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2024年10月の読書メーターまとめ

ライム
読んだ本
14
読んだページ
2658ページ
感想・レビュー
14
ナイス
76ナイス

2024年10月に読んだ本
14

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ライム
ネタバレ外語大のマジメな生徒達がドイツ語テキストを暗唱する…そんな狭い世界の話が、人間の深いところをあばき出す裏テーマも感じさせ面白い。【スピーチの魔物にやられ→記憶飛び→沈黙に怒る教授→必死に練習する乙女】の反復が、次第に快感になってくる程のコミカルさ、一方で教材のアンネの日常の痛ましさの対比が凄い。「忘れる所こそ自分の大事な言葉」のセリフが怖いような不思議な感覚で記憶に残りつつ、 スピーチのラストの一言に向けての盛り上げ方が見事だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
14

ライム
きちんと学校卒業・入社・研修・円満退社を経て専業作家の平穏コースの印象に対して、海外旅行先が無茶過ぎる…表紙の絵みたいに、歩く向きに統一感なし。でも、ふと耳にした作者不詳の良曲を20年来憶えていて、出元を探そうと動くところ、万博公園で見た怪鳥を幼少期の幻覚と処理せずにずっと気にかけ図鑑のページをめくるところには、野菜作り授業と同じもの、著者の生来の習性(探求心)を感じ、やがて絢爛たる物語を築き上げるのも納得の資質が見られた気がして良かった。
が「ナイス!」と言っています。
ライム
ネタバレ外語大のマジメな生徒達がドイツ語テキストを暗唱する…そんな狭い世界の話が、人間の深いところをあばき出す裏テーマも感じさせ面白い。【スピーチの魔物にやられ→記憶飛び→沈黙に怒る教授→必死に練習する乙女】の反復が、次第に快感になってくる程のコミカルさ、一方で教材のアンネの日常の痛ましさの対比が凄い。「忘れる所こそ自分の大事な言葉」のセリフが怖いような不思議な感覚で記憶に残りつつ、 スピーチのラストの一言に向けての盛り上げ方が見事だった。
が「ナイス!」と言っています。
ライム
題名からネガティブな物語を連想させるが、むしろ海の底から地上を夢想している的なある種の前向きさを与えてくれる。何分難しい話は一切無い。短編の主役達は、娘のわがままに振り回される主婦や別居中の夫と旅行する妻、祖母の紹介相手と婚活中の女性…皆、今の暮らしに満足していないが最悪という訳でもない。気を遣ってるのに空回りばかりで努力が報われなくても…ぼちぼちやっていけば形にはなるから。だから若さなんて羨ましく無いんだ。
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ライム
ネタバレ作家として既に活躍されている方々の、デビュー前後の話は今まで数々見聞きしてきて、大変興味深くて特に苦節を重ねたり変わった経歴を経た人など、その作品を読まずにはおれない魅力的なものでした。本書では、新人作家の有森が、かつて辛酸を舐めさせられた対象にきっちり復讐し切る箇所を読むうち、逆に自らの仕事への問いが浮かぶ。悪環境のせいにする前に(ハッタリでもいいから)知恵を最大限絞って対処したか?…圧倒的に執念が足りていないんだよなと反省。
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ライム
ネタバレ猫を殺してるのかも?の恐怖を隠してまー君に近づく子供的好奇心は絶対容認できない。したらサッカー天才的で遊ぶうち悪行止むかと思えば逆、缶々に猫尻尾ギッシリの気色悪さ。「バット男」の方も変り者の転落を傍観する立場が読んでて救いが無い。この悲劇も世に組み込まれたシステムだから仕方がない、に反発心が起こる。何故抵抗しないのか?と同時に、戦争が無くならない世の中も思う。これが不完全な神様達の仕業と言うなら「一人一人の神に名前を付けて」やる抵抗も悪くは無い、と思った。
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ライム
病気が多く何回も入院生活を体験し、本書執筆中も闘病中だった著者。読後印象に残るのは、病と死についてで、若い頃の友人たちの死「あいつも去りこいつも亡くなり」特に、長い付き合いの吉行氏に対した病院の不親切な対応への愚痴には、共感します。一方で、看護師達の使命感に燃えた働きぶりは大絶賛…「不幸と病気は突如として背中から切りつけてくる」患者の眼からすれば、天使に見えたと。辛い闘病中でも新聞の連載小説を書いていた著者も、驚嘆すべき働き者だと感じ、大いに敬意を表します。
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ライム
次々と出てくる高級車…私は車種に興味なく、カマキリ似の本条と、ゆうこの関係が乗る車によってどう変化するかを定点観測的に眺めた。気分爽快なはずのドライブ中の会話に時折のぞく、鬱屈と諦めの感情…上手に生きてゆくのは運転より難しい、だから車の放つオーラの光が気分転換に必要かと理解。乗馬と車の運転との共通項を語る後書きも興味を引く。車の外観を人に見立てた「不機嫌とユーモアが同時にこもったような顔」「昔は美人だった人が太って丸くなった感じ」の表現が大喜利的で面白い。
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ライム
ネタバレそう言えば昔の木造家屋のトイレは懺悔室の雰囲気だった。罪の告白で出来た主従関係?を長い年月かけてひっくり返す少年の心が怖い。昔一緒に遊んだあの物静かな奴が、こんな得体の知れぬモンスター化してたと知る、そんな事実への直面は絶対したくない。逆に、我儘な金持ち子との過去の話は決して愉快ではないが、彼女が語る失敗談から、怒りと悲しみを爆発させて鬼神化した姿を想像し圧倒される所…本心からの尊敬の念を自覚し、わだかまりが溶ける…という変な展開も、有り得た方が世の中が楽しくなると思う。
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ライム
作家業界の人達が、それぞれ多彩な個性を持っていると知っているから、同じように映画監督も人それぞれなんだな、と本書から知れて良かった。プロ寸前の将棋少年から不良を経て若くして映画を撮る事になる経歴が面白い(普通そんなにすぐに映画作りに関われるものなの?)幼少時から映画もよく見てるけど読書量もかなりあり、豊富な仕込み量が創作の原動力なのかと。角田さんの「空中庭園」映画版で、血の雨降るシーンの撮影現場での話に凄味感じた。本書内の挿絵の中では、鈴木杏さん画がお上手。
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ライム
ぼこぼこ淀みなく湧き出てくるような話の進展にあっけにとられつつ読み終わるのが勿体ない位にして読んだ。揃いも揃ってあきれた人達が次々登場して混沌とかき乱してゆくのに、その中心にいるミヤコは全く動じずマイペースを崩さないところが何故か感動的ですらあった。唯一まともな義母の右往左往には同情しつつも、怠惰なだけで悪意のない親どもに放任されても勝手に育った子供らの、マナーもへったくれもない原始的な生命力に、こちらまで元気を貰えた気がした。
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ライム
私は寝起きが悪いから、バイトの兄ちゃんに起こされるのは嫌ですが、眠りの世界や心地良い目覚めを軽視したら眠りの精に仕返しされる…の説は興味深い。袋がムクムク膨れて一律に人を眠りから引っ剥がすマヌケな機械と、それに対抗して孤軍奮闘する起こし屋との、仕事をめぐる機械と人の対決…でも聡の他にこんな仕事したがる人は居なさそう。夢の中で自分の名前呼ばれ、暗闇からよちよち歩き出し、次第に駆け足になった挙句、起床に至るという目覚めのイメージが面白かった。
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ライム
ネタバレ電車旅のときの、山間部トンネルと抜けた後の美しい森林風景が目に浮かぶ。トンネル掘りに従事した父の感覚は、都市に住みちゃらちゃら勤務で抵抗なく転職する奴らとは全然違うのだろう。自然の恵みと先祖の土地を愛する一途な精神、これで母さえ病気しなければ。不憫なのは栄ちゃん…両親いない微妙な立場で、父の死の電話を受けたり、母のご乱心を引き留めたりの重圧が続く。あの暗闇のトンネルの中で父が言ってた「辛抱せんでええんやどっ」のリフレイン、栄ちゃんに向けて頭の中で鳴っていた。
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ライム
ネタバレ喋ることに自信なさげなお人好しのただ気が弱いだけにも見える印象の薄い冴えないおじさん。それは釣り上げコンクリの上に放置した、食えないフグが干からびるのを見守ってるかのような塩っ辛い話。ずっと否定的な観察眼で見ながら一緒にいるミホの思惑が分らなかったが、そっけない表情の下に前向きな感情を見つけて安心する。寝床から起きれず薄笑いしながら玄関の会話を聞いているミホが楽しそうで、最後に印象は甘味に味変した。「タンポポと流星」もそんな物語の味変ぶりが楽しい
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ライム
作家は言葉を扱うプロなので、街中にある標語ポスターの意味不明な文字は許せないのだろう。あんなものは教師の価値観に迎合して単語を並べただけの空しい文章、家庭という概念も不断に移りゆく暫定的なものだし、とダメ出しが厳しい。また、暇つぶしに読む辞書の例文からの「妙なことで感激する人は信用しない」の話では、変な所を褒める人って必ず見当違いなところで腹も立てて、こっちを消耗させるから危険な人…と経験から断定されている。なるほど相手に警戒されない為にも、褒め方のピントずれには十分に気を付けたい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/05/13(931日経過)
記録初日
2022/06/07(906日経過)
読んだ本
297冊(1日平均0.33冊)
読んだページ
66994ページ(1日平均73ページ)
感想・レビュー
297件(投稿率100.0%)
本棚
3棚
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