作家の村上春樹さんが4月に米国の大学で行った講演「疫病と戦争の時代に小説を書くこと」の原稿が、7日発売の文芸誌「新潮」に掲載された。村上さんはウクライナ侵攻などの国際情勢を踏まえ「我々のまわりには頑丈な壁が築かれつつあります」と語り、国家間やブロック間の対立が深刻化する現状に危機感を示した。
20230607 日経新聞より
作家の村上春樹さんは1979年、デビュー作『風の歌を聴け』で群像新人賞を受けた。贈呈式のスピーチで、ペンネームに関するエピソードを語っている◆村上さんはロス・マクドナルドの探偵小説が大好きで、作品に登場する名探偵リュウ・アーチャーのファンだった。将来、小説家になったら「村上龍」のペンネームで執筆したいと思っていたが、先に村上龍さんが登場したため、本名で書くしかなかったのが非常に残念だと話した。
20230605 佐賀新聞 より
春樹さんらしい人を喰ったはなしです。
スペインの文学賞に選ばれたようですね。ご本人は喜んでるのかな?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230525/k10014077571000.html
「何ひとつ思うな。ただ風を思え。」トルーマン・カポーティの『最後のドアを閉じろ』の最後の一行だそうです。村上春樹さんはこの表現が好きで『風の歌を聴け』の題名にしたそうです。
#村上ワールドの旋律 そして僕のギターをみつけて手にとり、少し調弦してカルロス・ジョビンの「デサフィナード」を弾いた。彼女のギターを聴くのは久しぶりだったが、それは前と同じように僕の心をあたためてくれた。
ノルウェイの森(下)より
#村上ワールドの旋律 僕は通勤電車みたいに混みあった紀伊國屋書店でフォークナーの「八月の光」を買い、なるべく音の大きそうなジャズ喫茶に入ってオーネット・コルーマンだのバド・パウエルだののレコードを聴きながら熱くて濃くてまずいコーヒーを飲み、買ったばかりの本を読んだ。
ノルウェイの森(下)より
ベルリンから季節の便りが届いた。支局の女性スタッフが近況とともに「ハルキ・ムラカミを見て、とてもうれしかった」と知らせてくれた。作家は独紙の文学賞を受賞。先月、壁崩壊から25年の地で「世界には民族、宗教、不寛容といった壁」が残ると講演していた。
彼女は日本文学が好きで、大学でも村上春樹を研究していた。親しみを込めて「村上さん」と呼ぶ。そんなファンが世界中にいる作家の長編に、「羊をめぐる冒険」がある。主人公は背中に星形の紋がある1匹の羊を追跡する。羊は人間の中に入り込む不思議な力を持っている。その行方をめぐって、物語は展開してゆく。
この羊は、何かの比喩なのだろう。来年の干支(えと)は、よく例えに使われる。キリスト教では、人間を「迷える羊(ストレイ・シープ)」に見立てた。牧畜が盛んな地域では大切な生活の糧だ。いなくなると困る。村落の存亡にもかかわる。むかしの中国では逃げた羊を見失って嘆く「亡羊の嘆」といった成語も生まれている。
日経新聞 春秋 2014/12/30より
新聞でも春樹さんを楽しんでいます。
村上春樹さんの最初の短編は1980年3月発表の「中国行きのスロウ・ボート」だ。「死はなぜかしら僕に、中国人のことを思い出させる」という一節の後、出会った3人の中国人との思い出が語られる。背景を加藤典洋さんの「村上春樹は、むずかしい」で知った。
カギは29年後のエルサレム賞受賞時のスピーチにあった。そこでは、前年に亡くなった父親が20代で徴兵され、中国での戦闘に参加したことが明かされる。村上さんが子供のころ、父親は毎朝仏壇の前で、敵味方の区別なく、死んだ人々のため祈った。その場に漂った死の気配は父親から引き継いだ大事なものだ、と話す。
個人と歴史が深く関わり合う場をリアルに感じ取った村上さんは、自らの思いを作品に昇華させた。さかのぼれば、私たちの父母や祖父母も、近現代史の流れの中で、無数の喜怒哀楽を重ね、様々な選択をしてきた。その結果、今、私たちがこの社会に生きている。「個人を追求すると、歴史に行く」。村上さんの言葉だ。
日経新聞 春秋 2015/12/26 より
私も加藤典洋さんの評論作で、春樹さんを深読みすることができました。
コットンさんご参加ありがとうございます。日経新聞のコラムによると冨田書店は、旧本屋で、現ビストロだそうです。古今の作家にちなんだ創作料理が売りと云うことで、春樹さんにちなんだ料理のことがそのコラムにも書いてありました。近日中に冨田書店をおとずれる予定です。そのときは、ここでコメントします。
momogagaさん、ご招待ありがとうございます~♪。気になるので早速質問させてください。『冨田書店』はビストロのようですが書店でもあるのですか?。あと、音が少ないのに耳に残るセロニアス・モンクって良いですね。
#気になる書店 「スノウショベリング」は、村上春樹の小説からの引用された書店。日経新聞記事で知りました。2月に訪れることをスケジューリング。http://snow-shoveling.jp/bookclub/index.html
#村上ワールドの旋律 「…ときどき私がジャズ・ピアノの真似事をしておしえてあげたりしてね。こういうのがバド・パウエル、こういうのがセロニアス・モンクなんてね。」
ノルウェイの森(下)より セロニアス・モンクを聴きたくなった。
大みそかの深夜から元日未明にかけ、村上春樹さんのラジオの生放送があった。言わずと知れたパラレルワールドの語り手だ。作家は、自分の言葉を持たない政治家はブルースのコードが弾けないエリック・クラプトンのようだ、と語っていた。危機に指導者は、どんな言葉を発すべきなのか。新年早々、問われる局面だ。
日経新聞 春秋 2021/01/03 より
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