＊「異邦人」という命名は被虐の方を”立てた”のであろうであって、決して拒絶しているわけではないと思いますけれど。

・音の無い手話言語が一つの自然言語として成立していることから、シニフィアンの世界（象徴界）に疑義が呈され得ると分かっただけでも収穫だった。

＊本書によると、どのような本を参考にしているかを本人に対してオープンにする方が（しない方よりは）良いとのことですが、完璧な素人直感ですけれど、本書を本人が読んでしまうことには少し不安を感じます。対人恐怖の人にはかえって不安を感じさせてしまうかもしれないと思いましたし、親の取り組みについて書かれている部分の「本人は見ていない感」が、本人のプライドを刺激し、想定したような治療プロセスを乱してしまうのではないかとも思われました。それでも「連帯」というゴールは変わらないと言われれば確かにとも思いますけれどね。

＊実証的な議論のもどかしさは、やはり感じます。読んでいて本当につらかったけど、その原因は、大部分が議論の仕方にありつつも、冗長すぎる記述やレイアウトのひどさにもあると感じたかな...。

・ネット・ゲームには依存を誘発する巧妙な仕掛けがある。これは、常識でしょう。ちなみにそれに対応する脳内の生理的なプロセスも解明されている。でも、誰しもが等しく重度の依存症に陥っているわけではない。ともすると、例えば依存の傾向のある家族に、気合いでネット・ゲームを止めるように強要してしまいがちでもある。しかし、問題はそう単純ではない。依存の背景には心理社会的な不安定さが隠れている。極めて高い依存性の魔の手は、その不安定さにこそつけ入るのである。

・回避を続けることで、もっと「大切なもの」を失ってはいないですか。