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2025年1月の読書メーターまとめ

ひつまぶし
読んだ本
11
読んだページ
2653ページ
感想・レビュー
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ナイス
56ナイス

2025年1月に読んだ本
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2025年1月のお気に入られ登録
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2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ひつまぶし
「発達障害」が障害であるとするなら「発達障害でない」こともまた異常として見て然るべきという発想が面白いし、当然検討されるべきことでもある。ドーパミンの作用から直接の刺激とは関係ない行動様式が形成されてしまう健常発達も、多数派だから当たり前のように思われているが、考えてみれば不合理なことだ。ビオンやクライン、ラカンなどをさらりと議論に組み込んでいるところも勉強になった。後半になると自己論のような展開になっていく。自己論は常に現代社会論であり、変わる部分もあるが、変わらない部分を取り違えないようにしたい。
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2025年1月にナイスが最も多かったつぶやき

ひつまぶし

2024年の読書メーター 読了数:152冊 読んだページ:41202ページ ナイス:741ナイス 感想・レビュー:152件 月間平均冊数:12.7冊 月間平均ページ:3434ページ ▼ひつまぶしさんの2024年に読んだ本一覧 → >> https://bookmeter.com/users/1252903/summary/yearly

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2025年1月の感想・レビュー一覧
11

ひつまぶし
ポルノグラフィの流通が、ポルノグラフィを作成する過程で行使されている暴力とそれを可能にする社会構造を追認し、再生産、強化することになる。作品としての「表現の自由」に議論の焦点が奪われ、暴力の社会構造が問題化されなくなるメカニズムが繰り返し検証される。自由と平等の衝突はリベラリズム批判の議論とも関連しているだろう。自由を至上とすれば話は単純で分かりやすいものになるが、分かりやすいがゆえにまちがいに気付けない。また、単なる暴力でしかない発言を言論と錯覚させるといった現象は現代的な政治手法になってしまっている。
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ひつまぶし
ラディカルフェミニズムについて知りたくて、マッキノン『ポルノグラフィ』を読もうとしたものの、論証の仕方がもう一つ飲み込めないので、まずは軽めのものと思って読んでみた。売買春によるセックスは契約や報酬といった法的な裏付けを理由に合意の上のものとみなされるが、行為としては強姦であり、レイプと変わらないという見方がラディカルフェミニズムのラディカルさなのだろうか。つまり、表面的な制度論によるごまかしのベールをいろんな角度から徹底的に暴いていく手法と考えると、ラディカルフェミニズムに学びたいこともこれなのかも。
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ひつまぶし
ギャンブル依存症やアルコール依存症、ワーカホリックに痴漢など、依存症には男性性への囚われが強く影響している。それらを総合して「男尊女卑依存症」とでも言えるようなものととらえ、その対処法を考える——という感じなのだろうか。しかし、これだと何らかの依存症に陥っている人だけを対象にした話になってしまう。「男尊女卑依存症社会」というタイトルは、シンボリックではあるが、あまり意味のない言葉に思えた。男尊女卑は必ずしも依存症だけの問題ではないのに、依存症として処理してしまうと、逆に取りこぼしてしまうものがありそう。
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ひつまぶし
日本の現代思想とは、ニューアカという形でポストモダン思想を受容し、時代状況の中でそれなりの意図を持って展開されていたものであることが理解できた。もともと欧米とは異なる文脈があり、輸入した思想とのずれが大きな問題としてある。その上にニューアカとして展開された思想も、批評の域を出ず、結局のところ日本社会の個別具体的な課題にかかわって展開されたわけではないことが一番の問題に思える。著者がまとめてくれるおかげで、このような見取り図から考えることもできる。混迷と見える20年のうちの蓄積がそろそろ身を結ぶだろうか。
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ひつまぶし
コミュニタリアニズムの思想的背景を理解するための教養のつもりで読んでみたが、めちゃくちゃ面白かった。世界史的な動向とも関連しつつ、アメリカにおけるリベラリズムの政治思想がどのように展開していったのかを理解できた。また同時代の日本における欧米思想の受容のされ方についても同時に知ることができるし、日本の思想的状況とその課題も理解できる。戦後日本はどうしようもなくアメリカに従属的で、かつそれ自体が見えづらい状況に陥ってしまった。哲学や思想が難しく感じられてしまうのは、そうした基礎的な文脈の乖離があるのだろう。
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ひつまぶし
「発達障害」が障害であるとするなら「発達障害でない」こともまた異常として見て然るべきという発想が面白いし、当然検討されるべきことでもある。ドーパミンの作用から直接の刺激とは関係ない行動様式が形成されてしまう健常発達も、多数派だから当たり前のように思われているが、考えてみれば不合理なことだ。ビオンやクライン、ラカンなどをさらりと議論に組み込んでいるところも勉強になった。後半になると自己論のような展開になっていく。自己論は常に現代社会論であり、変わる部分もあるが、変わらない部分を取り違えないようにしたい。
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ひつまぶし
社会問題の構築主義は自己反省を促しながら社会現象を記述する営みでしかない。第2章の最後で正義論に触れたり、あとがきでまた「割り切れなさ」をぼやいてしまうのは、禁欲のあまり自分が何のために反省したいのかを見失っているからだろう。構築主義にも対面的な相互行為が起こる社会問題ワークに力点を置くものもあるようだが、自分の問題意識を問いとして設定できなければ、空回りは変わるまい。構築主義はどのように正義が構築され、また歪められていくのかをとらえることができる。その上で正義を問い直す作業からは逃げてしまっている。
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ひつまぶし
社会運動など流行らない社会で、若き活動家が何を経験し、何を読み、どう考えてきたかを知ることができた。名前は知っていても読んだこともない思想家について「なるほど、こんな議論があったのか」と勉強になった。著者にとっては、批判対象としつつも臨床哲学が拠り所の一つとなっている。著者が言うように、哲学が臨床的であるなら社会運動と地続きになるほかないように思う。そして、それは大学という制度に収まる形では構想しえないだろう。資本主義であれ大学であれ、外部を構想しながら実践を積み重ねることに意識的である必要がある。
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ひつまぶし
途中で何が転向なのかよく分からなくなったが、要するに批判されているのはSEALDsの解散の仕方。鷲田清一を批判し、谷川雁を肯定的に語るのかと思ったら、鷲田は臨床哲学に携わりつつも「哲学」は手放さなかった点で非転向なのだと。非転向は行動する姿勢であり、〈中央〉から距離を取ることで開かれる〈地方〉という地平であり、それこそが思想の軸となるというような話。SEALDsについてよく知らないが、「いずれ来るかもしれない闘いのためにスキルを身につける」と言って運動を解体してしまうのは確かにあまりに無自覚だと思った。
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ひつまぶし
TwitterでADHDをテーマにした著者のコミックエッセイを見かけて単行本を読んでみた。発達障害の実態よりも対処法に力点を置いた記述と見受けられたからだ。結構ページ数があって、受診、診断から症状の自覚、そして自分なりの対処法の構築といった過程をしっかり押さえている。最終的に行き着くのは完璧主義の呪縛に気づくことであり、「苦手なものは苦手と割り切る」ことだった。やはり「発達障害」として対応を工夫していく部分と、どこかで障害の特性を超えて「生きづらさ」を生み出している部分とが反響しているものだと分かる。
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ひつまぶし
長らく積読だったが、ようやく読めた。資本主義のオルタナティブを考える知識を求めて。資本主義の歴史的検討が結構長くてつらかったが、本題は情報技術によって開かれるポスト資本主義の提示。情報や知識は複製可能なので市場原理をすり抜けてしまう。マルクスを再読し、その他の論者の議論の系譜をたどって、その可能性を検証している。結論の手前にある気候変動、国家の債務、高齢人口の増加など、抱える課題の大きさに暗澹たる気持ちにさせられたが、最終的にはベーシックインカムを念頭に、非営利活動が活性化された社会が構想されている。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/05/27(1363日経過)
記録初日
2021/05/23(1367日経過)
読んだ本
444冊(1日平均0.32冊)
読んだページ
117321ページ(1日平均85ページ)
感想・レビュー
444件(投稿率100.0%)
本棚
10棚
自己紹介

 感想は、その本が自分にとってどんな意味を持つのかをまとめるために書いているので、客観的な批評でもなければ、内容を紹介するものでもありません。
 255文字の感想を書くことを決めておくと、面白くない本は面白くないなりに、理解しきれない本は理解しきれないなりに、自分なりの視点を見出せるところが面白いですね。

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