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2024年5月の読書メーターまとめ

しゅー
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感想・レビュー
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ナイス
441ナイス

2024年5月に読んだ本
35

2024年5月のお気に入られ登録
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

しゅー
★★★シリーズ物というハンデはあるものの、また年末のベストテン関係を総ナメかな。そのハンデは逆に言うと1作目から読んでいるファンにとってはタマラナイ贈り物となる。なんと主人公2人が出会い小市民として生きる決意をかためるキッカケとなった事件が描かれるのだ。もちろん単独の作品としても一級品のミステリである。論理だけでは解決できない轢逃げ事件を素人探偵が捜査できるのか?そもそも単なる交通事故からどんな驚愕の真相を導き出せるのか?大技が決まるというよりも複数のネタを物語で巧妙につなぐクリスティ風な愉しみを感じた。
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2024年5月にナイスが最も多かったつぶやき

しゅー

2024年4月の読書メーター 読んだ本の数:32冊 読んだページ数:10605ページ ナイス数:432ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1003190/summary/monthly/2024/4

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2024年5月の感想・レビュー一覧
35

しゅー
★★いかにもこの著者らしい濃密な作品世界に疲れてしまう。また私には「羅か刹か」(恐怖か悪意か)と言う二元論がぴんと来なかったので、雰囲気を楽しむ読み方に留まってしまった。読後に春日武彦氏の解説で本書に関する作者の意外な打ち明け話を知る。この情報が作品の読み方について根本から見直しを迫るような内容なのである。津原泰水と言うと浮世離れした耽美的な世界を描いている印象だったが、そんな問題意識を持っていたとは。一方で春日氏も言うように、その言葉に縛られて本作品を読むのも小説の読み方としては幅が狭いのかもしれない。
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しゅー
★★私はミステリは話題の新刊を目にすると著者に関係なく手にとるのだが、ホラーは特定の作家さんしか読まない傾向にある。例えばこの澤村伊智なぞは、ほとんどの作品を読んでいるかもしれない。どこかしらにミステリ要素があり、でも特殊設定ミステリじゃなくて明確にホラーと言えるところや、意外にカラッとした作風が合うのかな。本作はブラック企業の「研修」から逃げ出した参加者たちが、謎の森で次々に犠牲者となっていくホラーでは定番の展開だ。怪異の存在がなにか中々見えないことや語り口の巧さは楽しめるけど、もう一歩物足りなかった。
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しゅー
★★★シリーズ物というハンデはあるものの、また年末のベストテン関係を総ナメかな。そのハンデは逆に言うと1作目から読んでいるファンにとってはタマラナイ贈り物となる。なんと主人公2人が出会い小市民として生きる決意をかためるキッカケとなった事件が描かれるのだ。もちろん単独の作品としても一級品のミステリである。論理だけでは解決できない轢逃げ事件を素人探偵が捜査できるのか?そもそも単なる交通事故からどんな驚愕の真相を導き出せるのか?大技が決まるというよりも複数のネタを物語で巧妙につなぐクリスティ風な愉しみを感じた。
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しゅー
★★新書の某書評サイトで高評価だった。誰もが聞いたことのあるカーストだが、実態については曖昧な知識しかない日本人が大半ではなかろうか。私もインドについてはフィクションと先日読んだガンジーの新書くらいしか知識がない。本書は歴史や思想の視点からだけでなく、著者の現地での交流経験もまじえて「カーストとは何か」を説明してくれる。既に長い年月をかけて定着してしまった差別を解消する試みには大変な難しさが伴うということが改めてわかった。特にガーンディーとアンベードカルの論争が興味深く、後者のことを知れたのは収穫だった。
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しゅー
★★★なぜこんな激シブな本を読んでるかと言うと最近読んだ「哲学史入門I: 古代ギリシアからルネサンスまで (1) 」の推薦図書だったからである。岩波だしタイトル・副題もそっけないし、読む前は腰が引けていた。しかし本書の著者の使うたとえは分かりやすく、例えば「恩寵」の説明で仏教の「自力」と「他力」の概念が出てきたのは目からウロコだった。日本人にとっては馴染みが薄い神学の概念も理解が進んだように感じる。宗教の領域である「神秘」と科学における「理性」の関係をテーマにした議論は現代に生きる我々にとっても興味深い。
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しゅー
★★連続して特殊設定ミステリを読んでしまったせいで飽きたのかもだけど、私にはうまくハマらなかった。独特の味がある作品なので、コミック化して絵として見せたほうが面白いかもしれない。
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しゅー
★★同じ作者の『時空犯』よりは本作のほうが楽しめた。市長が主人公のお仕事小説と言う軸がしっかりしているので、荒唐無稽な設定についていきやすいのだ。またモンスター・パニック物なのに肝心の怪物が人間にとってあまり脅威ではないと言う設定が面白い。どうやって化け物を倒すかが話のキモではなく、タイトルどおり何が起きているか「現象」を解き明かすミステリなのだ。SF部分がなんと言おうか非常に大らかなので、理屈がキレイに通っていればいるほど、なんだか冷めてきてしまうのが難点か。政治に対する作者のアツい想いには共感できた。
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しゅー
ネタバレ★★★★歌野晶午が令和ならではの傑作短編集を生み出した。最初の『彼の名は』の価値観が迷走している母親や、続く『有情無情』の昔なら美談になる出来事が犯罪扱いされてしまう世相なぞ、まさにイマドキである。そして倒叙ミステリ『わたしが告発する!』でいきなり謎解き要素が増えて嬉しくなった。ここまでの連作で嫌ミス縛りかと思いきや『君は認知障害で』や『彼女の煙が晴れるとき』みたいに気持ちの良い作品も登場する。特に後者は私にとってのベストだった。次点は『無実が二人を分かつまで』の独特な雰囲気かなぁ。文庫化されたら買うぞ!
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しゅー
★★★最初の方の言葉をめぐる話は私にあまり響かなかったのだけれど、中盤くらいから面白くなってくる。難病に苦しめられる頭木さんは世の中を見る目も独特だ。弱いものの目線に立つ、世の中に違和感を持ちながら暮らす、と言うあたりは他の人のエッセイでもよく見かける立ち位置なのだけど、そこに彼の宮古島での経験がブレンドされて、なかなか独特の味わいに仕上がっている。一番印象に残ったのは小さな親切と感謝に関する考察だ。「感謝が足りない」と言う都会に独特の呪い、そして宮古島でみかけた親切が当たり前で感謝の言葉がいらない文化。
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しゅー
ネタバレ★★小さな村で起きる失踪事件。複数視点の語りによって次第に見えてくる真相。そう聞いて思い浮かべるジメジメした物語とは一味違う。また、フレンチ・ミステリっぽい濃密な心理描写を期待すると肩すかし。もちろん本書のテーマである「愛を得られず空回りする人々」は出てくるものの、案外カラッとした書きぶりである。各エピソードのつながり具合も初期の伊坂幸太郎のような、ピタゴラスイッチのような...そしてラストが落語のようで物悲しくも笑ってしまった。直前に読んだ文庫本が700頁だったので、なんだか小品のように感じてしまった。
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しゅー
★★★後半だけ見ればよくあるノワールだ。しかし前半でじっくりと描かれるヤクザ稼業の日常が、関西弁で訳された会話の影響もあって魅力的である。「白い粉」ならぬ赤い粉唐辛子を中国から輸入して国産のそれと混ぜて売りさばいていたり、干物や洗濯工場の利権でもめたり、とにかくシノギがショボくて逆にリアリティあるのだ。登場する極道もカッコよさは皆無で、ところどころコメディのような面白さもある。そこをじっくり描くからこその700頁と納得した。メンツにこだわるあまり、私生活でも稼業でも不器用にしか生きられない主人公が悲しい。
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しゅー
ネタバレ★★人には4つの基本的欲求(結びつき・自由・快感・承認)がある。幼少期にそれぞれの欲求がどんな形で「充足されたか・されなかったか」に応じて、人間の無意識(フロイトの言う「エス」)に「ポジティブ・ネガティブ」な刷り込みがされる。その結果、幼い頃の環境の違いが、それぞれの個人に少しずつ異なる「信念」を形成することになるのだ。我々はその信念に基づいて外部の出来事を認識し、そこから感情がわき起こる。その感情に対して各人がとる「防衛戦略」を「大人の自分」(フロイトの言う「自我」)が意識し、対処していくことが必要だ。
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しゅー
★★富豪が刑事だったり貴族が探偵だったりする時代だから、王子が刑事でもまぁ驚かない。探偵役の属性を色々と変えて新味を出すのは最早ネタだし。とは言え似鳥鶏なのでミステリ部分はしっかりしている。この特殊な設定も、普通の日常的な作品世界では出しにくいトリックに必然性を持たせるための工夫なのだろう。若い異国の王子とさえない中年刑事のバディとか、王家の兄弟間における愛憎とか、ドラマ部分もまあまあ楽しめる。ただ悪役のしゃべりにクセがありすぎて私はついていけなかった。やはり教養が足りないのかしらん。良心的な娯楽作品だ。
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しゅー
★★★このシリーズは、まず本書を読みたくて手に取ったのだが、せっかく通史なので「Ⅰ」も買って先に読んだ。「Ⅰ」が★2つで本書が★3つなのは、単に本書で描かれる時代のほうが好みというだけである。大陸合理論とイギリス経験論、そしてカントがその2つの潮流を合流させた。そんな教科書的にキレイな整理から離れた解説が楽しめる。安心したのは研究者からしてもライプニッツの「モナド」の概念は難しいということだった。そしてカントはやはり重要なキーパーソンである。ブックガイドも他の入門書で薦められる書籍とは一味違ってよかった。
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しゅー
★★このシリーズは、執筆陣の豪華さが目をひく。そして本を開くと「執筆」ではなくて「対談」であることに気づく。哲学の入門書で対談形式って難しくない?ある程度の知識がある人でないと巧く話を引き出せないし、かといって同業者が聞き手に回ると、しがらみやら持論のぶつかり合いでギクシャクしそう。しかも通史となると聞き手にもかなりの幅広い知識が求められそうだ。その点、本書のライターさんは適役だった。読者のために基礎知識をまとめた章をつくった上で、インタビューでは指南役から生き生きとした言葉を引き出すことに成功している。
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しゅー
★★★雫井脩介と言うと『犯人に告ぐ』や『検察側の罪人』などのミステリ作品を思い出す。しかし私の一押しはヘッドハンター業界を描いた『引き抜き屋』である。本書もその系列につながる気持ちの良いビジネス小説だ。四人の男女の恋模様に、異母兄弟に異父兄弟と複雑な家族関係、そんな人間関係が上手くストーリーの推進力になっている。ビジネス面もキチンと取材されていて違和感なく読むことができた。唯一、序盤で起きるある事件を非現実的に感じてしまうことが欠点だろうか。ツカミとしては強烈だけど、後半のテイストと全く合わないのよねぇ。
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しゅー
★★Eテレ「理想的本箱」で紹介され、有隣堂で取り寄せようとしたら「在庫切れ」との回答だった。ところが丸善ではコミック売り場に平積みされている。書籍の在庫は色々と試さないとだね。薄い本なので、まぁTVでみた内容がすべてと言おうか、値段を少しお高く感じてしまった。久しぶりに本編の方を読みたくなったなぁ。
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しゅー
★★★よく考えると著者は日本ホラー小説大賞でその名を広く知られ、『硝子のハンマー』では日本推理作家協会賞、そして『新世界より』で日本SF大賞を受賞してるんだよなぁ。3つの分野で均等に実績を積み重ねているのがスゴイ。しかし私の中では『新世界より』や『悪の教典』も含めてホラー作家と言うイメージだったので、ガチの法廷ミステリである本書には少し意表を突かれた。日曜劇場で言うと『99.9-刑事専門弁護士-』じゃなくて『アンチヒーロー』の雰囲気だね。分厚いけど、法廷場面の緊張感とハウダニットの謎で長さを感じさせない。
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しゅー
ネタバレ★★★死後の世界を信じる「宗教の時代」が終わると人間は「一度きりの人生」と言う概念に取り憑かれた。その結果、時間は「所有」して「道具」として使うものとなる。人々は時間を失う不安を感じながら「いつかそうなるべき自分」を目指して、終わらない準備期間を過ごすこととなった。しかし、しょせん人生は借り物の時間、「人生に何かを持ち帰る外部などない」ことを理解せねばならない。身近な人々と時間をシェアすることや、趣味など非目標性の活動に没頭することが大切である。有限性への直面を避ける「気晴らし」と趣味の違いはなんだろう。
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しゅー
★★★こういう「次の一手」てきな将棋の本はありがたい。最近、われわれ素人向けなのに棋譜の羅列みたいな本が多すぎる。昔はもう少し読ませる工夫をしたもんだけどなぁ。読者じゃなくて同業者の方を向いて書いているんじゃないかと邪推してしまう。その点、本書は「コレが正解」や「アレもこれも」ではなくて、「はじめ流はこの一手」と言う程よいスタンスで伝えてくれるのだ。
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しゅー
★★★最新ミステリといえば創元推理文庫とハヤカワミステリ、新潮文庫はホームズなど古典だけかなと思いきや、『堕楽刑事』やこの著者みたいな飛び道具を隠しているから侮れない。既読の『56日間』や『遭難信号』も地味な設定に見せかけて意外な展開を楽しませてくれた。本作はある意味で倒叙ミステリなのだが、犯人の視点と作中作の記述が組み合わさって緊張感が高まっていく。ハンニバル・レクター以来、フィクションのなかでも連続殺人犯が偶像化される傾向がある。しかし本書は、その流れに冷水をぶっかけて被害者にフォーカスを当てるのだ。
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しゅー
★★★ヴィクトリア朝を舞台にしたゴシック・ミステリ。この前、スティーヴン・キングを読んだらホラーじゃなくてストレートなクライムノベルだった。一方で本書は「書評七福神」の紹介だったから、ミステリを読むテンションで臨んだらホラー・テイストで始まる。コナン・ドイルもハマった降霊会の様子が本書の目玉の一つだろう。また貧しい人々の悲惨な生活が読んでいてツラい。主人公も読者が共感しやすい人物ではないので、前半は途中で読むのをやめてしまったりと苦戦した。少しかったるいなぁと思いつつ読み進めたら、終盤の急展開にビックリ!
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しゅー
★★★「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです」著者はノックスの「探偵小説十戒」に従って宣言する。しかも『そして誰もいなくなった』へのオマージュであることを隠さない(同作のネタバレがあるので注意)。初期の西村京太郎は本格魂にあふれているのだ。人を食ったような連続強盗事件(都筑道夫風のコメディ)と緊迫したクローズドサークルが交互に描かれ、どんな結末に着地するのか全く読めない。とにかくサービス精神旺盛で過剰なまでに色んな要素を詰め込んであり、飽きずに読めた。ホワイダニットが現代的。
しゅー
2024/05/08 07:44

著者と綾辻行人との対談でこの作品が紹介されていて読みたくなったのだが、当時は品切れだった。このたび「よむーくの四季さんぽ」で対象作品となっていたのでイソイソと購入する。

しゅー
2024/05/08 08:07

名探偵シリーズもぜんぶ新装版にしてくれんかな。

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しゅー
★★★シリーズ3冊目でスタイルも定まってきてミステリとしては一番おもしろい。特に表題作は力作で、ここまで個別に描かれてきた男女二人の殺し屋が初めて仕事でニアミスする。ターゲットは別々なのだが、標的同士につながりがあり、それぞれに課せられた殺害オプションが謎を呼ぶ。誰が依頼主か?オプションで指定された殺しのタイミングは何を意味するのか?石持浅海らしい論理パズルに頭がこんがらがるが、全体像がわかると霧が晴れるように明晰になるのでスッキリだ。相変わらず、倫理観の歯車が1個外れているような殺し屋たちが不気味だな。
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しゅー
★★大事なことは3つ。①独自性を狙わず、まずは他社が儲けていることを真似する。②下手な鉄砲も素早く数打たなきゃ当たらない、でも許容できる範囲の損失に抑えること。③とにかく一次情報をゲットせよ。他にも「好きなことを仕事に」とは言うけれど、皆が好むような趣味(音楽とかスポーツ)にはボランティアがたくさんいるので、ビジネスとしての参入は難しいと言う話は、なるほどだった。ただし、一次情報のくだりで有料のオンラインサロンや交流会をススメてくる辺りとか少し警戒してしまった。純真な読者が課金の沼にハマらないことを祈る。
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しゅー
一家に一冊。心のお薬箱。
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しゅー
★★★日本は欧米へのコンプレックスからか「出羽守」が大勢いる。特に「北欧では」は彼ら・彼女らのお気に入りフレーズである。男女平等や教育、そして社会保障の分野でやたらと北欧を推してくる「知識人」が多い。たしかに他国から学ぶのは大事なことだけど、果たしてそんな理想郷は存在するのか?北欧ミステリを読むたびに、女性に対する暴力や社会的な格差の残酷さがモチーフとなっていることに暗い気持ちになる。もちろん、エンタメ小説の世界観を鵜呑みにするつもりはないけれど、どの国でもミステリ小説は社会の空気に敏感なのではないかな。
しゅー
2024/05/06 18:49

小説としては、どう関係するのか分らない複数のエピソードが最後につながる気持ちよさを味わえる。一方で、明かされる殺人の動機は非常に暗い気持ちになるものだ。

しゅー
2024/05/06 18:51

マスコミもMeToo運動は報じても、本書のテーマは変な追随者を生みそうだから報道に慎重とならざるを得ないのだろうな。

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しゅー
★★★ドストエフスキーからの引用で始まる令和の『罪と罰』だ。対象的な家庭環境で育ち、本来なら出会うはずもない二人の人生が悪質なホストクラブで交錯し、対象的な人生を歩んだ末にラストで対峙する。何ともやりきれなく暗鬱な前半の翔太パートで、彼の救いとなる読書という営みが、全編を通じて登場人物を見分ける試金石となる。人間を自分に都合の良い手段としか捉えない輩と、人間そのものにしっかりと目を向ける人々。後半の海斗パートは、熱に浮かされたように滅びへ向かうさまが『カラマーゾフの兄弟』のカーニバル的な狂騒を想起させる。
しゅー
2024/05/06 11:21

著者のことはアクションが中心の『機龍警察』シリーズや『土漠の花』で知っていたので変貌ぶりに驚いた。こっちの路線の作品ももう少し読んでみたい。

しゅー
2024/05/06 11:30

仕事の文脈で『学び』とか『気づき』とか口にしている人たち。言い方にもよるのだけどズーっと違和感を持っていた。本書を読んでちょっとスッキリ。

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しゅー
★★中国と切り離さずには語れない日本の歴史。大陸や半島の国に対してどんな意見を持つにしても、しっかり歴史を学んでその文脈に基づいた発言をしよう。
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しゅー
★★編者の名前で手に取る。
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しゅー
★★★ノワールの定番である「犯罪者の最後の一仕事」物、そのお約束の展開が下巻に入っても続く。いや、けなしているのではない。クライム・ストーリーは、古典芸能の如くしっかりとした「型」が演じられ、その制約のなかで作家の技が輝くものなのだ。本書の場合、「型」としては「良き隣人となる殺し屋」や「『少女』を暴力から救う殺し屋」が相当する。キングらしいヒネリとしては、上巻で予想したとおり、回想シーンの代わりに主人公が執筆する自伝的小説を使ったところだ。この作中作が終盤にかけて効いてきて、美しきラストにつながっていく。
しゅー
2024/05/04 09:33

主人公の最後の一仕事には、かってキングも小説の題材としたケネディ暗殺に似た雰囲気が漂っている。

しゅー
2024/05/04 09:35

主人公のイラクにおける過去の経験は、キングにしては珍しく現代的な題材だと思った。

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しゅー
★★★ノワールがメインジャンルなら「最後の一仕事」はサブジャンルだ。キングは主人公にそう語らせ、確信犯的にクライム・ノベルの典型をなぞってみせる。しかしモダン・ホラーの巨匠が、そんなコテコテな犯罪小説を書くだろうか。そう思って読み進めると主人公の殺し屋の造形がユニークなことに気づく。エミール・ゾラなど読みこなす知性派なのに雇い主へ向けてはマヌケの仮面を被ってみせる。そんな彼が偽装のために小説家のフリをして自伝的な小説を書くのがキングらしい趣向と言えるだろう。この趣向と通常の回想で何が違うのか?下巻に期待。
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しゅー
★★★最近読んだ本だと『アメリカは自己啓発本でできている』の読み心地に似ている。タイトルから軽い内容を予想させておいて、労働と文化の関係について考察した力作だ。なぜ就職するとスマホゲームをする時間はあっても読書をしなくなるのか。キーワードは「ノイズ=他者や社会や歴史の文脈」だ。読書に限らずノイズのある営みは敬遠され、知識からノイズを除いた情報ばかりが求められる。作者が『花束みたいな恋をした 』で話を始めた都合上、『人生の勝算』がノイズのない読書(=自己啓発書)の代表格にされているのが個人的には不満だった。
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しゅー
★★★著者を清水克行との対談本で知っていた。なかなか面白い本を紹介してくれるのだ。一方で彼の単著は濃ゆくて、なかなか手が伸びなかった。そんなある日、ハリセンボンはるかが本書をオススメしていて興味を持つ。自己啓発本のような題名だが、もちろん爆笑(もしくは苦笑)エッセイである。あえて教訓を得ようとすると、行動する前に「確率」を考える。UMAならネッシーやビッグフットじゃなくて怪魚ウモッカ。英語や仏語ではなくて現地のローカルな言語。要はポジショニングだ。どんな国でも助けてもらえる知り合いを作っているのがすごい。
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しゅー
★★★浅田すぐるが本書とは別の陽明学の本を推薦していた。興味を持って書店で手に取るも、色々と違和感を感じるところがあって購入には至らなかった。他になにか良い本はないかと物色していて新刊の棚で本書と出会う。陽明学そのものの入門書ではなく、日本の近代史で陽明学、もしくは陽明学的な思想がどんな役割を果たしたかを解説する本である。語り口にクセがあったり、冒頭に政治的な話題が登場するなど、少しぎょっとする部分もあるが、日本政治思想史の一つの切り口として興味深く読めた。動機が美しければテロが肯定されかねない危うさよ。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/05/01(1879日経過)
記録初日
2019/04/29(1881日経過)
読んだ本
1802冊(1日平均0.96冊)
読んだページ
641833ページ(1日平均341ページ)
感想・レビュー
1801件(投稿率99.9%)
本棚
20棚
性別
血液型
A型
職業
事務系
現住所
東京都
自己紹介

図書館で借りることが多いので
★★  図書館本で読んで満足
★★★ 買って読んだとしても満足
★★★★再読のために買いたい
って感じの基準です。

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