いに、死んだら別の人生を歩めるのであれば、今の人生は捨て去って、新しい人生で頑張ったほうがいい。そういう奴は間違いなくいる。頑張ろうと思えば頑張れるなんておためごかしだ。俺の目から見て、彼女はまだまだ頑張れる。まだ若いというか幼いし、これからの頑張り次第でどうにでもなる……と、言いたいところだが、そう言われ続けた俺はダメだった。死ぬまで馬鹿が治らなかった。この少女が俺と同じかどうかはわからない。結局は、当人のやる気次第だ。決めるのは俺じゃない。『……』『なんか言えよ』(略)『――死にたくない』少女はぽつり
と呟いた。か細い声だった。消極的な返事だった。だが、いいだろう。そんなもんだ。俺だってそうだった。それでいい。生きたい、じゃなくていい。死にたくないで、とりあえずいい。(p216~217)
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