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2024年3月の読書メーターまとめ

しゅー
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2024年3月に読んだ本
38

2024年3月のお気に入られ登録
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  • keik29

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

しゅー
ネタバレ★★★まさか森見登美彦がホームズのパスティーシュとは。いままでミステリとはほど遠い作風だったのに。しかも非常に完成度が高い。あらすじを聞いたときは「どうせ舞台を京都に移してコメディタッチのホームズ・パロディにするんでしょ」などと失礼なことを考えていた。ところがところが意外にもシリアスな展開で、名探偵の存在意義に関する思索とか、コナン・ドイルがハマった心霊主義とミステリの関係についての考察とか、深い部分で原典と真摯に向き合っている。そして後半、まさかの展開が用意されている。ロンドンと京都をそうつなげるかぁ。
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

しゅー

2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:26冊 読んだページ数:9093ページ ナイス数:446ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1003190/summary/monthly/2024/2

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2024年3月の感想・レビュー一覧
38

しゅー
★★★「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」 の政治・経済部門1位(総合3位)。著者が暴言でニュースになった時も「誰かにはめられたんだろうな」と気の毒な印象だった。民主党政権の是非はともかく「コンクリートから人へ」と言うのは大事な考え方だ。しかし著者のように公共事業(コンクリート)を削減し子供政策(人)へお金を投じると既得権益の壁にぶち当たる。公共事業の案件をやみくもに減らすのではなくて、都営地下鉄のホームドアみたいにアイデアで費用を最小限に抑える方向なら、インフラ老朽化にも対応できると思うのだけど。
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しゅー
★★★人間の悪意とどう向き合うべきについて、とてつもなく丁寧に描いた作品。「悪」は社会が全力で排除するが、「悪意」はどんなに深くてもそれがもたらす結果が犯罪として重くなければ、それなりの罰しか与えられない。善悪を決めるのは意図か・行為の結果か。復讐の持つ意味とは。倫理学のようなディスカッションが続く。しかし登場する子どもたちに感情移入できるので無味乾燥には感じない。序盤に「辻村ワールドすごろく」で『子どもたちは夜と遊ぶ』の次になっている意味もわかった。同作の謎が種明かしされる。次は『名前探しの放課後』だ。
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しゅー
★★★なぜか『おくれ毛で風を切れ』と言う日記エッセイがきっかけで興味を持つ。著者が本書を読んでる場面があったのだ。そこに、ありがたくも読メ様からBOOK☆WALKERのコインをいただいたので渡りに船と購入した。少年マンガの王道を進みながらも、随所に大人でも楽しめるフックが用意されている。まだ1巻は序章に過ぎないのだろう。2巻以降どうしようかな~。電子書籍を読み慣れないので紙にするか考え中。
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2月2日から3月29日まで
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しゅー
2月2日から3月29日まで
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しゅー
ネタバレ★★★始まりは典型的なクローズド・サークル。無人島、友人同士の旅行、過去に起きた事件の復讐。金田●少年かっ、とツッコミかけたところで急展開。復讐を企てる者が先を越されて犯人探し。しかしそれはまだ「第一部」、続く「第二部」は・・・。新しいと思ったのは、作者が猟奇殺人を扱いながらも肯定的な人間観を提示して見せること。復讐のためとは言えなかなか殺人に踏み切れない心理。過去に悪行を働いた人物の心優しい行動。一方でそのしわ寄せがある人物に集中してしまい、とんでもなく異常な人間として描かざるを得なくなったのは誤算か。
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しゅー
★★★読書メーターのレビューなんちゃらでBOOK☆WALKERのコインをもらったので本書を読んでみた。ネットニュースでインパクトのあるシーン(しかも史実に基づく)を見て興味を持った。太平記のマンガ化までは誰でも思いつくが、よくまぁこの題材で書こうと思ったものだ。『鎌倉殿の13人』みたいに、これまで一般向けのフィクションでは見かけなかった歴史上の人物がこすられまくるので笑いが止まらない。私は昔から足利尊氏のことを不思議な人物だと思ってきたのだが、本作の彼は別の方向でかっ飛んでいそうで楽しみである。
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しゅー
★★★矢野和男『予測不能の時代』で『易経』に興味を持った。同書での易は矢野さん流にアレンジしたもので原典との関連がわかりづらく、一方、原典に近い書籍は難解過ぎる。その中間で良いあんばいの本はないものかと探していて本書に出会う。『易経』からの引用だけでなく著者の経験談や他のビジネス書などからの引用がふんだんに盛り込まれているのが特徴か。とても読みやすく、自分を振り返りながら一気に読み終える。繰り返し現れるのは、エゴを抑え、謙虚であれと言うメッセージだ。外部と自分の内面の状況を組み合わせて対処方法が語られる。
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しゅー
3月12日から3月27日まで
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しゅー
★★★下巻になると少し読みやすくなってきた。殺人犯と捜査陣、少年たちと殺人犯、少年たちの内部、主人公(?)の少年と父親・その後妻、さまざまな葛藤が描かれてドラマが盛り上がる。ほとんどのやり取りに攻防があって楽しいけれど、感情移入できる登場人物がいないのは玉に瑕か。本書は名探偵が登場するシリーズ物の一作であることをあとがきで知って驚く。探偵の影が薄くて、てっきり単発のノワールかと思った。終盤はイヤな方向、イヤな方向に話が進んでいく。広げた風呂敷をどうたたむのかと思っていたら、こう来たか!なかなかなラストだ。
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しゅー
★★中華ミステリ。書評七福神で存在は知っていたものの、内容が重そうなのて手に取るのをためらっていた。映画化をキッカケに読んでみる。予告編からも分かるように、たまたま殺人現場を映像におさめてしまった子供たちが犯人を脅迫する。そこだけ聞くと「はいはい、ああいう感じの作品ね」と早合点されそうである。しかし、そんな単純な物語ではないのだ。犯人と子供たちの間以外にも複数の対決や葛藤が入り乱れ、音楽で言うと対位法みたいに複数のエピソードが絡み合う。なんだか目をそらしたくなる場面が続いてちょっと読むのが怖くなってきた。
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しゅー
ネタバレ★★★シリーズ一冊目を読んだときはピンとこなかったが本書は良い。『ホームに佇む』や『ミステリー研究会の幽霊』のようにホノボノした話から、『姉は何処』や『浴槽の花婿』のようにミステリと言っても良さそうな作品、そして『お家がだんだん遠くなる』と『それは叫ぶ』のようにガチなホラー。バラエティに富み、緩急をつけた並び順になっていて飽きが来ない。なかでも『饒舌な依頼人』はマトリョーシカみたいに重層的な構造と実話系怪談の怖さを江戸前の語り口で包みこんだ珍品(?)で著者の新境地かも。ラストの『それは叫ぶ』は最恐すぎだ。
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しゅー
★★内田先生はリベラルとして括られることが多いけれど、いい意味で「保守」の一面を持っていると思う。人間の理性に過大な期待を寄せないし、伝統についても廃止するだけの合理的な理由がない限りそのまま残そうとする。また、我々が言語化できない時代のイヤ〜な気分を的確に言葉にして整理してくれる。何より、人間の負の側面を否定しないで寛容を説いてくれるのがありがたい。いつもながらの村上春樹論も楽しませていただいた(乞復刊『村上春樹にご用心』)。政治家の具体名が出てくるとちょっと残念な語り口になってしまうのがもったいない。
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しゅー
★★★読む順番は深く考えなかったけど結果としてSistar編→Brother編の順番で良かった。本書の終盤で起きるあの二人の対決が、二冊通じてのクライマックスだと思うのである。Sistar編でモヤモヤしていたアレコレが本書によってスッキリしてくると言う読み心地も良かった(あくまでも個人の見解です)。少ししんみりしてしまう本書よりもSistar編のほうが深く考えずにコメディとして楽しめると言うのも先に読んで欲しい理由の一つだ。読み飛ばしてしまっている部分もあると思うので文庫化されたら逆の順番で読んでみよう。
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しゅー
★★★井上真偽はデビュー当時が尖っていたので少し敬遠していた。しかし『アリアドネの声』が好みにピッタリだったので本書にも手を伸ばす。今まで読んだ作品と違って突飛な設定はなく、日常の謎系なので驚いた。姉妹編であるBrother編(ややこしい)があるので、本書だけでは完結しないのは知っていた。確かにアチコチで解かれない謎が残り、少しモヤモヤしてくる。でも、途中で出てくるあの人物は探偵役っぽいからBrother編で活躍するのかな、とか考えながら楽しむ。あの強烈な御婦人は果たして善人か悪人か。黒幕の正体やいかに?
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しゅー
★★★一時期はやったハラリ『サピエンス全史』やダイアモンド『銃・病原菌・鉄』みたいなビッグヒストリーに対するアンチテーゼだ。ハラリもダイアモンドも考古学が専門でもないのに、現在の世界を唯一あるべきものとして、そこから逆算した過去をあたかも見てきたかのように語っている。同じように自分の思想に引き寄せて「ボクのかんがえるサイキョーの先史時代」を語る系譜はルソー(左派)やホッブス(右派)にまで遡れる。著者たちは最新の研究成果を参照しながら、先史時代の多面的な姿と、本来人類が持っていた豊かな可能性を見せてくれる。
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しゅー
★★★アツいぜ、小林先生!バブル崩壊以降の経済政策に関する論争が、私のような素人でもわかるように噛み砕いて説明される。細部に拘らず、大筋の論理を示してくれるのがありがたい。それでいてMMTとFTPLの違いみたいなマニアックな部分にも抜かりがない。もはや財政政策は効かないと言って大胆な金融緩和を主張したリフレ派が、金融政策が効果を上げないと財政出動を訴える。確かに、なんだかグダグダな議論をするものだ。クルーグマンの無責任な姿勢にも腹が立つ。後半の著者による政策提言は、現実に導入するのが難しそうなのが残念だ。
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しゅー
★★★『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』が話題だが、図書館の予約がいっぱいで当分待つことになりそうだ。しかし新刊の本書は幸いにもすぐ借りられた。日記エッセイなので順番前後は構うまい。親子の飾らない日常が描かれていて気持ちが良い。もちろん著者の病気など背後には暗い面もあるだろうに、ニュートラルに現実を見ながらメタな視点で楽しみを見つけていく姿勢が心地よい。息子さん・娘さんのことを語るときに「この子」ではなくて「この人」と呼び、最大限個人の人格を尊重していることにも感心した。日々の日記のタイトルも秀逸である。
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しゅー
★★理瀬シリーズで、彼女がメインの長編を読み進めている。ゴシック・ロマンスっぽい他の作品と比べるとミステリ色が濃かった。と言ってもゴリゴリの本格ではなく、物語性を優先するところが恩田陸らしい。ハウダニットも意外性はないし、密室からの人間消失も拍子抜けの真相だ。むしろ、それぞれの登場人物の正体や何を考えているかが謎の焦点となってくる。単独でも楽しめる作品だが「水野理瀬とは何者か?」が分かっているとより楽しめるだろう。英国を舞台にしつつ、日本の家紋や草花、工芸品の話とつなげる趣向も良い。次は最新作の短編集へ。
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しゅー
★★★自己啓発本をメタ研究する本である。私は著者の言う「自助努力」系(『7つの習慣』など)しか読んだことがなかったので「引き寄せ」系の話は新鮮だった。しかも真逆に見える2つの系統が、どちらも同じキリスト教神学(スウェーデンボルグ)の影響を受けているとは。そもそも自己啓発本は米国発で、本国以外では日本くらいしか流行っていない。なぜなら、社会の流動性が高くて「立身出世」を目指す価値観が根強い国はそんなに多くないからだ。この分野って視点をグローバルにしてSTPをしっかりすればまだまだ有望な市場があるんじゃない?
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しゅー
★★★奇抜な設定や意外な結末をうたったミステリが世にあふれるなか、こう言うじっくりと読ませるタイプのミステリには、なかなかお目にかかれない。主人公以外の登場人物は過去や内面を掘り下げられるわけではないのだが、ちょっとしたふるまい方やセリフから存在感がビシビシと読者に伝わってくる。黑人地区のくだりとか最高だ。また主人公がニヒルで淡々としているので、彼の行く末にハラハラどきどきすることもなく、神話の世界の出来事を観ているかのようだ。著者の作品をもっと読んでみたいけど決して邦訳に恵まれているわけではなさそうね。
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しゅー
★★★「書評七福神」を読まなければ、手に取ることはなかっただろう。初めて読む作家さんだが大満足だ。主人公の波瀾万丈な半生と現在の物語が並行して語られる。この形式の物語はドン・ウィンズロウ『ストリート・キッズ』とかで大好物になった。現在パートはハメット『血の収穫』や『用心棒』を思い出す。犬が人の腕をくわえて歩いていくシーンは黒澤明へのオマージュか?癖のある面々が手を組んで「街を丸ごと腐らせる」ミッションに挑む。主人公が虚無的で、自分の生き死にや任務の成功・失敗に深い感心を抱いていないように見えるのが珍しい。
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しゅー
★★★駒子シリーズを一気読みした勢いで手に取る。『ななつのこ』とはぜんぜん違う世界である。加納朋子って、この後もここまでシリアスなミステリは書いていないのではないだろうか。日本推理作家協会賞受賞も納得の出来だ。個人的には駒子シリーズの語り口が少し苦手で、なんだか男性の期待する女性像を演じているような雰囲気を感じてしまう(『スペース』まで読むと実際はそんな単純な話でないことがわかるのだが)。それに比べて本書の女性たちの語り口は自然に感じる。そしてミステリとしては十代の少女の心理が一番の謎ということだろうか。
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しゅー
★★★過去作3冊を読み返して、ついに新作にたどり着いた。と言っても巻頭で作者も言っているとおり、本書を単独作品として読んでもまったく差しつかえない。少し面食らうのは、いきなり犬の視点が入ってくることだ。これは二代に渡る飼い犬と家族の物語。しかし犬と子供なんて鉄板のネタやん。泣いてまうやん。「ななつのこ」の時代からは登場人物も作者も歳を重ねている。少年・少女を見守る大人の視点が強くなっていて成熟を感じた。シリーズ読者にとっては、そこかしこに散りばめられた作者から目配せ(あん時のアレ!)を楽しめることだろう。
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しゅー
ネタバレ★★★シリーズを再読する中で本書に一番驚いた。学生時代の初読の印象と全く違って傑作と感じたのだ。ゴリゴリのミステリファンだった当事に比べて本に求めるものも変わって来たのだろうか。本書も〇〇トリックという意味ではミステリと言える。しかし読み終えた印象は普通小説で、若い女性が自分の居場所を見つけ成長していく物語だ。また、後半に駒子とその友人達を外の視点から眺める場面が登場し、とても印象的である。私は駒子の語り口が過剰に「女の子」を演じているようで苦手だったのだが、その外の視点を読むことで印象が大きく変わった。
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しゅー
★★★『ななつのこ』に比べると格段に小説としてこなれてきているのが分かる。連作短編集としての趣向も、より大掛かりなものとなってきた。普通なら、このままミステリとしてシリーズ作品を書き連ねてしまいそうだが著者は違う。次作の『スペース』で全く違う領域に踏み込むのだ。そう考えると、この『魔法飛行』くらいの感じで、もう一・二冊書いて欲しかったなぁ。シリーズ最新作も「創元クライム・クラブ」から出版しながら「本書もミステリ色はあんまり強くありません」と宣言してしまうお方だからなぁ。久しぶりの再読で面白さ再発見できた。
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しゅー
★★★なかなかヘビーな本である。安楽死の賛成派は「海外では合法化されている」とおっしゃる(ここにも「出羽守」が)。しかしそんな国々でいま何が起きているか、そして個人の権利が大事にされない日本で安楽死を合法化してしまったらどんな地獄が待ち受けているか。本書の前半は「安楽死」という言葉の定義から丁寧に説き起こす。私はこの辺りの議論には精通していなかったので自分の持つイメージがいかに粗雑な印象論に基づくものだったのか思い知らされた。今こそ生命倫理学がもっとしっかりして欲しい。後半はやや読む人を選ぶかもしれない。
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しゅー
★★久しぶりのシリーズ最新作にそなえて再読しようと、本書と『魔法飛行』、『スペース』をまとめ買いした。最初は本書で設定や登場人物を思い出したら最新作へ進もうかなと思ったのだけれど、結局、3冊をとおしで読む。結論から言うと全作読んで良かった。作品の発表時期が近いこともあって『ななつのこ』は北村薫「円紫さんと私シリーズ」のエピゴーネンと言う評価を受けることもあった。しかし、そこに留まらず、加納朋子としての個性をより確立していく道のりが、この3作から読み取れるのだ。本作は、さすがにデビュー作だけあって初々しい。
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しゅー
★★読み始めてすぐにルメルト『戦略の要諦』→アイエンガー『THINK BIGGER 』→本書とつながるリンクが見えた気がした。ルメルトは「『戦略の策定』とは克服可能な【最重要ポイント】を見きわめ、それを解決する方法を見つけること」と言う。彼の本では曖昧だった方法論について、アイエンガーは取り組むべき課題を見つけ、模倣によって課題解決する具体的な道筋を示してくれた。本書はその模倣の一つの手段であるリバースエンジニアリングの説明から始まる。しかし途中から焦点がぼけて普通の自己啓発本みたいになるのが残念だった。
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しゅー
★★タイトルからして作者は本格ミステリのガチ勢か。多重解決の釣瓶打ちを期待したが、どちらかと言うと語り口で読ませるタイプのようだ。冒頭から正体不明の男女の会話で始まり、伊坂作品みたいに饒舌な泥棒コンビの会話、と何やら仕掛けてきそうな雰囲気が漂う。さらに主な視点人物の女の子がなかなか独特なのだ。久しぶりに帰った実家を疎ましく思い、野暮ったい姉に内心でツッコミ続ける。読者の共感を得にくいタイプだがコレも作者の罠か。ミステリとしての結末はなかなか見事だったけど、人物や物語にあまり共感できなかったのが残念でした。
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しゅー
★★安定の東野圭吾。シリーズ前作はコロナ禍の日常をシッカリと描いていたのが印象的。自分の感想を読み返すと探偵役のクセが強いのが気になったようだ。本作では、その彼が探偵というよりはトラブルシューターの役割を務める。タイトルどおり、もっぱら悩める女性たちに救いの手を差し伸べるのが特徴か。最近『あなたが誰かを殺した』で昔のミステリ職人っぽさを取り戻した著者。本作もトリッキーさを期待したが、意外に人情路線だった。でも相続に関するあのネタはインパクト大。その話題とつなげるかぁと感心してしまった。まだまだ続くのかな。
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しゅー
★★★さすが芦辺拓、濃ゆいなぁ。このご時世に乱歩のストロングスタイルの●●描写を持ち込む勇気がスゴイ。ちょうど『不適切にもほどがある!』も放映されていることだし、表現と時代の移り変わりについてシミジミ考えてしまう。個人的には、いまの視点で過去の作品を断罪しても意味ないと思うのよね。それはともかく、未完の『悪霊』はタイトルしか知らなかった。なかなか派手な導入部だけど、乱歩も広げた風呂敷をタタミ切れなかったのだろうか。芦辺拓はミステリとしての決着に加え、メタな視点での「なぜ未完に終わったか」の謎解きを試みる。
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しゅー
★★この作家さんの作品は、理屈っぽさと法曹界についてのアツイ思いが満載な印象である。そんな著者の特性と本書のゴリゴリな特殊設定は相性が良いようだ。ミステリとしてもハウダニット(密室の謎)やホワイダニット(ぶっ飛んだ動機)において設定を活かしきっている。一方で私を含め多くの人は「司法」を中心に世界を見ている訳ではないので、この設定に今ひとつノリ切れないのではないだろうか。テーマの重さも相まって少し胃もたれする読書体験だった。決してキライじゃないけど。
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しゅー
ネタバレ★★舞台は韓国、登場人物は「半地下」ほどではないけれど経済的に不安を抱える会社員の女性3人、そしてテーマは仮想通貨だ。もう危ない予感しかしない設定にドキドキしてくる。「カイジ」とか読んでる気分に近いかな。仮想通貨なんて「キレイごと」で理論武装しているけど、大多数の利用者に取ってはギャンブルも同然。「志村〜!後ろ〜!!」と叫びながら読み進める。おカネにまつわる話は万国共通よね。豊かになるための競争ではなくて、今の生活から滑り落ちないための競争なのが現代社会の悲しさか。そして迎える結末には賛否両論ありそうだ。
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しゅー
★★葛西敬之については、ご本人の書いた「未完の『国鉄改革』」を読んだことがある。恥ずかしながら本書で安倍政権のキーパーソンでもあったことを知った。また「未完の『国鉄改革』」ではいまひとつ掴みきれなかった国鉄民営化の背景や後日談を本書で知ることができた。最近、戦後の昭和を「歴史」として学べるノンフィクションが増えてありがたい。しかしまあ、当事者本人たちの回顧録ではオブラートに包まれている部分が、実際は裏で人間くさいドラマが繰り広げられていたんだな。最後のリニアに関する話はニュースを見るうえでも役に立ちそう。
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しゅー
ネタバレ★★★まさか森見登美彦がホームズのパスティーシュとは。いままでミステリとはほど遠い作風だったのに。しかも非常に完成度が高い。あらすじを聞いたときは「どうせ舞台を京都に移してコメディタッチのホームズ・パロディにするんでしょ」などと失礼なことを考えていた。ところがところが意外にもシリアスな展開で、名探偵の存在意義に関する思索とか、コナン・ドイルがハマった心霊主義とミステリの関係についての考察とか、深い部分で原典と真摯に向き合っている。そして後半、まさかの展開が用意されている。ロンドンと京都をそうつなげるかぁ。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/05/01(1854日経過)
記録初日
2019/04/29(1856日経過)
読んだ本
1781冊(1日平均0.96冊)
読んだページ
634749ページ(1日平均341ページ)
感想・レビュー
1780件(投稿率99.9%)
本棚
20棚
性別
血液型
A型
職業
事務系
現住所
東京都
自己紹介

図書館で借りることが多いので
★★  図書館本で読んで満足
★★★ 買って読んだとしても満足
★★★★再読のために買いたい
って感じの基準です。

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