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hasegawa noboru
さんの感想・レビュー

hasegawa noboru
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石倉真帆「夏の終わりかた」読了。三十歳になる女性主人公が十一年前の夏の終わり「頃」母親が入院する病院に救急車で運び込まれる事件(暗示的に触れられるのみ)に至るまでの、生家から通った学生生活を振り返るという形の小説。同居する姑(祖母)と嫁(母)の熾烈なバトル、憎しみ合い。近いが故の縁戚間での陰口悪口罵詈讒言。ののしり合う言葉は相当えげつない。主人公開耶(さくや)が場面に応じて発する言葉も心内語も含めてだが、えげつなさにおいて負けていない。そこが痛快、肩入れしたくなる。母と娘(主人公)間に分断対立がないのは
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救いでもあるが、小説としてはやや掘り下げ不足で甘いか。〈地球ひいては日本という概念はなく、ムラが宇宙であった〉祖母たちの、頑迷固陋なおばちゃんたち(おっさんたちも加えていいがこの小説では男たちは影が薄い)の世間というか社会のあり様は、ちっとやそっとで変わりませんな。開票と同時に当選確実のテロップが流れて、厚い保守の地盤に支えられてと解説される、その地盤のこと、違法脱無法政権であっても、お上はお上、従ってたら損しないと支持する世論調査の三割の層のことをなぜか想像した。何を賢しらにと深沢七郎だったらいうかな。

08/15 00:38
  • 路地
  • にしの
  • wassermusik
  • kaho
0255文字
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読書データ

プロフィール

登録日
2013/08/19(4236日経過)
記録初日
2013/08/20(4235日経過)
読んだ本
515冊(1日平均0.12冊)
読んだページ
156199ページ(1日平均36ページ)
感想・レビュー
489件(投稿率95.0%)
本棚
0棚
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