“The Franchise Affair” by Josephine Tey 読了しました。邦題:フランチャイズ事件。物語が大きく動くのは終盤だけど主人公の民事弁護士が素人探偵として調査するところは長いんだけど第二次世界大戦終了直後の英国の田舎町や人々の生活(階級対立とか)の様子やイギリス英語表現、慣用句など楽しむ事が出来た。12/100
エリス・ピーターズ:『聖女の遺骨求む』57作目。話は面白い。登場人物も魅力がある。動機とか解決策とか、犯罪周りの構成が、荒っぽいんじゃないか?と思わないでもないが、そこは、小説世界に知識がないので、よくはわからない。
マイケル・ギルバート:『スモールボーン氏は不在』56作目。
これは面白かった。弁護士事務所内の書類ケースから死体が発見され、更に一人…。コメディタッチ満載の事務所内のやり取りに鍵が隠れている。完成度高い。
デズモンド・バグリィ:『裏切りの氷河』54作目。アイスランドを舞台にした冒険アクション。荷物の運搬を元上司に強いられたイギリスの元諜報部員の行く先に、ソビエト、アメリカが姿を見せ、次第に追いつめられていく。誰が何を指揮しているのか?
ジョン・ル・カレ:『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』。前ボスに近くMI6の新体制に疎外された中年スパイが、現役のタレコミを発端に、新体制中枢にいるソビエトのスパイを炙り出す話。もう一人の主役は体制交代のきっかけの一つになった事件のために負傷した元スパイ。51作目
The Mask of Dimitrios, Eric Ambler『ディミトリオスの棺』 エリック・アンブラー。50作目。菊池光訳。この主人公が好奇心で突っ走るには危険すぎる話。
ディック・フランシス:『奪回』菊池光訳。49作目。フランシスでもう一冊ここに入っている「配当」も悪くはなかったが、誘拐を扱う本作は理屈抜きに楽しめる要素が満載で、素晴らしい。完成度の高い作品。
アリステア・マクリーン『ナヴァロンの要塞』読了です。色んな特技を持った人物達がチームを組んで、成功確率の低い困難なミッションに不撓不屈の精神で挑むという、実に典型的な映画映えするエンタテインメント小説でした。
これら主人公一行に襲いかかる敵や障害をいかに乗り越えていくかという機転や卓越した技術へのスーパーヒーローの戦いぶりにあるのではなく、困難な目標に向かって苦闘する人々が織りなす人間ドラマに読みどころがあります。
何度も挫折しそうとなりながらも仲間たちを鼓舞するリーダーシップやそれに減らず口を叩きながらも応えていく部下たち、そして島を侵略された住民からの協力者たちが秘める敵への憎しみ、それらが折り重なって極限状態の主人公たちが諦めずに幾度も立上る行動原理を語っているからこそ、ハリウッドが好き好んで描くアクション映画の典型のようなシンプルな筋書を持つこの作品が今なお冒険小説の金字塔として称賛されるのでしょう。
映画も大ヒットして今でもBSで放送されたりする名作になりましたが、その好評を持って続編『ナヴァロンの嵐』を書いたのはさすがに無理を感じました。それだけが残念!
“The Key to Rebecca”by Ken Follett読了しました。1942年の北アフリカ戦線のスパイ小説。題のレベッカさんはどこで出て来るんだろうと読んでいたら、”Rebecca”by Daphne du Maurier の事だった。暗号コード本として使われている。英語は読みやすい。10/100。
マーガレット・ミラー:『狙った獣』雨沢泰訳。48作目。米国得意のサイコ・サスペンスの走り?大変丁寧に心象を書いていく。置かれた環境がどう人格を壊していくのか、というフィクションとして面白かった。
ドロシー・L・セイヤーズ『毒を食らわば』読了です。ピーター卿運命の出逢いの作品ですが、運命の相手ハリエット・ヴェインがなんともツンデレでこの辺は今読んでも面白いのかも(私はちょっと苦手)。今回は題名に上がっているように毒殺事件の真相をピーター卿が解明するのですが、通常ならば“如何に被害者に毒を飲ませたか?”という命題に着目されるのですが、いやもっと正確に云えば“如何に被害者のみに毒を飲ませたか?”とかなり限定されることになりますが、そういった先入観を与える事を見越してのこの真相には驚きました。まだこんな方法が残っていたのかと驚きです。名作はやはり記憶に残る名作でした。
ジョン・ディクスン・カー「三つの棺(新訳版)」読了しました。10年前の新訳読みやすかった。この人の代表作「皇帝の嗅ぎタバコ入れ」なんて60年余りで9人の人が訳してる。4〜5人に訳されている作品もある。古典名作の部類に入る作家のせいかのか、人気作品だからか、著作権がらみ、決定稿となる訳が無いから。いろんな理由が考えられる。新訳版の訳者は後書きで英語と日本語の違いを訳の難しい理由として書いている。英単語1つで言い切れる事がピッタリ来る日本語が無いと。新訳のおかげで昔風の今は聞かない喋り方とかに悩まされずに読む事が出来た。訳者さん有難う。9/100
P・D・ジェイムズ『罪なき血』読了です。離れ離れになっていた実の両親を探り当てたらなんと父親は少女暴行罪で獄中死、母親は少女殺害の罪で服役中でもうすぐ出所すると聞き、主人公の女性は彼女に逢いに行くことを決意しますが、た殺された少女の父親も復讐するためにその母親の出所を待っていると、どう転んでも悲劇にしかならない重い設定。
ストーリーはもうこのゼロ時間に向かって進みます。変にトラブルが生じるとか、予想外の事態に巻き込まれるとか、そういったことは一切なく、当事者は“その日”が来るのを淡々と待つばかりです。
これが実に読ませます。
単純に善悪で割り切れないところにこの小説の醍醐味はあり、読後深く考えさせられます。こういう小説だとジェイムズ特有の重厚な心理描写が実に活きてきますね。物語の構造がシンプルなだけにそこに至る道程で関係者が孕む心の移り行きが非常にコクのある内容で語られます。一番ジェイムズの作家としての本質が出ている作品だと思いました。
パトリシア・ハイスミス:『太陽がいっぱい』47作目。アラン・ドロンを世に出した歴史的原作。読みどころは犯罪者の振れ幅の大きさとイタリア紀行。そこまで海は出てこないが。
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