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2025年1月の読書メーターまとめ

coldsurgeon
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2025年1月に読んだ本
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2025年1月のお気に入られ登録
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  • 志村琴音

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

coldsurgeon
科学の知識が、さりげなく示され、物語の骨格にもなっており、読むほどに引き込まれる。この作者の作品は、すでにいくつか読んでいるが、この短編集も、心に残る作品群だ。萩焼を支える粘土、ニホンオオカミの姿を垣間見る話、原爆が投下されて間もない時に瓦礫を集めた地質学者、隕石とアイヌが名づけた川、そして海を回遊して生まれた土地に戻るかもしれないカメ。それぞれに、心を穏やかに温めてくれる物語が生み出されていた。
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2025年1月の感想・レビュー一覧
28

coldsurgeon
面白く興味深い論調だった。人間に、外見や考え方に様々な死違いがあるのは当然であり、その違いは、明確であるようであり、はっきりしないことも多々ある。そんな社会で、違いを明確にするために分類し、その上で、分類された集団間で、平等ですとする考え方は、確かにおかしい。かなり納得しました。
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難解だった。哲学は、学問としては普遍的なものかもしれないが、言葉で語り表現する以上は、日本語という縛りを受けるために、日本の哲学を語るために、表題の表現をとる。明治以降に取り入れられた新しい学問という形で、二歩における哲学史を述べたものだ。私たちは自己を直視することを避けている。だから人間は問いを前にして立つ存在であることを意識しないといけないのだろう。何かを知るために求められるのは、思い込みや偏った見方を排除し、物を物としてみることである。さらに事柄は単なるモノとしてではなく、むしろコトとして捉えるべき
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人間行動進化学あるいは進化心理学という学問分野から、人が心を病むということは進化のミスマッチ、元来、生存のために必要であった心の状態が、現代社会では、うまくいかなくなったためにおこるのだという。そして心理的安全性という概念を示し、企業などの組織により構成される現代社会では、中央集権型組織ではなく分散型組織の構築を目指すことで、生産性を高め、働く人のストレスを減らす方向性が生まれる。興味深い分野だ。
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心が温かくなる物語だ。家族は生まれるのではなく、家族で作るものだということが伝わる。児童虐待、育児放棄、その果ての性的虐待、さらには望まぬ妊娠出産。社会が抱える家族の暗黒面を記しながら、血のつながりとは関わりのない家族のひとつの在り方が描かれる。子供は、自分で自分を育てる力を持っている。その子を産んだ女性は、子どもにより親となる。文章にすれば当たり前のことが、心の中でじんわりと広がった。
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ファンタジーのようなミステリー、西遊記の裏舞台というか、西遊記の背景にある仏教と道教の神、菩薩や観音、神仙、妖怪などが、ある思惑の元に、玄奘三蔵、孫悟空らの一行の先に艱難辛苦をプロヂュースしていく過程が綴られる。作者によれば、短編の手遊びのつもりで書き始めたものが、気づけば大長編になったものらしい。仏教・道教などの固有名詞が多すぎて、途中で挫けそうになりながら、物語の展開に引き込まれて読み切ってしまった。
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シリーズ3作目。主人公であり、語り手であるお縫の家族の成り立ちが明かされる。短編集の形をとるが、表題作の最終短編は、お縫の両親が出会い、夫婦となる経緯が語られるが、その状況を生み出した盗賊一味の隠し金の顛末も興味深かった。時代小説にありがちな展開だが、話の作りはうまい。
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歴史に関する書籍を読むことは好きであり、いろいろな歴史家の書を読んでいる。しかし、歴史学というものを。正面から学ぼうとしたことはなかった。多くの歴史学者が、どのようにして史料を読み、そこから自らが求める問に対する答えを得ようとしていることが理解できた。研究対処にはやりすたりがあり、それぞれの立場、思想、そして環境により、展開される学説は、変わる。それらを鵜吞みにせず、批判的にこれからも、読み取っていきたいと思う。
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主人公明朝の皇太子成長談であり、南京から北京までを15日間で移動する冒険小説であり、歴史に隠されるミステリーである。ワクワクしながら読み進める。明朝の皇太子、低位の地方行政官、捕吏、女性医師の4名が、朋友となり、心を寄せ合い、困難な道を進むのは、読みごたえがあった。反逆の謎が明らかになり、皇太子が皇帝になろうとするとき、朋友間の真実が明らかになり、驚くことになる。明朝の歴史を知ることになり、そこに埋もれる力なき人々の声を、心から聞くことになった。本当に面白かった。
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成長談であり、冒険小説であり、ミステリーである。ワクワクしながら読み進める。明朝の皇太子、低位の地方行政官、捕吏、女性医師の4名が、奇異な出会いでチームをなし、反逆の謎を追いながら、都を目指す。南京から北京への壮大な移動は、限られた時間では、苛酷なものである。反逆の謎に誰が関与しているかもわからないため、登場人物表を確認しながら読み進めることになる。でも、おもしろい。後編が楽しみだ。
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科学の知識が、さりげなく示され、物語の骨格にもなっており、読むほどに引き込まれる。この作者の作品は、すでにいくつか読んでいるが、この短編集も、心に残る作品群だ。萩焼を支える粘土、ニホンオオカミの姿を垣間見る話、原爆が投下されて間もない時に瓦礫を集めた地質学者、隕石とアイヌが名づけた川、そして海を回遊して生まれた土地に戻るかもしれないカメ。それぞれに、心を穏やかに温めてくれる物語が生み出されていた。
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谷川俊太郎氏の米寿を祝い、編まれた「ベージュ」という詩集。ひらがなで埋め尽くされた二つの詩が印象的。万葉仮名に始まるカナの文化が続く日本語の、面白さと音による心への響きがよい。19歳から88歳までの時を刻む詩集を読めば、歳をとることをひしひしと感じる。「歳をとるにつれて、人間ではないただの生きものとしての私が、ずっと自分を生かしてきたのだと気づくようになる。」そうだ。70年以上の詩作の日々の結晶だろう。
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詩的な文章というより、詩そのものが小説のように広がった、そんな物語だ。白色ではなく、白い色を思い浮かべることになり、そこに展開された言葉は、様々な色を持っていた。生後2時間で生きることを終えた姉を想い、心に浮かぶ象形を描いた第一章。そしてその姉に身をゆだねるかのようにして、異郷ワルシャワで感じる心象の第2章。そして、白いものたちすべてにに対する主人公あるいは作者を包む産着または寿衣のような第3章。翻訳がうまいのか、心にしみわたる文章が連なっていた。
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楽しくて、おなかがすいてしまうミステリーだ。パン屋でアルバイトをする女子大生が主人公だが、小さな日常の謎を、小さな伏線を基にして解いていく。そこには、いつもいろいろなパンが登場し、その香りと味が、読むうちに頭の中に浮かび上がる。大きなミステリーはないが、登場人物の人間関係が温かく、丁寧に描かれていて、幸せなミステリー小説だった。
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孤立と孤独を考える書。18世紀以降に発見された「孤独」とは否定的な孤独としての「ロンリネス」と、肯定的な孤独としての「ソリチュード」。孤独そのものが悪であるのではなく、新自由主義と排除型社会がもたらす社会的孤立の問題を提議する。人間の生には限界が、終わりがあるという感覚が薄れていく反面、自分の生はすべて自分でコントロールできるという全能感が、現代社会に蔓延しているため、孤独を許容できなくなっているのではないか、と著者はいう。
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日本の歴史を、世界の歴史と比較する視点が重要である。さらに人間の歴史には、宗教が必ず関わるので、日本における宗教が、どのように存在し、人々の考え方・生活に影響を及ぼしたかを知る必要がある。日本人の宗教の原点は「穢れ」である。穢れを祓う禊という行為が生まれ、穢れ忌避信仰という呼ぶべき生活習慣が生まれた。怨念を内包した死穢から「怨念」という考え生まれ、怨念鎮魂という行為が歴史の中で育まれた。「和」という話し合い絶対主義は古代から大切にされ、言霊信仰も生活の中に根付いた。歴史を読み解くだけではなく、判断が大切。
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哲学とは死を学ぶこととされる。死とはつねに「他人の死」であり、そこで死ぬのは不特定の「ひと」である。我々が体験するのはつねに「他人の死」。生きて死ぬという自分の生に意味があるかどうかは問題ではない。意味は私に与えらるものではない。むしろ私が意味を与える側である、と。人生は「とりあえず」と「たまたま」で出来ている。どう謳歌するのかが問題なのだろう。
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罪深き人を見つめるファンタジーだ。罪とは、人の知恵が作り出したもの。他人が、己が、罪と思えば、それは罪となってその者の心を苛む。無垢な心のままに罪を犯すと、ときに鬼の芽を生じる。小鬼が一人の少女を救うために、千年にわたり、鬼の芽を摘み続ける果てしなき物語だ。鬼と人鬼とは異なり、悪鬼とは知恵の縦の姿であり、すなわち人鬼、だと。
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歪んだ独りよがりの正義が暴走し、悪人やその周囲の者は。殺されても仕方がないと「閻魔組」を称える庶民は、現代のネット私刑に通じるものがある。冷酷な方法で悪人に私的制裁を加える「閻魔組」を生み出したのは、悪を憎む義の心だろうが、そんな思いを悪用する悪人がいることには、心を配らなければならなかったのだろう。法に触れる悪事を働くが、弱者を人情で包み、非道はしない長屋の人々の存在は、救いとなる。
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coldsurgeon
検死官ケイ・スカーペッタが活躍するシリーズ最新作の後編。前代未聞の殺害方法が、過去の事件にも、関わっていた可能性が出てきて、話は別な方向へ急展開する。陰謀が渦巻く中での科学捜査は、困難を極め、すんなりと解決の道は生まれないが、最後は、伏線がおおむね回収され、それなりにまとまり、終了となる。でも、物足りなさが残る。
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検死官ケイ・スカーペッタが活躍するシリーズ最新作。義理の弟であり、元刑事のマリーノ、姪のルーシー等が、彼女を支えながら、予想外の殺人事件や、検視局、司法を巡る争いを潜り抜けていく。主人公の気難しいけれど、読む者を引き付けるキャラクターは、大好きだ。前代未聞の殺害方法が提示されたが、想像するだけで、恐ろしい殺人武器だ。後半の展開が楽しみ。
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小説を物語を読む、ひとりの読者の物語だった。そして、詩も物語だった。小説を読むことの意味を考えたことはなかったが、これを読み終えて考えることになる。人間は自分の内側を増やすことを望む。自分の内側を、精神を増やそうとする。創作は、小説は、嘘を生み出すこと。事実はエントロピーの増大を進めるだけだから、嘘を生み出すことで、心を豊かにする。小説は読むだけでもいいと、この「小説」は示してくれる。これからも、アウトプットを意識せず、小説を読み続けられる。読む前よりも必ず心の中が増して、一人の人間の意味が増えている。
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倫理、道徳というのは、人間の生き方や行動についての善いとか悪いとかいう価値の規範を示す。そして倫理学は、その行動が正しい、正義だとする理由を研究することだ。社会における正義は、調整、分配、交換という3つの基本的な関係のパターンを含みながら、一つの全体としてあろうとす。人任せにせず、自ら考え、自分を律することが大切だ。
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生物は、なぜ眠るのかという疑問は横において、睡眠がなぜ人に必要なのかを知る必要がある。睡眠中に起きている人体の中での代謝や変化を、現在知られている範囲内で解説している。内分泌系の概日リズムは知られているが、その乱れが、身体のあちらこちらに影響を与えているらしい。では「良い睡眠」とは何かといえば、睡眠休養感が得られる睡眠となる。嗣明時間、睡眠の深さではなく個人の自己評価である。「人は眠るために生きているのではない。生きるために眠るのだ。」
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面白い設定の時代小説だ。自覚をもって悪事を働く人々が住む善人長屋に、人を疑うことを極端に嫌う善人過ぎる加助という男が、手違いで済み始めたところから始まる。いくつかの物語を通して、法が裁けない巧妙な悪事もあれば、善人であっても必ず持つ悪意が、大事件の引き金になることを示唆している。無意識に他人に迷惑をかける行為をすることが多い現代人は、自らの悪意やエゴに向き合うことになる。真っ当な社会生活を送ることは大変なのだが、物語を通じて、それを考える切っ掛けを投げかける。
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コロナ診療の現場に立った自らの経験を物語化したもの。未知の感染症に世界が遭遇し、平穏な社会では良識を示していたはずの人々が、感染症の恐怖の前に豹変した。人間の勇気や行動力など、なんの役にも立たない不条理で理不尽な世界。世界が理不尽であっても、地震が理不尽にふるまっていいわけではない。病気で苦しみむ人々がいたとき、手を差し伸べるのは医療者だからではない。人間だからです。それは誠実さの問題ではないか、と作者は問いかける。コロナ禍を、天変地異のひとつの災害として記憶の隅に追いやるのではなく、向き合い続けたい。
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人は、自らの正義をかざして、不正を、悪を、懲らしめようとする。それを受け止める側にとって、その正義そのものが、悪かもしれない。怨念の連鎖と言えるかもしれないが、それを断ち切ることは、なかなか難しい。自然災害さえも、それが生じる側からすれば、災害ではない、ひとつの自然現象のだろう。このファンタジーを読み終えて、生きづらさは、自らの心の中にあるものにより、生じるのかもしれないと思う。
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小市民シリーズ4部作の最後を飾る、小鳩君と小山内さんの活躍するミステリー。小鳩君がひき逃げ事件にあい、3年前の事件との関連性を追う。小島君自身は、骨折治療のため入院となるが、その中で、いくつもの伏線が仕込まれる。人の心や人間関係の機微は、想像もつかないところへ人を連れ去る。そんな人の心に気づいてはじめて、論理によって導き出された真相の形の意味合いを理解できる場合がある。善意に基づく日々の行動は、思わぬところで、人を傷つけることもある。
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日本の臓器別専門医療と基準値第一主義、そして多罪処方とは関連性があり、医療には注意深く関わるべきだと説く。医療の恩恵を受けるためには、医療は必要最小限にとどめるべきだとする。そうでなければ、多剤処方による薬の副作用で、身体的な不調を起こし、よぼよぼになるというのだ。確かに多剤処方は、十分に注意して、健やかに人生を生ききるべきだと思う。一病息災、病とうまく付き合いたいものだ。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/04/30(5044日経過)
記録初日
2011/01/03(5161日経過)
読んだ本
4230冊(1日平均0.82冊)
読んだページ
1326313ページ(1日平均256ページ)
感想・レビュー
4076件(投稿率96.4%)
本棚
62棚
性別
年齢
69歳
血液型
B型
現住所
愛知県
URL/ブログ
https://www.facebook.com/eri.ootsuka.7#!/masakazu.ishikawa.10
自己紹介

職場以外に仕事を持ち出さないために読書熱を再燃しました。

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