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2024年11月の読書メーターまとめ

きゅー
読んだ本
20
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感想・レビュー
19
ナイス
231ナイス

2024年11月に読んだ本
20

2024年11月のお気に入られ登録
1

  • Piichan

2024年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

きゅー
12人の読書家による積読公開。私事だが最近引越しをした経験上、本はあまり持たないほうが良いという風に傾いている。もし今後二度と引っ越さない確証があれば本を増やしても良い。そうでないなら身に余るほどの本をもつのは小市民には荷が重すぎる(物理的にも精神的にも)。とは言え、他人の本棚を眺めるのは楽しい。雑然と積んでいる人から、図書館のように理路整然と本棚に収納している人まで色々だ。しかしもはや以前のように本に埋もれる生活に憧れることは当分なさそうだ。少なくとも引越で痛めた左腕と腰が完治するまでは。
が「ナイス!」と言っています。

2024年11月の感想・レビュー一覧
19

きゅー
自分で選んでいるつもりなのに実は企業の戦略によって「選ばされている」ことがある。マーケティングに利用できる様々なバイアスが具体的な手法と、その根拠となる研究結果とともに紹介されている。iphoneの箱を開けるには絶妙な手間がかかるという。そのジリジリするような間が商品に対する評価を高めるという。企業は製品の質だけではなく、それが顧客にどのようなイメージで受け取られるのか、そしてそのためのコマーシャルをどのように展開するのか種々工夫をしている。その舞台裏を知るのも面白い。何より人の誤りやすさを思い知る一冊。
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きゅー
この人の書く文章って染みるんだよね。本書は彼女の執筆論+半生記のようなものでファンとしては非常に楽しく読めた。一つ一つの出来事が彼女のなかで土壌となって、言葉が芽吹く。新米編集記者時代のボスの愛ある指導、インタビュー相手や雑誌編集者などからの言葉を真摯に受け、それが昇華されていく過程を見るに、人って本当に「器」なんだなと思う。彼女がこうして自分のことを書けるだけの媒体を得ているのは、それだけの愛読者がいるから。これからも楽しみにしています。
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きゅー
最近話題となった三宅香帆の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』と共通するテーマ。それは、人が一生懸命働くと視野狭窄に陥りやすいということだ。切羽詰まると自分の仕事と関係のある情報だけを取捨選択し、それ以外を見ないようにする。『なぜ働いていると…』では読書が興味関心の対象から除外されるとあるが、それはすなわち本書で書かれている「古典的な教養」に重なる。しかし、忙しいビジネスパーソンも仕事に関係するものだけに関わることが自らの人間性を薄いものにしてしまうのではという危惧を抱えているのではないだろうか。
きゅー
2024/11/26 15:18

そこに付け込むのが「教養」を冠したアート、日本史、マンガ、ワインなど雑多な知識の押し売りだ。そうした啓発書が煽るのは、他人の知らない知識=教養を知ることにより仕事ができるようになるという安直な思想。アートやワインなどそれぞれの分野を愛し、自分の知にしようという目的ではなく、たんに表面的なことを知りたいならYouTubeで専門外の人間の解説を聞くだけで済む。稲田豊史の『映画を早送りで観る人たち』でも同様に、映画を楽しむのではなく、ブームとなっている映画の知識を得るために倍速で視聴する若者の姿が描かれていた。

きゅー
2024/11/26 15:20

他人に遅れを取りたくない、知らないと思われたくないという焦りは低い自己肯定感から生まれるのではないか。本書では若いビジネスパーソンを対象としたが、彼らは大学・高校、あるいは小学校の頃から他人と自分を比べて生きることを強いられていなかったか。経済的に右肩下がりという日本の閉塞的な社会環境が他者を競争相手とみなし、そこで勝ち残らなければならなければ生きていけないという不安の土壌となっている気がする。「ファスト教養」は鎮痛薬のようなものだ。心の不安を一時的に取り除いてくれるが、それは根本的な治療にはならない。

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きゅー
かつて連載していた同名マンガ『これ喰ってシメ!』の元となったエッセイ。飲んだり食べたりした後のシメをどうするかという内容。のはずだが、途中から銭湯の後はコーヒー牛乳でシメなどだんだん縛りがゆるくなっている。話しぶりはいつもの久住昌之節で好き嫌いが大きく分かれると思う。自分は好きで読んでいるけど、それでも時折非常にウザく感じるので一気に読むのはつらい。つい手が出ちゃいそうなウザさと言えばいいだろうか。著者が近くにいないのが幸いだ。読後に一切何も残らない虚無感を味わうにはちょうどよい。
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きゅー
精神障害者に立ち現れる「異界」を、レイン・ガタリ・中井久夫・べてるの家の当事者研究で横刺しする。障害者の個々の症状をそれぞれ別個のものとして対処するのではなく、その人の調和を取り戻すという全体論的な観点から見通す。そこでは病気を悪、健康を善とする二元論的な立場から離れ、精神疾患を人生における「旅」または「プロセス」として描く。「ケアをひらく」シリーズの一冊として、これまでの内容を総括するような内容になっている。ただし著者2名の共同執筆のためか、所々でそれぞれの専門分野が顔を出して理解しづらい部分もあった。
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きゅー
「辛さってうまさの乗り物なんだ」、「それはまるで果実のzipファイル」といった彼女独特な表現によって、食べることに対する並々ならぬ熱意と行動が綴られている。こうした食エッセイの中では抜きん出た一冊。対象もファインダイニングからファーストフードまでと幅広く飽きない。巻末のエッセイにも書かれているように店を評価するのではなく、その店の歴史の一端に触れ、そこに関わった人たちに思いを馳せている。偉そうな書き方になるが、『生まれたときからアルデンテ』から10年が経ち、彼女の成熟がはっきりと受け取れる一冊。
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きゅー
聖書の現代的再解釈に気候変動サバイバルを加えた物語と言えようか。私にはp160以降の物語の展開があまりにも唐突でナンセンスに感じた。全編に「子どもは強くて賢い。大人は弱くて愚か」というテーゼが充満しており、結末が近づくにつれそのムードが強まって説教臭くなる。さらに、さあどうなるのかという場面で「機械仕掛けの神」的な人物が登場した際には呆気にとられたし、それがどんな聖書のメタファーなのかわからない。正直に言ってこの本の思想が理解できなかったの一言に尽きる。読み進むほどにクエスチョンマークが増えていった。
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きゅー
ASD(自閉スペクトラム症)の人が、周囲に溶け込み自分の特性を隠して生きようとする手段の一つとしてカモフラージュがある。手段と書いたが、本人は意図せずにいつの間にか身についたものであることが多いという。日本に限らず海外でも女性のASD者は、世間が求める「女性らしさ」に自分を当てはめるためにカモフラージュを半ば強制されているとも言える。そのことによるストレス、自己肯定感の低下などが問題となり、その対処法が書かれている。前半の知識パートと後半の実践パートに分かれているので、前半だけ読んでも参考になると思う。
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きゅー
12人の読書家による積読公開。私事だが最近引越しをした経験上、本はあまり持たないほうが良いという風に傾いている。もし今後二度と引っ越さない確証があれば本を増やしても良い。そうでないなら身に余るほどの本をもつのは小市民には荷が重すぎる(物理的にも精神的にも)。とは言え、他人の本棚を眺めるのは楽しい。雑然と積んでいる人から、図書館のように理路整然と本棚に収納している人まで色々だ。しかしもはや以前のように本に埋もれる生活に憧れることは当分なさそうだ。少なくとも引越で痛めた左腕と腰が完治するまでは。
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きゅー
今だったらグルメ情報をてんこ盛りにすると思うけれど、1960年代に刊行された本書では工場見学や寺院仏閣紹介が多い。新聞連載のため、そこからの要請もあったと思うが隔世の感がする。破天荒な武田百合子と弱腰の武田泰淳の凸凹コンビの息がぴったりで楽しく読めた。泰淳の、そこまで軟弱でよいのかという問いが浮かぶが、己の無様な様子をあっけらかんと書いてしまうところに作家としての本懐があるのだろう。それにつけても百合子のキャラがすごい、という印象が残った。
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きゅー
信濃毎日新聞社が様々な発達障害者の生き方を調査・インタビューした一冊。個人では難しいと思われる発達障害者を搾取しようとする人々、あるいは発達障害を金儲けの手段と考えている人々への取材も行われており、これこそマスメディアの存在意義だと感じ入った。ある中学生が作文に「立場の強い人間が自分にとっての『普通』を押しつけると、立場の弱い人間は何も言えなくなる」と書いた。教師(あるいは親・先輩・上司・多数派)が使う「普通」という言葉は、権力者が意のままに使用できる如意棒のようなもの。それを振りかざすのは暴力に等しい。
きゅー
2024/11/13 13:52

しかもそれが無自覚であったり、善意でなされたりすることもある。「多様性」という言葉一つとっても、自分が多数派に属しているという驕りはないだろうか。気が引き締まる一冊だった。

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きゅー
ひとり温泉旅館に泊まって、温泉入って、本を読んで、美味しい料理を食べる。そんな極楽浄土のすすめ。日本各地のひとり旅に最適な温泉旅館の数々が紹介されている。ただね、いくつか実際にチェックしたんだけどやはりお高いですね。お高いとどうしてもあれもこれもやらないと損した気分になっちゃう。どうにも難しいものです。それと、本書に掲載されている温泉旅館でも1名宿泊で検索すると泊まれる日が全く無かったりする。そういう旅館はちょっとずるいんじゃないのと思う。
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きゅー
料理研究家であり文筆家の高山なおみのエッセイとインタビューが収録されている。インタビューと言っても彼女は聴く側。個人的な知り合いでもある、絵本編集者の筒井大介、写真家の齋藤陽道、画家の中野真典の3名となっている。特に、齋藤陽道とのインタビューは印象深く、耳の聞こえない彼の言葉と写真に対する向き合い方、3歳になる子供との関係など実に興味深く読ませてもらった。高山は小さい頃から成人した頃までどもりがあったという。どもりだから電話ができない、人と話すのは信じられる人とのみという生活が続いていたという。
きゅー
2024/11/11 17:06

”高山 言葉じゃなくて「ことば」ですね。「ことば」だったら私はたくさん言いたいこと(言えること)があると気づいた。”言葉という理性的なものではなく、もっと根源的である意味幼児的な「ことば」の重要性。自分のうちから溢れそうになるもの、誰かに伝えたい思い、表現したくなる景色。それが「ことば」なのだろう。何度も頷きながら読み進めた。

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きゅー
虐待、いじめ、不登校、ヤングケアラーなどの話のなかで、子どもが助けてを言わないということが取り沙汰されることが多い。しかし実際には「社会が助けてを言わせない」が正しいんだ。助けてを言える環境であれば彼らはそのようにする。そうではなく彼らの助けてを無視し、あるいは過剰に反応し、責任が重くなると逃げる社会と大人の問題だということがつくづくわかった。本質としては、あなたは=わたしは助けてと言われた時にそれに対応することができるのかという問題。もちろんそれを一人で背負う必要はない。
きゅー
2024/11/08 16:16

そうして潰れてしまっては元も子もない。他の誰かと一緒に多少なりとも手助けができればいいはずだ。0か100ではないところで、大人が何をできるのか。それを社会がどのように支えるのか。臭いものに蓋をするように、見てみないふりをしてしまう自分がつくづく嫌になる。

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きゅー
夏葉社を経営している著者によるエッセイ集。やわらかな言葉で様々な本を紹介している。元連載は6年間も続いていたようで、その間の二人の子どもの成長話も差し込まれ心安い。夏葉社は一人の会社なので、当然全ての事を一人でやらなければならない。これだけ有名になったならさぞかし敏腕だろうと思うのだが、そういう下世話なところはおくびにも出さない。彼はひたすらに本を読むことで見えてくる世界をふんわりと差し出す。自分の詳しくないジャンルの本でも彼の紹介文でとたんに気になってくる。心のこめられた文章には人を惹きつける力がある。
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きゅー
季節の移ろいとともに、その時節に適った料理がある。 4月下旬の葭始生(あしはじめてしょうず)にサザエのつぼ焼き、10月上旬の水始涸(みずはじめてかれる)に松茸とかしわの鍋、1月上旬の雪下出麦(せっかむぎをいだす)に白味噌の雑煮など風雅な季節の言葉と料理の数々。季節を身内に感じるには、こうした作法も良いものだなと思わされた。
が「ナイス!」と言っています。
きゅー
ADHDについて多くの当事者が自らのことを発信するようになったが、それでも女性が自身の困りごとを書いたものは少ないという。本書は研究書でなければ、ADHDを総括するものではなく、ごく具体的に何が私の身に起こったのか(起こっているのか)が言葉にされている。脳内のごちゃ混ぜ具合をあえてそのまま文章にした体裁は、その形式をもってしても生活の困難さが伝わってくる。
が「ナイス!」と言っています。
きゅー
ハンセン病患者の隔離の歴史が当事者によって語られている。著者は10歳で施設に収容され、今なおそこで暮らしている。彼女の言葉の節々に、自分と関わった人たちへの感謝が込められている。同じハンセン病患者だったトヨちゃんの思い出話にも心揺さぶられた。トヨちゃんも「あの温かさがあったから生きてこれたんだよ」とお世話になった人のことを繰り返し言い続けたという。著者は病気のせいで両手の指を失い、左右の足も切断している。それでも何かのせいにすることなく生き、学び、日々の生活に喜びを感じるしなやかな感受性を羨ましく思った。
が「ナイス!」と言っています。
きゅー
差別が日常的に行われていること。そして私だって無意識のうちに差別に加担していることを知らしめてくれた良書だった。他者を対象としたある種の笑いにおいて「笑っているの誰か?」という問い。公の場で個人の感情を表現することについての権力の関係。多様性と称されるときに、最大多数はその内に含まれず、非主流だけが「異なる」と表現されること。その他さまざまな気づきを得られた。定期的に読み返して、自分の無批判的な精神に棘を刺すべきだと強く思った。 自分は差別とは関係ないと思っている人にこそこの本を勧めたい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/07/11(4910日経過)
記録初日
2011/03/27(5016日経過)
読んだ本
2611冊(1日平均0.52冊)
読んだページ
595698ページ(1日平均118ページ)
感想・レビュー
2370件(投稿率90.8%)
本棚
4棚
性別
職業
事務系
現住所
愛知県
外部サイト
URL/ブログ
http://biblon.blog98.fc2.com/
自己紹介

昔から翻訳小説が好きで、いまだその深みにはまってます。
長編、劇作、詩、コミカルなものが好き。
短篇集、日本の小説、ミステリー、ファンタジーは苦手。
最近は、中央・東ヨーロッパの作家に焦点をあてて読んでます。

好きなシリーズ
文学の冒険(国書刊行会)
プラネタリー・クラシクス(工作舎)
東欧の想像力(松籟社)
大人の本棚(みすず書房)

好きな作家
高行健
グレアム・スウィフト
チェット・レイモ
ローレン・アイズリー
ライナー・マリア・リルケ
マルセル・プルースト
クラフト・エヴィング商會
フリードリヒ・デュレンマット
コニー・ウィリス
イタロ・カルヴィーノ
イスマイル・カダレ

ナイスについては、基本的に自分が読んだことのある本につけていますので、偏るかと思いますがご了承ください。

読みたい本リストはEvernoteで管理しているので、こちらでは登録していませんが、皆さまの読書記録を日々参考にさせてもらっています。

大学図書館で働いています。

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