形式:文庫
出版社:角川書店
飯田橋のテナントを再契約し、万能鑑定士Qのお店に帰ってきた莉子さん。以前と大きく違うのは、真コピアからのアドバイスを取り入れ、店の前に料金表を貼るようになったこと。これまで解決してきた数々の功績を考えれば、たとえ推理劇Ⅲで数ヶ月間海外を飛び回っていたとしても、貯金が尽きることはなかったはず。タダで鑑定してしまう彼女にもやもやしていた読者も多かっただろうから、この変化はすごくいいと思った。どちらもストーカーに変わりはないのだけど、ジェネリックコピアは「悪いストーカー」で、真コピアは「良いストーカー」だった。
この巻は凜田莉子の「代償」と小笠原悠斗の「成長」がテーマだと感じた。莉子さんの"嫉妬深さ"と"傷つきやすさ"は根が深い。でもこれは「感受性が豊かすぎる」ことを象徴した描写で、小笠原くんとの仲が深まってきたからこそ、博覧強記の代償部分も見せてくれるようになったのではないだろうか。凜田莉子、雨森華蓮、浅倉絢奈といったずば抜けた才能の持ち主と接する中で、格上に引っ張り上げられる形で成長してきた小笠原くん。波照間での幸せな生活が彼に余裕をもたらし、元々備えていた魅力と組み合わさる形で急成長につながったのだと思う。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます