読書メーター KADOKAWA Group

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)

感想・レビュー
346

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
まると
新着
長年積んであった阿部謹さんの名著をついに読了。笛吹き男に連れ去られた130人の子供の失踪伝説をミステリのように謎解きする中で、ヨーロッパの中世社会の実相を鮮やかに浮かび上がらせていく。歴史は政治を中心とした国家的な事件だけたどっていては認識を誤る。無名の修道士らの記録などから、遍歴芸人への差別やシングルマザーの貧困、教会支配や宗教改革、飢饉など、様々な背景を探りながらこの事件を「自分の内面に対応する何か」として捉え直し、丁寧に妥当性の高い事実に迫っていく。歴史家の冷徹な目線を楽しめる素晴らしい一冊でした。
まると

石牟礼道子さんがやや詩的っぽい解説を書いて激賞しています。それを読むことができるのも一種の特典ですね。

04/21 23:32
0255文字
こぶね
新着
ネタバレはじめは読むのが苦痛だったが途中から引き込まれるように読んだ。
0255文字
H2A
新着
ハメルンの笛吹き伝説が実際に起こったことを反映していて、そこに多くの人間が様々な説を唱えてきたという。そのいくつかの説を取り上げ、歴史に残って来なかったヨーロッパ中世の民衆、さらには下層民、都市に定住しない被差別民に光を当てる。著者のいくつかの言葉は、歴史学者もこんなことを言うのだと意外。あまりにも悲惨な声を出せない人々の暮らしに寄せる関心。
0255文字
kanaoka 57
新着
失踪した「130人の子供」や「笛吹き男」に連なる、これまで光を当てられなかった庶民や賤民とされる人々への著者の共感性、感受性により、彼ら姿が中世のリアルな姿が浮かび上がり、それまでイメージしづらかった中世ヨーロッパの世界が立ち上がってきます。そのうえで、現代を振り返って、彼らは私たちといったい何が違うのだろうかと考えざるをえなくなります。私たちと異質な世界を覗き込むことで、私達自身がいかに特異なのかを見直すきっかけにもなります。
0255文字
のこ
新着
ハーメルンの笛吹き男伝説を明らかにすることを試みたこの本は、同時に中世ドイツの民衆の生活や差別までも紐解いていく。丁寧に説明されたさまざまな要素が最後に全て繋がり、笛吹き男の正体が輪郭を結んだ時の快感はたまらない!ずっとずっと読もうと思ってた作品なので、やっと読めて満足。
0255文字
Decoy
新着
学生時代からずっとチャレンジしようと思っていた名著を、ようやく読む。そもそも謎が魅力的過ぎるが、その謎へのアプローチの仕方も姿勢も、真摯で公平で多角的で秀逸。文章も巧みで図版も多く、飽かずに読ませる。中世ヨーロッパの仕組みや問題が、今時の異世界転生マンガに似ていると感じたが、これはまったく逆の話で、広く長く読み継がれているこの作品こそが、数多の異世界ものの元ネタになっているのであろう。
0255文字
Alm1111
新着
再々々々…読。何度読んでも夢中になる阿部謹也の歴史研究書。ハーメルンの笛吹男伝説のあらゆる学説、記録を丹念に検証。緻密に当時の状況や民衆心理を探っていく手法は証拠や裏付けを探す探偵のようで、推理小説そのもの。下手なミステリーよりも面白い。著者自身の結論は出していないが、彼の目線が常に名もない声もない民衆に向けられているのがまたいい。この本が発表されて50年。この後何か新事実は出てきたのだろうか?後続の研究があればぜひ読んでみたい。
Alm1111

「ミステリー」にはやっぱり地図。豊富な図版と地図が気分をめっちゃ盛り上げますね。

01/31 06:59
0255文字
本の蟲
新着
中世ヨーロッパ社会の実情と、当時歴史上起こった問題や変化。いくつもの資料に残っているハーメルンの類似例や、原型と思しき史実。伝説として定着した過程と、語り継がれた理由。世代ごとに違う研究者の解釈と真相。各「真相」案の欠陥と、そこから見える研究者の想い。帯の惹句や解説にある「伝説化した実在未解決事件の謎を解く」は煽りすぎで、正確には「伝説に至った歴史的背景と、各研究者が唱える正解への評論」。非常に面白かったが、著者の見解や「これこそ真相」のくだりはない。
0255文字
horada
新着
****
0255文字
りんご
新着
読む本がなくなったんで何かないかと本棚をさばいていたら出て来た本。こいつは読みかけだったはずということで名著を読んでみた。ハーメルンの笛吹き男の伝説をさぐることで中世のヨーロッパの歴史の断面が見えてくる
0255文字
GIGI
新着
表題の伝説や下層民の生活に全く興味はなく、別の書籍で話題にのぼっていたので読んでみたが、ものすごく面白い。中世の下層民の世界が驚くほど現代と似通っている。違いは、住民による娯楽的肉体的懲罰(リンチ)がなくなり、精神的な血祭りへと変化しただけのように感じた。コロナが始まったころのSNSにあふれた迷信の数々を見ると、何年経っても人間の愚かさは変わらないし、教育は何の役にも立たないなってこと。この狂った理不尽な世界でどう生きるかは、最後にシュパヌートが示している。価値は自分の中に置き外に委ねない。視点の階層化。
0255文字
ゆう
新着
地名などの固有名詞が多く、なかなか慣れなかったが、慣れてからはのめり込むように読んだ。社会史といえば庶民の姿は透明化されるのが常だが、本書では中世ヨーロッパの庶民・賤民の姿を探ることに重点を置いており、なかなか興味深かった。大体の本は100ページも読めば世界観にうまく入れて面白く感じられるけど、これは歴史研究なので地名などの固有名詞が多く、なかなか慣れなかった。150ページくらいまでは少ししんどかった。なぜこの本を買ったのか、ネットの盛り上がりにのせられたなあとも思うが、いい機会だった。
0255文字
サトシ
新着
有名無名を問わず過去幾多もの学者や知識人が1284年に起きた笛吹き男による130人の子供失踪事件に至る原因と結果の究明に情熱を注いできた。本書の著者においても同様で700年分の文献を集め、時には現地を視察し証拠集めに奔走してきたことが読み取れる。しかしながら過去の学者や知識人が示してきた説と異なる点は事件発生以後の庶民の生活に目を向け、想像力を膨らませながら彼らの声を聞き取ったことである。そして約750年の時を経て歴史が語られ、全く異国の土地に住む人間に伝承されているかと思うと感慨深いものがあると感じた。
0255文字
p-man
新着
ネタバレ130人の子供達が1284年6月26日にハーメルンの町で行方不明になった。この歴史的事象は一体何を意味するのか?解として、様々な説が示されてきた。著者は中世の民俗学・民間伝承・都市下層民の生活等を丹念に示しながら、諸説にアプローチしていく。また著者の民間伝説に対しての歩み寄り方として冒頭に民衆の物は民衆の物としてそれを知識階級があれこれ解釈をつけるのは、その良さを殺してしまうという魯迅の言葉を置いている。真実は笛の音と共に何処へと。
p-man

笛吹き男伝説と鼠捕り男伝説が一つになり、グリム童話等によって現代まで伝わる説話となった。個人的には少年十字軍説を推したい。

08/31 00:44
0255文字
至
新着
移植、祭りでの事故、子供十字軍などなどいろいろな説を見ていく。 ケルンの十字軍は10歳の子供に率いられて、アルプスを越え ジェノヴァ、更に陸路でブリンディジまで行ったが 結局は司教に諭されて頓挫。 標高400m程度の湿地帯の山に儀式に行き、崖に落ちた説。 宗教的な行事で、異常な興奮状態にあったこと。また、異様に祭りに熱狂する裏には日常の生活の厳しさ、将来への不安があることを忘れてはならない。それ程中世ヨーロッパ市民の生活は普通の市民も下層の市民も過酷。 また、笛吹き男が属する遍歴芸人は各地を放浪しているの
至

で街で何か不幸な事が起こり原因が不明であれば、しばしば彼らのせいにされてきた。ローマ帝国の没落後に俳優は遍歴しはじめ、13世紀から16世紀になって定住しはじめた。大都市や宮廷を中心とする中央集権国家が出来たことで定住。また英雄叙事詩人はキリスト教から迫害されたというパターンも。 祭りで若者が日頃の鬱憤を晴らしており、司教に対してもかなり暴れていたようだ。 76歳で学位論文を出したシュパヌート博士の話は印象的で、元々教師や研究はしていたとはいえ、なにかをするのに年齢は関係無いと改めて思える。

08/30 11:02
0255文字
のん818
新着
誰もが耳にしたことのある「ハーメルンの笛吹き男」の話。単なるお伽噺なのか何某かの警告なのか、それとも実話なのか。事実1284年にハーメルンの街で130人の子供が失踪した事件があり、この「子供」と呼ばれるのは「若者」で、彼らはどこへ行ったのか?植民地政策、十字軍遠征、ユダヤ人の追放など、この時代のヨーロッパの中都市の下層の人々の生活を丹念に紐解き真相に迫る。笛吹き男とは何者なのか?の考察にも時代の背景が投影されているのも興味深い。突然に子供を奪われたハーメルンの人々の悲しみは、伝説として今なお生きている。
0255文字
中山りの
新着
「ハーメルンの笛吹き男」伝説の成り立ちを広く、深く探求していく作品。その過程はほとんど物語のようだ。 伝説には少なからず背景があり、「ハーメルンの笛吹き男」の場合にも中世ヨーロッパの社会構造が含まれている。 ひとつの物語、伝記が、伝説となり語り継がれる物語となる。そうやって人々に物語が根付く。そのとき、その伝説が歴史的事実なのか虚構なのかは問題ではないのだ。 なぜ語り継がれてきたのか、その過程こそが大事なのだ。 そんな過程を詳細に研究した良書。
0255文字
悸村成一
新着
読了-29冊め。22刷2006年。鼠捕り男に関連して猫(家猫)が出てこないから謎である。飼い猫(家猫)の歴史は果たしてどうだったのだろうか。
Alm1111

猫という視点も面白いですね!

01/31 06:56
0255文字
読人
新着
「まるで推理小説のような歴史学の書」というキャッチに興味を持って手に取った。正直「推理小説のような」は言いすぎだと思うが、中盤までのロジカルな積み上げは確かに面白かった。全体を通してこれまで触れることのなかった中世ヨーロッパの庶民の暮らしが紹介されており興味深い。また最後に紹介されている78歳で学位論文を出したシュパヌートの話が印象的。162ページから記載されている中世のユダヤ人への差別、というか殺戮の内容に戦慄を覚えた。こうした習慣が下地となってナチスの政策につながったんだろう。
0255文字
(ま)
新着
事件は1284年 伝説が生まれた下層民の苦しみの歴史的・宗教的・社会的背景と、有名な伝説として広まり、変質していく時代の精神的・社会的な状況と
0255文字
ポンプケ
新着
ハーメルンで子供が集団失踪した事件が本当にあったと知ったのは幼い頃に見た「世界ふしぎ発見」がきっかけだったと思う。あの時の胸踊る気持ちは何十年経ても忘れ難いがやはりどこかハーメルンという場所を伝説の舞台としか捉えてなかった事を本書で思い知った。
0255文字
ちえぞー
新着
たぶん再読。高校生の頃に世界史の授業で、「阿部謹也の文章が素晴らしくてね…」とのたまう先生に感化され、同系統の本をまとめて読んだ記憶。ちょっとずつ、また集めてます。
0255文字
wata
新着
思っていたよりも本気の研究だったので、読み進めるのが難しかった。
0255文字
miyuko
新着
以前から気になっていた本のひとつで、やっと手に取った。もう半世紀近くも前に書かれた本だったのか。「ハーメルンの笛吹き男」伝説の謎解きが主軸に置かれているが、帯に書かれているような謎解きのゾクゾク感よりも、丁寧に解き明かされていく中世社会の庶民の生活の実態に心惹かれた。絵空事ではない社会の姿に、人間の本質を垣間見るような一冊だった。
0255文字
Dave
新着
伝説の解明のために筆者が目を向けるのは等閑視されてきた庶民。その眼差しが彼らの生活を浮かび上がらせていく。刺激的な本だった(石牟礼道子の解説も凄まじい)
0255文字
筑紫の國造
新着
「グリム伝説」などで知られる「ハーメルンの笛吹き男」の伝説を、史料の博捜と明快な推理で追う、歴史書の良作。中世ドイツ、130人もの子供たちはなぜ消えたのか。著者は、これを追うのにさまざまな史料から伝説の「原型」を追い求め、さらに当時のハーメルンの人々がどのような暮らしをしていたのか、遍歴芸人たる「笛吹き男」がどのような立場に置かれた人々だったのか、詳細に研究する。やがて現れてくるのは、寡婦として過酷な立場に置かれた女性たちの暮らしと、行き場のない庶民たちが伝説に託した思いだった。
0255文字
shayna
新着
ネタバレ伝説がいつから始まったのか。類似する鼠捕り男との関連性や中世ヨーロッパ社会の縮図、歴史的な流れに沿って宗教改革や活版印刷の波及による伝説の変容についてが分かりやすく読みやすくまとめられていた。 ペストや災害、戦争などの厳しい環境下でそういったものへの犠牲になったり、そのような理不尽な状況の一番近いところにさらされていた一般市民が自らの体験を表現するための手段として、この伝説を口伝で世界へと普遍化させたことが結論である。この帰結に人が持つ語りの持続力の高さがみえると同時に中世ヨーロッパの見方が一つ増えた。
0255文字
目黒
新着
YouTubeショート動画で実話だったと知り、真相が知りたくて読んだ結果大満足。事実は小説より奇なりとはまさにこのことかと。
0255文字
とむぐりーん
新着
筆者が様々な資料や文献に当たって、ハーメルンの笛吹き男の物語を解明をしていく過程で、中世のドイツの下層民、飢饉や疫病などの実態を見ることが出来る。諸説があり、真相はこれだ、というものは出て来なかったが、有力な学者の研究成果を追って行く中で、中世ヨーロッパという時代や文化を学ぶことが出来て良かった。
0255文字
Ex libris 毒餃子
新着
ゴリゴリに史料分析している中世ヨーロッパ史。体力ないと読みきれない。 ちくま学芸文庫ではないのが不思議です。
0255文字
中村です
新着
この帯にびっくり。ゴシップ週刊誌みたい。帯を外した写真を載せて欲しい。地味にコツコツと調べ上げている。事実を知りたいという熱意に圧倒。歴史弱者の私は途中から何を調べている??結局なにがわかった??と迷子になった。泣く泣く離脱。超ズルして最後まで読んだ読書仲間から話を聞く(わかっている人から話を聞くのが一番良い)。ハーメルンの消えた子どもたちに実際はどういうことが起こったのか。一応作者なりのベストな答えは導き出す。資料から推理していく過程の面白さは良質なミステリー小説と同じ。解説してくれた友に感謝です。
Alm1111

ですよね!「帯を外した図版にしてほしい」すごーーーーく同感!これじゃ何だか安っぽくて。

02/01 07:26
中村です

Alm1111さんもそう感じてましたか!帯って意外に大事ですよね。イメージが…😔💨

02/01 08:59
14件のコメントを全て見る
0255文字
練りようかん
新着
ネタバレ130人の失踪伝説。改めて人数の多さに慄く。真実の解明と伝説の変容を追う中で、子供とは年齢か“江戸っ子”の子に当たるものかという疑問が大きな発見だった。資料や社会の歴史的構造を知ると、氏のとる説とは別に自説が形成されていくのが意外な楽しさだった。10人20人産む多産の時代、堕胎は罪で子供の誕生は大変な経済負担。植民請負人や鼠捕り男の復讐。これらから出生届をださずに育った子供たちを、市や村を取り仕切る者が成人を前に葬るか強制移住させ、貧民は文書記録することができず伝説という形で残したのではないかと思った。
0255文字
髭剃粉
新着
ネタバレハーメルンが製粉を大きな経済基盤としており、倉庫のネズミ被害に悩まされていたこと。ヨーロッパの構造上、ネズミ返しなどの細工ができなかったこと。当時のヨーロッパは階層社会で、賤民を人として扱わなかった一方で、それ故に特殊な力を持つと妄想したこと。貧乏な生活のなかで祭りの時に町を練り歩くことが習慣的にあったこと。政情が不安定な世で、子どもも煽られて十字軍ごっこをして、何十人もの子どもが団体で消えるのは、事実としてあったらしい。鼠取り男の話が現実ではないが、この話が大いに当時の状況を投影していることが興味深い。
0255文字
J.T.
新着
伝説や伝承にはなんらかの真実が含まれている。ということを解明した本ということで、その昔本書が大きく注目を集めていたのでしょうか。今までの人生で何度か本書を本好きな知り合いから薦められたことがありましたが、それからン十年後に漸く読みました。今では童話や伝承にはある程度の真実が含まれるというのは誰もが知ることの気がしますが、もしかしたらこの本がその走りとなっていたりとか...。自分は大変な知のひとであろう著者が、弱者に対する優しい眼差しを持っていることに心を動かされました。
0255文字
zeeen
新着
再読。13世紀のドイツで130人もの子供たちが失踪した「ハーメルンの笛吹き男事件」の謎を当時のヨーロッパの社会情勢、庶民の暮らしなどに照らし合わせ解明していく。民話は市井の人々が抱える貧困や苦悩、困難が語り継がれることで生まれるが、いつしかそこに政治家や知識人の都合が入り込み変貌、拡散していく過程は何度読んでも興味深い。社会史サスペンスとしても面白いと思う。
0255文字
西野西狸
新着
ネタバレよく知られたハーメルンの笛吹き男を最初の子供の小室事件が起こった中世の時代に置き戻し、どのような背景があったのか、途中から付け加わる笛吹き男の社会的位置などを分析した本。結局、消失事件は何があったかは分からないが口頭で伝わった話に知識人がどのような解釈を与えそれがフィードバックしたのかということや、中世の都市の文化や身分、仕事など基本的なことを学べ参考となる。
0255文字
simplegg
新着
伝説「ハーメルンの笛吹き男」の成立過程を紐解く形でドイツ中世社会の人々の生活に迫る社会史/歴史学の書。本書の帯には「ゾクゾクする」や「スリリングな」などの売り文句が派手に並んでいるが、個人的には読みながら古い文献を1ページ1ページめくっていくような静けさを感じた。後半はやや間延びした感があったが、社会史/歴史学という分野の面白さは存分に感じられた。
0255文字
ぼや
新着
結局ハーメルンの笛吹き男は誰なのか、子供たちはどこに行ったのかは分からなかった。そうではなくて、今日まで語り継がれる伝説はどういう社会で生まれたのか、みたいなとこが主軸。この時代の下層民や賎民、その中でも特に女性の置かれた境遇は想像よりもひどかった。生まれて死ぬまで、毎日をどう生きてたんだろう。笛吹き男に連れられてどこか遠くへ行きたいと思った大人たちもいたんじゃないだろうか。それにしても、もののけ姫しかり、下層民や賎民の話はいつも興味をそそられる。何でだろう。
0255文字
佐屋
新着
13世紀ドイツで発生した約130人の子どもの集団失踪《ハーメルンの笛吹き男》の謎を、当時の社会状況を手掛かりに紐解いていく。最後に明快な「真相」が提示される訳ではないのだが、何せ今から約740年前(本書刊行時からは690年前)の出来事なのだ。それが今こうして、全く違う国の人間の耳に届いている事自体が、その伝説が単なる事実に留まらない意味を持つ事の証左と言えないか。中世社会に長くあった身分による差別の徹底さは凄まじい。「乞食」が一つの職業として認められていたとは。思わずブリューゲルの画集を引っ張り出した。
0255文字
ハッシー
新着
ネタバレ朝日新聞で本書が紹介されている記事を目にして興味を持ち購入しましたが、最初は論文のような内容が気になり、なかなか読み進まなかった。単純に中世のドイツで起きた子供の誘拐事件と思っていましたが、本書では当時の人々の生活背景や心的構造など様々な角度から事件の真相を探っています。貴重な史料・文献や当時の知識人の説他幅広く検証し考察されていて、この伝説の奥の深さを感じました。
0255文字
全346件中 1-40 件を表示
ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)評価46感想・レビュー346