後の作品も再読したい。
キューポップ

これ持ってるのよ!字が小さな長編なので頭に入って来るまで読めず置いちゃってるの。時間確保出来そうな時に改めて読み出そうと思ってるんだ。

06/30 09:18
KEI

キューちゃん 私も文字が小さくてなかなか読むのに時間が掛かりました。でも慣れるとOKよ。久しぶりに読んでみたら?

06/30 11:17
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0255文字
みなみ
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宮尾登美子の大河小説の一冊目。(それとは知らずに以前に古本で買ったのだが)高知を舞台に、喜和という女性の人生を描く。喜和は渡世人の夫に嫁ぎ、のちに夫は紹介業(いわば女衒)を始める。喜和が関わる女性(男性も)や喜和本人を通して、戦前の日本社会の貧困や抑圧された女性の有り様がわかる。喜和の生涯を淡々と描いていく字の文には、かつての日本社会の風俗がふんだんに織り込まれており、過去の社会を想像しながら読み進めた。そのぶん読みでがあり、けっして読みやすくはない。しかし重厚な一冊。続きも読みたいが大変そう…
0255文字
かず
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昭和初期の女性の生きづらさが綴られ、救いは最後までない。切ないが、表現と構成力が素晴らしい。
0255文字
半べえ (やればできる子)
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★★★
0255文字
yuki
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ネタバレ宮尾先生の方は描かれる年月が長期に渡るから読み応え抜群。読んだ時は、喜和の人生を一緒に歩んだ気持ちになった。喜和の性格や要領の悪さにイライラしてしまうが、不器用な女性にとってはとても生きづらい時代だったのだろうな。人情家の岩伍がだんだんと生産的な商売人になっていき、遂には大切にしていた使用人達までも精算していく様が印象的。時代の流れに自ら乗っていく岩伍と、変わらない平凡で少女的な生活を願う喜和と、その二人の性質どちらも受け継いでしまい苦労する綾子。うーん、深いなぁ。
hon

遂に手を出しました。読み応えアリアリですね。喜和の少女的な性格、同感です。覚書の方でまた印象変わりますね。

09/27 17:33
yuki

hon様 おお、遂に!おめでとうございます(^^)そうそう、覚書がこれまた良かったので私は岩伍を嫌いになれません。

09/29 13:02
0255文字
サラダボウル
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ネタバレ大正時代、高知。祭り好きで花見は町内総出の一方、貧しさに喘ぐ人々がいる。軽やかで陰影ある言葉は、土地の匂いや人々の行き交う姿を立ち上らせる。世の中の川の瀬を漂いながら、喜和は流れを見つめている。いつしか水かさは増し、濁流となって押し寄せる。夫と娘太夫の間にできた子を「育てろ」と言われた時には、「私は嫌や」とさすがに怒りが噴き上げるが、文字通り血だらけでぶちのめされる。作家の筆は、何かを追い詰めるように容赦ない。喜びも哀しみも。そして、お嬢さんは生まれて‥。それぞれが胸に抱く、強い矜(ほこり)とは。
0255文字
canacona
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昭和初期、高知の下町の風俗の世界。高知らしい食文化や、言葉遣い、四季の様子、賑やかな下町など、喜和の客観的な視点で淡々と描かれていて面白い。ハチキンという言葉があるくらい女性が強い高知でさえ、嫁は冷飯を食べるのが常識と言うことに驚いた。それにしても渡世人の岩伍と、堅気でいたい喜和、33年よく連れ添ったなと思う二人。岩伍も喜和も息子達も、自分と周りの気持ちに向き合うことを避け続けての破綻だったように感じた。最後喜和と共に家を出る綾子が清々しく、結局母子家庭への風当たりから綾子を手放す喜和の決意が切ない。
みえこ

このシリーズ、読みごたえありますよね!

09/14 14:45
canacona

あまり読まないタイプの本だったのですが、思いの外面白かったです。次は綾子の物語になるのでしょうか、楽しみです😊

09/14 19:43
5件のコメントを全て見る
0255文字
yoshida
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大正から昭和初期の高知。15歳の喜和は渡世人の岩伍に嫁ぐ。博徒であった岩伍は芸妓紹介業、所謂女衒を始める。家業に励む岩伍であるが、喜和は玄人の世界に馴染みがなく呻吟する。長男の肺病、岩伍が囲った太夫に産ませた綾子を引取り育てる、働いた果ての病。体よく隠居までさせられた喜和だが、次男を通しての生活費も届かず。夫と話し合いを望むも、離縁させられる。救いは綾子の存在である。この作品は綾子を描く四部作の第一作。先に三作の「朱夏」を読んでしまった。綾子の激しさは岩伍から受け継いだものだろう。実に読ませる作品です。
0255文字
スギヒロ
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大正から昭和初期の母親とはこんなに理不尽な苦労を耐えなくてはいけなかった。仮名遣いが難しく読み難かったが、話が次から次へと進み読みがいがありました。
0255文字
和泉花
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朱夏→仁淀川に続いてこれを読む。この作品に出てくる綾子はものすごく可愛い。時代もあってかすごいひどい話だなと思った。外に女を作られ子供を引きとるのを拒んだら殴られるってなんなん…
0255文字
綿
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楊梅のみずみずしさに引き込まれて読みすすめたら痛い目にあう。引き返そうにも作者のリズムのある語り口につられて先が気になってしまう。主人公が夫が囲う女性の舞台姿に思わず見入る場面の匂い立つような描写や、家のことを人力で隅から隅までこなさねばならない時代の生活の音、直面する出来事ひとつひとつを辛抱強く腹にためこんだり、ときには一気にけりをつける人たちの、地べたに足のついたなまなましさにのみこまれてしまった。女が冷や飯を食うしかない時代の話を、こんなにおもしろく読んでしまう不思議。
0255文字
ももみん
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岩伍は喜和のどこに惹かれて一緒になったのだろう?
0255文字
ジャズクラ本
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◎和文脈・親は子の年につれて年を取れ・朝風呂丹前長火鉢・「世の中に寝るほど楽なものはない。知らぬ阿呆が起きて働く。」これ、明治四十年生まれの祖母も言っていた・縁と浮世は末を待て・四つ目の犬を飼うと家が乱れる・「いちれつ談判破裂して、日露のせんそとなりにけり、さっさと逃げるはロシヤの兵、死んでも尽くすは日本の兵、五万人を引き連れて、六人残して皆殺し、七月十日の戦いに、ハルピンまでも攻め破り、クロパタキンの首をとり、東郷大将万々歳、十二の果てまで万々歳」毬つき歌。昭和14年生まれの母が知っていた。
0255文字
竹香庵
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覚悟の綾子天晴れ。対して健太郎は実母も扶養しない。なぜか。詰まる所女は商品。妻も労働力・商品。ここに女衒の汚さがある。職業は職業でよい。しかし帰れば家庭人としての立場と責任もあろうのに、岩伍には家も丸ごと商売。大貞が生きていたらきっと許さなかったであろう。外で産ませた子を育てさせ、さらに4人をも仕込みさせ、果ては連れ子女と所帯を持つため本妻を捨てる。結局女の頼むところは棲み家。家さえあれば暮らせる。もっと言ってしまえば要は金か。財力さえあれば、何も岩伍に縋りつかずとも。今日でさえ男女が平等とは言い難いが。
0255文字
Kazuo
新着
著者が「私は好きなことをどうしてもあきらめられない」と 約10年を掛けて、私家版として自費出版した自伝的小説。 著者の父と母の出会いから、自身の女学校への入学前までを 主に母の視線から描いている。一人一人の、ほんの少ししか描かれない登場人物さえも、筆力でその人生が立ち上がってくる。人々はこんなにも日々の生活から様々なこと感じ、考えているのだろうか。筆者が日々をこのように感じ過ごしていたならば、やはり物語る人にならざるを得なかったのであろう。「角の質屋へ行て来ますきに」高知言葉のリズムも 素晴らしい。
0255文字
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櫂 (新潮文庫)評価69感想・レビュー133