形式:新書
出版社:岩波書店
文章の合間合間に、戦場カメラマンらの点鬼簿が挟まる。この簡潔な回想が筆者の思いを巡らす姿に重なる。紙一重の差だった生死の境目、あるいは功名心、あるいは正義感。「四国は死国だ」というと何か映画の題名のようだが、札所と札所の間の時間、考えることはもっぱらここまで歩いてきた人生の道程だ。そしてこの先のことだ。もっとも自分の場合はバイクで廻ったのでこけないように、道に迷わないようにと、必死だったとも言えるが。
四国遍路というと、札所がその中心にあるようだが、実はその道中こそ値打ちなのだということを改めて思い出させてくれる1冊だ。写真はもちろん美しいし、自分がどこかで見た景色に相違ない。「何も考えない時間」ふと考える時間。もう一度、四国を回ってみたくなった。不思議とこの本でも、阿波、土佐ときて、伊予に入ると一気にペースが進むような気がする。走っていた時間の流れに似ていた。そういえば、お世話になった旅館が文中に何軒か出てきた。宿の方々はお元気だろうか。
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