初めまして。本好きで大人しい男子のシュウヤと申します。
その時その時、気になった本を買ったり、図書館から借りたりして、読んでいます。マイペースな性格なので、読むスピードや、量に関しては、まちまちです。基本は小説、漫画をメインにして読んでいますが、それ以外のジャンルの本も読んだりする雑食性です。本好きの方達と繋がりたい!と思って読書メーターを始めました。気軽に絡んでいって下さい。よろしくお願いします。
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高校生(1970-72)だった私にロサンゼルスの私立探偵、フィリップ・マーロウの存在を教えてくれたのは2012年10月に亡くなられた丸谷才一さんでした。 「マーロウは、「あなたのようにしつかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」と女に訊ねられたとき、かう答える。「しつかりしていなかつたら、生きていられない。優しくなれなかつたら、生きている資格がない」」 丸谷才一「フィリップ・マーロウといふ男」『深夜の散歩 ミステリの愉しみ』早川書房 1963.8 『快楽としてのミステリー (ちくま文庫)』筑摩書房
2012.1 https://bookmeter.com/reviews/26554150 に再録。
「話は二十年近く前にさかのぼるが、当時わたしは早川書房から出てゐた『エラリー・クインズ・ミステリ・マガジン』(略称EQMM)といふ雑誌で、毎号、新刊の翻訳探偵小説を一つ取上げて論じてゐた。 その文章のなかで、あるときチャンドラーの『プレイバック』(清水俊二訳)を、『EQMM』編集長、小泉太郎にすすめられて取上げ、私立探偵マーロウについてかう書いたのである。 「[略]マーロウは、「あなたのようにしつかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」と女に訊ねられたとき、かう答える。「しつかりしていなかつたら、生
きていられない。優しくなれなかつたら、生きている資格がない」」 「わたしのこの文章によつて、マーロウのこの台詞はたちまち名声を確立した。 まづ『EQMM』編集長、小泉太郎がこの文句にすつかりいかれてしまひ、その結果(ここのところがちよつと飛躍してるけれど)早川書房をやめてハードボイルド専門の探偵小説作家、生島治郎になり、そしてハードボイルドとは何かといふむづかしいことを論ずるたびに、何度も何度もこれを引用した。 さらに、当時はまだ彼の奥さんであつた女流探偵小説作家、小泉喜美子もまた(夫唱婦随だつたのか、婦
唱夫随だつたのか知らないけれど)この引用句を熱愛し、探偵小説論、男性論、女性論、恋愛論、人生論と何を論ずるに当つてもこのマーロウの台詞を引き合ひに出した。 片やわが国ハードボイルドの代表者である美男、片や女流探偵小説家中、屈指の美女にしてかつ才媛。この二人の影響力はすごかつたね。 なるほどイカす、と感心して、いろんな人々がこれを引用した。」 丸谷才一 「角川映画とチャンドラーの奇妙な関係」『週刊朝日』1978年10月20日号 『遊び時間 2』大和書房 1980.2 中公文庫 1983.6 に収録。 『快楽
としてのミステリー (ちくま文庫)』筑摩書房 2012.11 https://bookmeter.com/reviews/26554150 に再録。