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2024年2月の読書メーターまとめ

ちゑ
読んだ本
13
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4472ページ
感想・レビュー
13
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2024年2月に読んだ本
13

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ちゑ
ネタバレタイトルに鎮魂の意が込められている気がして目を閉じた。これはナチ体制下のドイツを生き、全てを見てきたフランツの人生の物語だとも言える。当時市井の少年も今は老い、変人扱いされる彼が、幼い頃『エーデルヴァイス海賊団』と出会って経験したことを一冊の本にしていた。そこに彼の登場は多くないし、語らない。けれど、当時の出来事を生涯をかけて反芻し、後世に残すことを自分に課した動機や、内省するたびに感じるであろう苦痛、人間や世界についての学びに想いを馳せたとたん、息急ききったように彼の思いが溢れ出す。歴史から学ばねば。
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2024年2月にナイスが最も多かったつぶやき

ちゑ

この1ヶ月はなんとなく集中して本を読む気にならず、京都・奈良をウロウロ。お寺巡りの1月だった。何度訪れても新薬師寺の十二神将の迫力には圧倒される。本の方は、グレイマンが他を圧倒! 2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:2981ページ ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1076924/summary/monthly/2024/1

が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
13

ちゑ
ネタバレホラーは苦手だ。途中でホラーだと気づいた時には遅かった。好奇心と恐怖感を煽るバランスが絶妙でやめられない。面白い。ただ、結末を知った今では、砂利を噛むような嫌な感覚を味わい、打ちひしがれている。古代から、目に見えないものに対して畏れを抱き、慰霊や鎮魂、罪穢れを祓う目的で、人が人を供える風習は世界各地にある。それでも過去の出来事だと思っていた。なのに、歴史を考えて足元をよく見てごらん?と作者に言われた気がして、想像を巡らせた。急に現実感が増す。人々の無念や怨念が堆積した土の上に立っているのかと思うと…。
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ちゑ
ネタバレどこまでも独善的な人間たちの堕ちていく奈落の底はどこだ。6つの短編にダークサイドを行く6つの人生。悪意を隠して善人面をする彼らを断罪する言葉はないが、容赦なく突き放す締めの一文に絶句する。それぞれの結末の先に明るい未来が待っていることはないし、おそらくとことん堕ちていく。そこを想像して、悪いことをしたら罰を受けるんやで…と、溜飲を下げるしか無さそうな、なんともイヤな感覚の暗黒岩井短編集。中では、妻を亡くし旅先で養子の息子と向き合う老人を描く「海の子」の、ひときわあとをひくイヤな感覚が秀逸で印象に残る。
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ちゑ
ネタバレ虐待されている可能性のある名も知らぬ幼い姉弟を救おうとする青年の物語。安堵できる結末を願うけれどルー・バーニーだからね。青年ハードリーの何としても救おうとする情熱が周囲に伝わらないもどかしさ、ただの青年ゆえの浅慮で空回りしていく痛々しさは、成長小説を読んでいるよう。そして、モラトリアム期間を一気に抜け出るような結末は圧巻だった。能天気な友人、艶めかしい元探偵との関係、虐待者の裏の顔、エレノアのばーちゃんなど、もう少し詰めたい気もするが、この1冊はそこじゃないね。不足の部分は、私の頭の中で補完しておいたよ。
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ちゑ
ネタバレ大戦下。ラリは自分も移送されてきた身でありながら、同胞の腕に識別番号を彫るタトゥー係をしている。生き延びるために。聡明で温厚、人好きのするどこからどうみても好青年のラリが、ユダヤ人であるというだけで自由と尊厳を奪われ、ナチスの協力者と思われても仕方がないような仕事をしている。罪悪感や恐怖とたたかいながら過ごした3年間。恋をした。ますます生きたいと思った。ここにもアウシュヴィッツを生き抜いた人がいた。だから私たちは知ることができた。もっと学びたい。
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ちゑ
ガードパイプに対する著者の偏愛が伝わってくる一冊(笑)。何かを眺めるのが好きな私は、この類の本も好物。ご当地マンホールなどの紹介は見かけても、ガードパイプ図鑑は初。車両と歩行者の境界にある防護柵にこれだけ豊富なデザインがあるとは。普段どれだけボンヤリと歩いてるかがバレる。各地の特産や風景をモチーフにしたものも多く、単純なガードレールと違って面白い。直線、曲線、色んなパイプを駆使してデザイン性を高めているけれど、その加工や接続部の始末も大変そうだ。安全性も重視しなければならず、製造者側の声も聞いてみたいな。
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ちゑ
ネタバレ成功して他人に認められたいと思っている人はどれくらいいるのだろう。手に入れたかったものに手が届かない時、人はどんな行動をとるのだろう。羨望、嫉妬、見栄…この先にあることを考えただけで胸が痛い。著者自身を主人公にした6つの連作短篇の中の「僕」は、こうした人たちに出会い、その行動の意味を探求する。面倒くさいほどに分析する。それが理屈っぽいけれど、納得の論究なのだ。承認欲求も高じれば、虚飾の言が顔を出す。いくら完全実話ではないとは言え、著者の交友関係はなかなかにハードだ(笑)しかも知的探究心旺盛な人ばかり。
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ちゑ
ネタバレ〈この小説には一つ叙述トリックが含まれている〉最初にこんな風に書かれると、騙されるもんかと意地になる。結果、撃沈。主人公は、中国の孤児院で育ち、裕福なドイツ人の養子となった盲目の青年ベンヤミン。視覚情報がない分、他の感覚は鋭敏。ある日、中国で6歳男児の眼球摘出事件が発生し、自分の境遇を活かして男児の力になりたいと中国に向かうが…。ベンヤミンの特性を発揮しながら事件を推理していくけれど、件の事件についてはそう言うんならそうでしょうよ、という感じ。そこより、壮大なシカケとミステリから昇華した部分に感心した。
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ちゑ
ネタバレ今は治安も改善しているようだが、この物語は1950〜60年代、黒人文化の中心地 ハーレムが舞台。家具店を営むアフリカ系アメリカ人のカーニーは、トラブルメーカーの従弟が持ち込む問題に頭を抱えている。何かと振り回されては従弟の犯罪に加担させられ、ついには自分も悪党か?妻子には善人の顔を見せ、裏では悪人の顔…どちらが本当の自分なのかと問うなんて笑止!君、羊の顔で狼を利用して、なんとなく美味しいところをもっていってるよね。人種差別、麻薬問題、貧富の差…そこにある背景の中にうまく溶け込んで生きた者の勝ちだ。
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ちゑ
ネタバレ月に1冊、水滸伝…3作目。各地に散らばるメンバーが、少しずつまとまり、梁山泊入りを待っている。ここまで緻密に準備してきて、あと一歩のところで、まさかの宋江の受難。元々、宋江の女性に対する扱いがなんだか雑に思えて好印象ではなかったけれど、案の定といったところ。北方水滸伝の心のオアシス、王進とその母は、今回も最優秀助演俳優賞!いつの間にかちょっと嫌なヤツ化していた史進も、この母の前では幼な子のよう。荒くれ男たちがこの2人にあずけられると改心するというパターンは、これからも続くのかい?
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ちゑ
ネタバレあぁ、既視感。自分以外は無知で愚かな弱者だと思っている人間に、お前いったい何様や…と問うてみたいけれど、いかんせん国の中心の方に向けて叫ばないといけなさそうで参るよね。自分の利権さえ守られれば、他者は踏み台、眼中になし!この典型の海斗の気持ち悪さが際立って、もっと上の偉い(と自分で思っている)人たちの邪悪さを忘れがち。そんなことを思い出させる作品でもあった。今日も今日とて悪代官様のニュースがチラリ。カタギからお金を巻き上げる方法を思えば、半グレもどこぞの国も同じだね。現代社会のパッチワークに魅入りました。
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ちゑ
ネタバレ長夜難明…まさにこれ。白昼堂々と爆弾騒ぎを起こした有名弁護士。そのとき彼の引くスーツケースには元検察官の全裸死体が入っていた──。殺人を自供したかと思えば、初公判では否認する。なのに節度もわきまえ従順に捜査協力もする。いったいなんなんだ!知りたいことはただ一点。彼はなぜそんなことをするのか。結末は予測不能。最後の一文にある程度のことは想像できるが、編集者によるあとがきを読むと、ますますこれは中国の官憲の闇に切り込んだ作品だと知る。肉厚の社会派ミステリ、過去の正義を引き継いだ者たちのドラマを大いに堪能した。
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ちゑ
ネタバレ虫けら──『三体』を読んでいたら、きっとこの言葉に反応するよね。三体前の作者の頭の中が覗けたようでちょっと嬉しくなった。壮大な宇宙の公理を地球規模に置き換えて、現代文明を揶揄する感じがたまらない!白亜紀において恐竜と蟻が知性を持った生物として台頭し、協力と相互依存のもとに高度な文明が勃興するけれど…平和裏の共生は困難だった。恐竜、蟻ともに、こんなこと言いそうとか、それする?あ、するよね…なんて思いながら、作者の茶目っ気と鋭い考察を同時に楽しみ、最後には〈そして繰り返す〉という言葉が浮かんできた。おすすめ。
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ちゑ
ネタバレタイトルに鎮魂の意が込められている気がして目を閉じた。これはナチ体制下のドイツを生き、全てを見てきたフランツの人生の物語だとも言える。当時市井の少年も今は老い、変人扱いされる彼が、幼い頃『エーデルヴァイス海賊団』と出会って経験したことを一冊の本にしていた。そこに彼の登場は多くないし、語らない。けれど、当時の出来事を生涯をかけて反芻し、後世に残すことを自分に課した動機や、内省するたびに感じるであろう苦痛、人間や世界についての学びに想いを馳せたとたん、息急ききったように彼の思いが溢れ出す。歴史から学ばねば。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/12/19(2196日経過)
記録初日
2019/12/20(2195日経過)
読んだ本
971冊(1日平均0.44冊)
読んだページ
358922ページ(1日平均163ページ)
感想・レビュー
846件(投稿率87.1%)
本棚
19棚
自己紹介

2019年12月から、お世話になっています。
子供の頃、デュマの『モンテ・クリスト伯』を読んで以来、本の虜。沢木耕太郎は若かりし頃の私のバイブル。『高熱隧道』を筆頭に吉村昭はその名を目にするだけで心が震え、山本周五郎は『さぶ』に始まる人生の道標。
自己啓発本とホラーは苦手ですが、なんでもニュートラルに読みたい派。

読メを知る前の5年程の本は、思い出しながらボツボツと登録していますが、それ以前のものは、遠い記憶の中だけに…。

本と映画と音楽好き。老眼鏡のお年頃。よろしくお願いいたします。

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