ネタバレ前作から続けてイッキ読み。覚醒するというよりは何人かの女性が神尾武史を通して思いもよらない事実を知り、スッキリしたり大きな決断をしたりする連作モノ。書き下ろしで読み切り時の積み残しを解決したり、他パートの登場人物が掻き回したり、エンタメに徹した時の東野圭吾さんは変幻自在、それでいてとても読み易い。前作の途中から思っているのだが、個人的に武史＝阿部寛で脳内変換してしまい、既に連ドラ感覚。しかし、一人だけ覚醒しない、何も進んでいない女性の事が気になって仕方ない。真世ちゃんの事、どうするつもりなんだろう。

ネタバレ新作を図書館で借りられたので併せてイッキ読み。もうこの作品はブラック・ショーマンこと神尾武史に尽きる。ふてぶてしくて胡散臭くて、それでいて頭が切れて相手の心理を掴んで振り回して、ついには事件の真相に辿り着いてしまう。見事に振り回される姪の真世ちゃんがもう一本の話の芯なのだが、彼女について消化不良な気がした。恋人との関係性の掘り下げはこれからされていくとして、元クラスメイトとの交流がもっとあっても良かった気がする。現実はこんなものなのだろうけど、そこはフィクションとしてもう少し味付け出来たのではなかろうか。

ネタバレ前作から続けてイッキ読み。覚醒するというよりは何人かの女性が神尾武史を通して思いもよらない事実を知り、スッキリしたり大きな決断をしたりする連作モノ。書き下ろしで読み切り時の積み残しを解決したり、他パートの登場人物が掻き回したり、エンタメに徹した時の東野圭吾さんは変幻自在、それでいてとても読み易い。前作の途中から思っているのだが、個人的に武史＝阿部寛で脳内変換してしまい、既に連ドラ感覚。しかし、一人だけ覚醒しない、何も進んでいない女性の事が気になって仕方ない。真世ちゃんの事、どうするつもりなんだろう。

ネタバレ前作を読んでから１年以上。そのせいか最初は文体に馴染めず読むのに苦労した。カーラ＆ダレンがホロヴィッツを捕まえてしまう辺りからグイッと引き込まれ、あとはあちこちでイヤな目に遭うホロヴィッツと、どこまでも変わらずに聞き込みを続けるホーソーンを後ろで眺めていたのだが……最終盤、小出しにされるホーソーンのバックボーンにどうしても気を引かれてしまう。事件自体は被害者がホントにイヤな奴だった分、真犯人の方が可哀想になるビターな結末と、割とこんがらがった人間関係にちとゲンナリ。それでも、次回作を待ってしまうんだなぁ。

ネタバレ子供と向き合う時、ついつい「あの時は自分もこうだったよ」と子供側に寄せつつ、どうにか自分の望む方に誘導しようとしてしまう。こういうのは子供から見たら透けて見えるんだろうね。辻村深月さんはそういうのを何百回、何万回と自分の子育てでも小説を描く場面でも推敲を重ねているんだと思う。だから、今の世代の子供にも、かつて子供だった世代にも響くんだ。辻村深月の世界を貫く芯を少しだけ覗いた気分になりつつ親としていち読者として、色んな立場から楽しく読む事が出来た。それにしても、キノコ図鑑のハナシが実話だったとはね。

ネタバレ最初は優しい物語だと思った。読み終えて思うのは、優しい物語である事は間違いないけれど、そこに至るまでの道のりがあってこそ感じられる優しさだったんだなぁ、という事。ミンジュンが向き合った挫折が痛いくらいによく分かるし、ヨンジュがここに辿り着くまでの苦しみは会社員としては身につまされる。ジョンソが腹を立てた状況とか、海の向こうも余り変わらないんだなぁ。だからこそみんながそれまでとは違う時間の流れで息が出来る場所を見つけられて良かったと思う。自分が会社員のレールから降りる時、そんな居場所を見つけられたらいいな。