シーゲル監督作の、Baby Face Nelsonに対し本書ではあられもないオマージュを捧げているのであるが、『群像』誌上の初出では「決して若くはないキャロリン・ジョーンズ」、「人前で水着を着られるような歳じゃないはず」などと出演女優の年齢をディスって(!)いて、調べたら1930年生まれの彼女が《殺し屋ネルソン》に出たのが57年だった…。なので単行本に収録された際にこの箇所はこっそり修正されている。本書は口述筆記の語りおろしのごとき体裁をとっているものの、著者が語ったままの内容と思うならそれは幻想である。