読書メーター KADOKAWA Group

2022年9月の読書メーターまとめ

つちのこ
読んだ本
12
読んだページ
2557ページ
感想・レビュー
12
ナイス
498ナイス

2022年9月に読んだ本
12

2022年9月のお気に入り登録
1

  • niki

2022年9月のお気に入られ登録
1

  • niki

2022年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

つちのこ
包容力のある文体をじっくりと味わうために、一編一編を慈しむように読んだ。山を描いた作品は、その背景によっては尖った岩峰のように荒々しくもなるし、心を癒しの世界に導いてくれる力にもなる。著者の一年に亘る山小屋での生活は、時として自然の厳しさを体現し、逆にその大らかな懐がもつ力は壊れかけた心を修復していく。孤独を求めながらも人恋しさをごまかせない、自分に素直になっていく山小屋での四季。それを見事に描き切った著者の筆力に拍手を送りたい。ちなみに原題の『フォンターネ』とはイタリヤ語で『源泉』『給水所』の意味。
が「ナイス!」と言っています。

2022年9月にナイスが最も多かったつぶやき

つちのこ

【読書メーターの本のプレゼントに応募しました】人気警察小説シリーズ最新刊!ジェフリー アーチャー『悪しき正義をつかまえろ ロンドン警視庁内務監察特別捜査班』を10名様にプレゼント。応募締切は9月22日(木)正午。応募はこちらから→ https://bookmeter.com/giftbooks/487?track=share

が「ナイス!」と言っています。

2022年9月の感想・レビュー一覧
12

つちのこ
宗像充著『ニホンオオカミは消えたか?』つながりで手に取った。表紙にあるニホンオオカミ?と思える写真を撮ったばかりに、孤軍奮闘する著者の姿が気の毒に思えて仕方がなかった。専門家でさえ肯定派、否定派がいる世界で、在野の研究者として存在を立証する難しさは想像以上である。突き詰めれば、やはり生け捕りしかないのか。「日本の国から二ホンオオカミを消してしまったのは、オオカミ学者を自称する動物学者ではないのか」…と、皮肉ともとれる著者の言葉が心に響く。ロマンで終わらず、実在を証明する日が訪れることを切に願いたい。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
ホロコーストから生還した人々の手記は数多あるが、本書は後世に語り継がれる名著といえるのではないだろうか。ハンガリー系ユダヤ人の数少ない証言であるということも興味を引く。二部構成のうち、前半の「時のみちすじ」ではアウシュヴィッツに強制収容されてから解放までを追っていくが、恐怖に凍りつく体験を、断片をつなぎ合わせるような淡々とした切り口や、映像を見るようなリアルな表現も駆使して書かれている。後半の「闇から喜びへ」は詩作を含めた心象風景で体験を綴っており、人間の尊厳を無視したナチスの蛮行に対しての⇒
つちのこ
2022/09/25 20:04

⇒不条理を訴えながらも、前向きに生きることの意義を紡いでいる。救われるのは、自分をショアの犠牲者ではなく、自分自身のなかで和解した証人だと感じている、と言い切るところ。著者の真の強さと、魂の昇華を見た思いだ。

が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
数多いる作家と比べて読書量の少なさを冒頭で謙遜しているが、読み進むにつれ、それが思いっきり的外れだと分かる。大正~昭和初期の近代文学の知識の奥深さや、古書業界に精通した見識は、著者が単なる物書きでないことを証明している。恐るべきは、小学5年から横溝正史に狂い、『宝石』を読み、15~16歳でマイナーな作家群を読破していく早熟さ。師と仰ぐ、藤澤清造つながりでの物故作家の発掘と研究は、私小説を書く以上に夢中になれる活動であったと見て取れる。無頼派を通して逝ってしまったが、死してなお、稀有な才能は輝きを失わない。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
ナチス占領下のポーランドで、人道的見地からユダヤ人迫害に抵抗し、地下組織による支援を行った非ユダヤ人は多くいたという。ワルシャワゲットーから強制収容所へ移送される子供たちを救出し、逃亡の手助けをしたその数2500人。本書の主人公イレーナ・センドラーたちの活動は、かのオスカー・シンドラーのはるか上をいく。こうした快挙が歴史に埋もれていたことはもどかしいが、近年になり、ホロコーストの犠牲者ばかりでなく、支援活動に奔走した正義の人々に光が当たったことが素晴らしい。ルビもふられているので児童書として推薦できる。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
本書に何度も登場する『オオカミ追跡十八年』(斐太猪之介1970)は、中学になった年になけなしの小遣いで初めて買った本。あれから50年以上、ずっとニホンオオカミが気になっていた。毎年のように目撃証言があるなかで、権威的な絶滅宣言をひっくり返すのは、もはや生け捕りしかないだろうか。秩父野犬と称された写真の主は素人目にもどこからみてもオオカミであるが、写真では決定打とはならず、絶滅宣言の権威は揺るがない。外来種のタイリクオオカミを入れて生態系を守る議論よりも、在来種のニホンオオカミの存在を⇒
つちのこ
2022/09/20 09:47

⇒証明する方が先決であると思う。二ホンカワウソにしかり、著者を始め絶滅動物の捜索に人生をかけた在野の人々の努力が報われる日が来ることを願いたい。

が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
孤独死の現場をミニチュアで再現することに、どんな意味があるのか?最後まで読んで、その答えが見えてきた。生々しい現場をあえて模型で表現し展示することで多くの人に見てもらうことが可能になり、今や社会問題となっている孤独死の現実を世に問うことが、著者のねらいである。模型といえども作中に出てくる孤独死の現場を見ると、一人で死んでいくことの寂しさははかり知れない。人間関係が希薄になっている世の中であるからこそ、著者の活動の意義を感じる。反して、遺品整理の現場に群がる縁もゆかりもないハイエナどもには強い憤りを感じた。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
キレのある小気味よい文章に惹かれた。想い出で綴る、男勝りの母親の気風の良さがまた良い。古き良き時代の江戸っ子の粋がある。下町情緒が色濃く残る深川で生まれた著者は私より少し年長だが、同じ昭和30年代を経験した世代として、親近感を抱かずにはいられない。記憶の奥底にあった懐かしの風景が次々によみがえってくるのだ。米屋の店先に並んだプラッシーを指を咥えて見ていたあの頃。同じ経験をした著者とはまさしくビンゴ。貧しくても幸せだったセピア色の風景はどんなに思い出しても帰ってこないが、この作品に出会えてよかったと思う。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
夜逃げ同然で出て行った隣家が空き家になって早一年。庭先に散乱する放置されたゴミの山も草に埋もれている。悪臭が鼻を突き、ネコが巣くう状況を自治会に訴え、市役所の職員までが調査に出動することになったが、持ち主と連絡がつかないということでそのままだ。ゴミ屋敷は近隣住民にとっても迷惑この上ない存在である。本書を読むと、身勝手でだらしないゴミ屋敷住人たちの実態が見えてくる。理由はそれぞれだが、金を払えば掃除をしてもらえるという根性が許せない。取材目的のアルバイトとはいえ、ゴミの山で奮闘する著者の苦労が不憫に思えた。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
戦争の悲惨さを切り撮った表紙の写真は、これまで幾度も目にしてきた。ベトナム戦争を終結に導いたきっかけの一つになったともいわれており、重度の火傷を負った被写体の全裸の少女(キム・フック)とともに数奇な運命をたどっていく。一枚の写真がもつ影響力に翻弄されながらもそれを武器にして、平和を訴える活動に身を投じたキム・フックはまさに“選ばれし人”である。言論の自由が閉ざされた社会主義体制下のベトナム、キューバから決死の亡命を経て自由の身となっていく過程は、ミステリ小説ばりのドラマチックな展開。驚かずにはいられない。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
アムステルダムの一等地に建設されたメルウェーデ広場を中心とする集合住宅群には、ドイツを追われたユダヤ人の富裕層が移住しコミュニティを形成していたという。本書はアンネ・フランクを始め、一部の恵まれたユダヤ人たちの安息の場として、それを象徴するメルウェーデ広場を取り巻く人間模様と迫害の実態を時系列に描いている。やがて移送されていく収容所と、自由と幸福の象徴であった広場とのギャップが、登場する人々の波乱の人生と重ね合わせ、読み応えがある。広場に住まうユダヤ人住人と広場とは縁がない困窮するユダヤ人難民や⇒
つちのこ
2022/09/06 19:08

⇒オランダ人社会とは、貧富の差から生じる妬みや確執もあった。その差別意識から密告、迫害の波が加速していく過程は、緊迫した状況においてユダヤ民族の結束が必ずしも固くなかったことを物語っている。ナチス占領下のオランダのユダヤ人が置かれた状況について注目されたのは『アンネの日記』の存在によることが大きが、フランク一家の隠れ家を密告した人物は以前謎のままだ。先に読んだ『アンネ・フランクの密告者』を始め、ここにきてアンネ・フランクを取り巻く⇒

つちのこ
2022/09/06 19:09

⇒一連の作品が次々に出版されているのはなぜだろうか?証言者が没し風化の波には逆らえないが、真実の歴史を知るうえで大いに歓迎したい。

が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
著者とは同い年で、昔からのファン。世にコレクターはたくさんいるが、誰も興味をもたないようなヘンなものを偏執狂的に集めまくるのは、もはや癖を超えて病気の範疇。私はその感性こそが著者の魅力であり、世界観に共感している。冒頭にも書いているが、著者が死んだらコレクションたちはどうなるのだろうか? これはコレクター共通の悩みだろう。著者の場合は、本書も含めて多くの著作やイベントで紹介されているので、たとえコレクションが処分されても、記録として残っていく。それもある意味“遺品整理”であり、生きた証だろうか。
が「ナイス!」と言っています。
つちのこ
包容力のある文体をじっくりと味わうために、一編一編を慈しむように読んだ。山を描いた作品は、その背景によっては尖った岩峰のように荒々しくもなるし、心を癒しの世界に導いてくれる力にもなる。著者の一年に亘る山小屋での生活は、時として自然の厳しさを体現し、逆にその大らかな懐がもつ力は壊れかけた心を修復していく。孤独を求めながらも人恋しさをごまかせない、自分に素直になっていく山小屋での四季。それを見事に描き切った著者の筆力に拍手を送りたい。ちなみに原題の『フォンターネ』とはイタリヤ語で『源泉』『給水所』の意味。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/05/03(1456日経過)
記録初日
1986/01/19(13979日経過)
読んだ本
3101冊(1日平均0.22冊)
読んだページ
956897ページ(1日平均68ページ)
感想・レビュー
2932件(投稿率94.6%)
本棚
28棚
性別
現住所
岐阜県
自己紹介

早期リタイアし、念願の晴読曇読雨読パラダイスに突入。
旅に生き、好きな本を、好きなときに、好きなだけ読む暮らしをさせてもらっています。
飛ばし読み、流し読み、斜め読みは性に合わないので、本は一字一句最後まで読み切るタイプです。
なので、駄本に気づいて後悔することしきり。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう