(2)また、国際政治の面においても、冷戦終結で世界平和に向けて価値観を共有するパートナーとなるべく期待されたアメリカとロシアの関係はギクシャクし、その後新たに台頭してきた中国も含めて、相変わらずの覇権争いを展開しているように見える。一方では、東西問題とならび、冷戦時より問題視されてきた南北問題の解消についても、中東や東アジアに象徴されるテロや核の問題として、大きな火種を抱えている。→(3)
(3)はたして、このような状況で本書で言われるような、政治、経済、文化等を包括的に捉えたグローバル社会が実現できるのだろうか。予言書的な見方で捉えた場合、あまりにも現実とかけ離れており、見通しとしての甘さが浮かび上がるようにも見えるが、決して本書はそのような短期的な将来の見通しについて語ったものではない。現実が、かけ離れていればこそ、あるべき方向として見直す価値も大きいと思われる。実際、グローバル社会のあるべき方向の追求を誤る、または怠れば、現在のような状況が起こり得ることは、本書の中でも言及されている。
(4)冷戦およびポスト冷戦時の現在にいたる歴史において、大国(特に軍事を優先する大国)に新たなグローバル時代の包括的リーダーの役割を期待することが、幻想であることが証明されたと言えるかもしれない。彼らにリーダーシップを期待するというよりも彼らがその役割を果たさざる得ないように仕向ける。さしあたっての国連改革等におけるEUや日本の重要な役割がその辺りにあるような気がした。
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(2)また、国際政治の面においても、冷戦終結で世界平和に向けて価値観を共有するパートナーとなるべく期待されたアメリカとロシアの関係はギクシャクし、その後新たに台頭してきた中国も含めて、相変わらずの覇権争いを展開しているように見える。一方では、東西問題とならび、冷戦時より問題視されてきた南北問題の解消についても、中東や東アジアに象徴されるテロや核の問題として、大きな火種を抱えている。→(3)
(3)はたして、このような状況で本書で言われるような、政治、経済、文化等を包括的に捉えたグローバル社会が実現できるのだろうか。予言書的な見方で捉えた場合、あまりにも現実とかけ離れており、見通しとしての甘さが浮かび上がるようにも見えるが、決して本書はそのような短期的な将来の見通しについて語ったものではない。現実が、かけ離れていればこそ、あるべき方向として見直す価値も大きいと思われる。実際、グローバル社会のあるべき方向の追求を誤る、または怠れば、現在のような状況が起こり得ることは、本書の中でも言及されている。
(4)冷戦およびポスト冷戦時の現在にいたる歴史において、大国(特に軍事を優先する大国)に新たなグローバル時代の包括的リーダーの役割を期待することが、幻想であることが証明されたと言えるかもしれない。彼らにリーダーシップを期待するというよりも彼らがその役割を果たさざる得ないように仕向ける。さしあたっての国連改革等におけるEUや日本の重要な役割がその辺りにあるような気がした。