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法律 下 (岩波文庫 青 602-1)

感想・レビュー
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記憶喪失した男
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ネタバレプラトンの遺作。こんな法律の国には住みたくない。プラトンの法律には魅力がない。管理主義すぎるだろう。殺人は、競技、戦争、訓練では無罪になる。その他、たくさんの無罪とすべき殺人が語られたのち、有罪の殺人はすべて死刑になる。この殺人罪は重く罰せられているが、殺人罪が軽い古代法とどちらが良い法律なのだろう。裁判官は、相続予定者の結婚が釣り合うものかの判断で、男を丸裸に、女をへそまでの半裸体で見ることができる。同族関係にある神々と、天体の支配者である神々が同一視されている。
0255文字
singoito2
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本書の主張は「国家」の延長上にありますが、実際に各地で国政に参画しているお弟子さん達のために、具体的に法律に書き下ろして見せた、というところでしょう。当時のポリスは数年おきに干戈を交えていて、そのことが常時臨戦態勢の全体主義国家(現在の南北朝鮮のような)とすべきであるという本書の主張の背景にあるのだと思います。厳しい思想と言論の統制、毎月1回の全市民による軍事教練や、旧ソ連が陥ったような監視者を誰が監視するか、というジレンマを政教一致で解決しようとするのも今日的には受け入れがたいでしょう。
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のっち♬
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下巻は教育、経済、犯罪と刑罰などについて法律の概要・類例を論じる。音楽や演劇など芸術表現への制限から厳格で、個性・節度との相剋を感じる。ここでの不正とは魂の病気で国土を汚すもの、懲罰は善き人間に変える制度。その結果、最善の対処を怠れば周囲まで容易に罪人が生まれ、動物も無生物も裁判にかけて国土の外に投げ棄てるシュールな光景まで発生する。法的仲介役の裁量が大きく寄与しそう。知性や年長者への不敬が殺人罪に匹敵する重罪なのも目につく。弁論術批判を込めた不当弁護の死刑や不運な子供や奴隷の絶対的な「所有権」は嗜虐的。
のっち♬

「真剣な事柄については真剣であるべきだが、真剣でない事柄については真剣であるな」「人間というものは、多くは操り人形であって、ほんのわずか真実にあずかるに過ぎない」「立法者は不正と損害という、この二つのものに目を向けていなければならない」「いつでも最善のことを行なうことができたり、行うことを望んだりする、というほどに素質にめぐまれている者はいない」「一なる形相(イデア)へと目を向けることができるということ、そのこと以上に、その観察や考察をより厳密なものにする方法があるでしょうか」

10/18 20:04
0255文字
kuretya
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2300年前の、プラトンの脳内箱庭ゲーム。の続き。ほぼ六法を網羅する内容。いつものことながら、プラトンの国家は徹底した管理統制社会、全体主義であって恐怖を感じる。ジョージオーウェルも参考にしたに違いない(適当)。思想、教育、経済活動、婚姻、あらゆる自由を徹底的に奪い、個性を否定する。短・中期的には組織は安定するだろうけれども、変化を拒むことで国家は緩やかに衰退するように感じた。プラトンの徳に関する考え方は素晴らしいし、これを現代的な人権思想で味付けすればもっといい国になるのではないかと思った。
0255文字
CCC
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下巻だと女性の権利を認める部分も出てくるんですね。てっきりそういう要素はなくなったのかと、上巻読んだ段階で早とちりしてしまった。反省。下巻では第10巻の神学っぽいところや、トマス・モアの『ユートピア』を思わせる部分、儲ける事への厳しい視線などが注意を引いた。後払いの禁止、商品価格の固定化に見られる経済センスの怪しさは、実際の国家運営では致命的になりそう。少し前に『国家』で読めなかった音楽についての話が読めたのは嬉しい誤算だった。『墨子』と比較したかったのだが、浪費と情操教育と、批判理由はまるで違った。
0255文字
壱萬参仟縁
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アテナイからの客人:国家は個人と同じように、善く生きなければならないということです。しかし幸福に生きる人びとにとって第一の必要条件は、自分自身に対して悪をなさず、他人によって悪をこうむらいないということです(109頁)。人が不正行為を犯したときには、法律は、あたえた損害の賠償をさせたうえに、その人を教えたり強制したりしながら、二度と再びそのようなことを自らすすんでは敢えて行なわないようにさせるか、そうすることが以前と比べてはるかに少なくなるようにさせるべきです(185頁)。
壱萬参仟縁

(地の文→)他国の人たちに善き人間であると思われるか、思われないかということは、けっして軽く見てはならないことなのです。大多数の人間は、徳をほんとうに所有していることからは欠けているにしても、他の人間が悪しき者であるか善き者であるかを判別する能力をも、それと同じ程度に欠いているわけではないからです。多くの人びとの間でのよい評判を大切にするようにという韓国は、多くの国にとっては適切なものとなる。

06/02 06:09
壱萬参仟縁

完全な意味で善き人間であろうとするなら、まず自分自身がほんとうに善い人間となり、そうすることでよい生活を送っているのだという評判をえようとするのが、いちばん正しくてまた最も効果のある方法であって、自分自身が善い人間であることなしには、よい評判もけっしてえられない(414頁)。

06/02 06:09
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鵜殿篤
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【要約】おれの考えた最強の国家は、人々を徳に導く教育をいちばん大事にします。
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chanvesa
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プラトンの描く国家では死刑を多用されるが、死刑の是非を問題視するのではなく、国民の幸福とそのための秩序を維持する制度としていることに強い意志を感じる。薬物や呪いによる殺人に対して厳格な規定を用いているのが興味深い。また第10章の神の存在や不敬罪については中途半端な印象を感じる。文句を言うのはおこがましいけど、本書の上下巻ともに、論点が散らかっているというか盛りだくさん過ぎて、質的な重量感を見出だせなかった。
0255文字
ヴィクトリー
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全体を通して「国家」よりは落ち付いた印象を受ける。登場人物が年配の三人であるせいか、プラトンの円熟か、話がより現実的なせいか。しかし、「国家」に比べると熱気が少ない、と感じなくもない。教育重視、と言うより思想統制的なところは相変らずで、上演出来る悲劇を役人が審査するってのは、どこの共産国家だ、と苦笑もさせられるが、変化は悪として子供の遊びも常に同じでなければいけない、等と言うに至ってはやり過ぎとしか思えない。
0255文字
いず
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国家編と同じく、平等感、奴隷感などは引き続き一貫した考え方でした。第10巻は色が突然変わる感じがし、わくわくしてたのですが一部詭弁?論点のすり替えのような印象がありちょっと不満足(笑
0255文字
ひでっち
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他のプラトンの著作にもありますが、魂が最も古いものだという主張には考えさせられます。「死んだら終わり」とか「生まれる前には全く存在していなかった」というふうに何となく思っているものの、プラトンの主張を反駁する材料が自分にはないですね。「更正不能な人は死刑!」というふうに、死刑が頻出しています。主張としてはわかりやすい。でも、更正不能かどうかは判断が難しいですね。
0255文字
たくやよ我に帰れ
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理想へのアプローチ方法と現実の悪への対処法という2つの要素を織り込めるのが法律だったのかな。プラトンは最後まで理想/善の追及を諦めてなかった。とはいえ、時々、最善より次善を目指すのが現実的には理にかなっていると言ってますね。質的平等を論じた箇所、神についての考察、「生きている」とは何かといった問題は、現代人が読んでも面白いんじゃないかなあ。
たくやよ我に帰れ

あ、画一的な性格をもった内容でした。唯一の善を目的としたとき、到達手段は1つしかなくて、みんながそれぞれの方法でそれぞれの目的を達成しようとする社会は無秩序だとプラトンは考えていた。

04/09 16:47
0255文字
ありす
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「その者の言い分が間違っていることを、議論によって無理強いに認めさせているだけのことなのです。しかし、[本当に納得してもらうためには]その上になお、何か呪文の働きをする物語が必要だと思われるのです」p.300 「人びとの神々に対する考え方が変わってしまった以上、法律の方も変わらざるをえないわけです」p.410
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