傷害事件で拘置所にいる時に東日本大震災が起こり、釈放されたものの、連続殺人犯となってしまう真柴亮。それを追う陣内刑事。この逃亡劇が、未曾有の大震災直後に起きたということにより、人々の混乱や、会えない家族への強い思いが激しく胸に迫ってくる。柚月さんだからこそ書けたという気もして、生きる意味を問う渾身の作品だと思った。ただ、警察がちょっと頼りなかった。実際はもっともっとしっかりしていると思います。本当に。

半年以上の図書館待ちで、やっと読めた本。人気のある理由がわかる、読みやすくて面白いエッセイだった。イギリスで博士論文を書くという、凡人にはあり得ない話、しかも宮家の方が。となるとエッセイと言えども他人事になりがちだけど、いつの間にか惹き込まれて、共に笑い、困り、苦しみ、嬉し泣きしている自分がいた。出版から8年程経って、この本の良さを広めてくれた一読者の方にも感謝したくなる、素敵な本でした。

国語の演習問題を解きながら学んでいくという形のこの本。受験勉強の頃を思い出しました。内容は、相手の立場に立ってわかりやすく話す。「語調モード」ではなく「理解モード」で読む。的確な質問をする。相手の意見の根拠を知り、自分の意見も根拠を明らかにする。など。要はきちんと聞き取れ、また表現できる国語力を身につけなければコミニュケーションも取れないということなんですよね。などとレビューを書きながら、何ともまとまらない自分の国語力が情けなくなっています。はぁ〜。

6編の短編集。「海鳴り遠くに」は既読。再読できて嬉しい。主人公は高校生だったり、定年過ぎた男性だったり、様々なのにすべてしっくりくる感じ。何というか、こうなればこう思うだろうというところを絶妙に突いてくるので、余計に心が揺さぶられた。どれがいちばん好きとも言えないくらい、どの話もいい。これから、未読の作品も読んでいきたい作家さんです。

傷害事件で拘置所にいる時に東日本大震災が起こり、釈放されたものの、連続殺人犯となってしまう真柴亮。それを追う陣内刑事。この逃亡劇が、未曾有の大震災直後に起きたということにより、人々の混乱や、会えない家族への強い思いが激しく胸に迫ってくる。柚月さんだからこそ書けたという気もして、生きる意味を問う渾身の作品だと思った。ただ、警察がちょっと頼りなかった。実際はもっともっとしっかりしていると思います。本当に。

森沢明夫さんの新作。自然あふれる情景の中に、様々な苦悩が浮かび上がる。それは自分自身のことだったり、家族のことだったり。小学5年の時に拓海が抱えた秘密、その後風太が受け入れなければならなかった境遇、そして涼子の思い。親たちの辿ってきた道…それらと正面から向き合った時、見えてきた未来に、最後は涙を抑えきれなかった。海や空や風の表現も、天下一品だなぁ。

短編集。先に読んだ友人たちの「ようわからん」という感想から、大して期待はしてなかったけど、私にはハマりました。本のタイトルからもわかる通り、発想がぶっ飛んでます。牛を球にしてしまうんだから。しかももはや牛肉ではないという…。「数を食べる」「石油玉になりたい」「東京都交通安全責任課」「犯罪者には田中が多い」など、各短編の面白さもタイトルから伝わりませんか？シュールなものがお好きな方には、ぜひお勧めしたい1冊です。

「満天のゴール」の直後に読んだので、記憶が鮮明で、とても楽しめた。12章に分かれていて、それぞれの章で盛り上がりがあり、また表現もわかりやすいので、サクサク読めた。前作同様に、臨終の場面が何度か出てくるけれども、辛いばかりではなく、人間の尊厳というものも感じられ、胸を打たれた。奈緒、涼介、三上が他人を思いやって生きる姿が素晴らしく、優しさと共に勇気をもらえる作品。良かったです！

藤岡さんの新作が読みたくて、まずは未読のこちらから読んでみた。夫に裏切られ、息子の涼介と共に限界集落とも言われる故郷で暮らす決心をする奈緒。そこで出会う人々との縁に、胸が熱くなる。涼介はヤンチャだけど、明るく元気で、物語に欠かせない存在となっているのが、頼もしくて好ましい。確かにこの続きが読みたくなるなぁ〜。ということで、次は「春の星を一緒に」を読みます。

昼間は書店、夜は時々定食屋になる。お店には犬のフクコと猫の大福がいる。何なら1泊3,000円で素泊まりもできる。なんていう美味しすぎるお店！少し疲れてしまった夜には、この小さな書店&定食屋に足を踏み入れたい。定食屋で出て来るメニューは、何かしらの文学作品と繋がっていて、本好きにはたまらない。ワンちゃんネコちゃんの仕草の描写も生き生きとしていて、筆者は犬猫好きに違いないと確信しています。

著者の「逆転正義」も面白かったけれども、これも面白かった。「エスカレート」ストーカーの話で、なるほどこういうやり方もあるのかと感心した。「誤認逮捕」まさか、こんなこと、警察はやってないよね？と思うけど、ビックリの結末で、刑事ドラマを見ているようだった。「死刑反対」これが一番グッときた。物事の良し悪しなんて、どこにも判断基準なんてないような気がして、でもだからこそちゃんと自分で考えないといけないんだねー。

美しい装丁と、ジワジワ来そうなタイトルに惹かれて予約したこの本は、期待を裏切らないファンタジー要素満載。愛するものを喪った哀しみは消えないけれど、生前に交わした言葉を思い出すことによって、すっきりと癒されていく。最後には小説家が登場して、読んでいる自分の立ち位置がよくわからなくなるという、不思議な体験をしました。面白かったです。