良かった。やっぱりこの人の小説は秀逸だわ。人間に対する祈りを感じる。

私は神である、との出だしから始まる前文が 最高だし、この前文が本作の全てが詰まっていると言っても過言ではない。劣悪で悲壮な筈だがからりとした明るさというか乾いた感じがある。 解説を読むと、著者の断章を一つの小説として編集者がまとめたようであり、物語としてのつながりがどうもないなという印象を受けていたので納得した。また、本作が出版できたのは編集者の入れ込みがあってこそのようであるし、編集者の尽力は大きいのだろう。

期待してなかったので、思ったより面白くて続きが気になってしまった。

どこに面白味を覚えればいいのかよくわからなかった。主人公に共感できないというのはまあ構わないのだが、好感も持てないし、なんかよくわからない。ただ、イラストはどれも美麗です。

この人の漫画なんか記憶にあるなーと思ったら短編集読んだことあるんだ昔。

共感する読者がいるのはわかる。

TSガチ勢。よくあるTSモノは美少女になれたわーいってノリかTS自体はサラッと流すことが多いが、本作は今まで典型的な悪ガキ男子が突然女子になることへの葛藤や心理的ショック、さらには家族もその受け止めが上手くできていないところが描かれていて毛色が違う。

良かった。やっぱりこの人の小説は秀逸だわ。人間に対する祈りを感じる。