ネタバレ短編が7編。死のうとしている人や生き残ってしまった人の閉塞的な感情が伝わってくるので、裏表紙にある「すべての心に希望が灯る傑作短編集」とは違った印象。「死」という言葉がもつ暗さを改めて感じる短編集で、死の暗さを肯定することで救われると思った。

ネタバレ藤原定家は、高齢の父・俊成から、古今伝授を授ける条件として三種の御題を解くよう言われる。定家と、一緒に御題を解くことになった毒舌で美人の僧・長覚との組み合わせが魅力的だった。二人の力というより、偶然知ったことや、たまたま行った場所がきっかけで御題が解けたといった感じ。政敵の源通親も知りたがっていた古今伝授の内容は明かされずに終ったので、気になる。

ネタバレ短編が7編。死のうとしている人や生き残ってしまった人の閉塞的な感情が伝わってくるので、裏表紙にある「すべての心に希望が灯る傑作短編集」とは違った印象。「死」という言葉がもつ暗さを改めて感じる短編集で、死の暗さを肯定することで救われると思った。

ネタバレラジ＆ピース/主人公・野枝は、自分が傷付かないために鎧を身に付けて生きているようだった。引っ越し先の群馬県で知り合った沢音に、寝過ごして到着した越後湯沢駅まで迎えにきてもらったところで何かが変わった感じがした。ふわりと鎧を脱ぎ捨てたような終わりがよい。うつくすま ふぐすま/主人公の男性に対する蔑みがすごくてぎょっとする。冒頭の「うつくすま」と「ふぐすま」の呼び掛け合いは何なのだろうか。この呼び掛け合いが、ただの同姓同名の交流物語ではない感じと、主人公の心にある空洞を感じさせる。

ネタバレタイトルから、切ない・苦い恋愛の話しかな、と思ったが・・。主人公は、自分の境遇に達観し淡々としているが、5話のうち計3話で殴られ、1話でサービスエリアに置き去りにされ、1話は階段から落ちており、なかなか過酷な設定だなあ、と思った。主人公の想いは、義兄は分かっているようだけど、このままの関係が続くのかな。それでいい気がした。読む人の想像に委ねる部分が多い作品だと思った。