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剛田剛
さんの感想・レビュー

剛田剛
新着
「海と毒薬」の続編、というよりは下巻というべき作品だと思う。この「悲しみの歌」によって「海と毒薬」はようやく完結する。 作中にはどうしようもないゲスばかりが登場し、「十字架を背負った善良な医師」として造形されている勝呂もまたただの「先輩格のゲス」に過ぎない。 それはいわば我々の存在に逃れがたく付きまとうゲスさであり、それを悲しみと呼ぶこともできる。 そのゲスさを裁き、悲しみを救うことができるのは神だけであり、人の手でそれを裁いたり救ったりすることは不可能である。
剛田剛

この場合において裁きはすなわち救済でもある。 しかし我々は誰にも裁かれず、誰にも救われないまま今ここにある地獄を生きるほかない。 このこともまた、悲しみである。 我々の小さな悲しみは常にそういったより大きな悲しみに包まれている。 また同時にこれはキリストの敗北の物語でもある。 しかし敗北するがゆえにキリストはキリストなのである。 既存の宗教の堕落と新興宗教のみすぼらしさによって、いま我々は宗教のない世界に生きようとしている。 しかし宗教のない世界の恐ろしさもまた、我々の前に姿を見せようとしている。

04/04 09:15
剛田剛

しかしまあ、ジャーナリストというのはやっぱりこの地上で最底辺の人種の集まりなのだと思う。 戦前も、戦中も、戦後も、現在も、激しく移り変わるこの社会の中でジャーナリストのクズさだけは見事に一貫している。 アイツらはずっと「私たち記者は正義。がんばる。」をやり続けて、足元で踏みにじられて呻いている人間のことには何も気づかずにいる。 ウェザーリポートの言を借りるなら、アイツらは「自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪」である。

04/04 09:17
0255文字
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剛田剛
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読書データ

プロフィール

登録日
2016/03/23(3291日経過)
記録初日
2014/03/05(4040日経過)
読んだ本
939冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
259653ページ(1日平均64ページ)
感想・レビュー
466件(投稿率49.6%)
本棚
0棚
性別
職業
無職
自己紹介

キモくて金のないおじさんのコスプレをして今日も町を歩いている

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